少女の呼び声
「大丈夫ですか!?」
セルシアが呼びかけるも、返事はない。
うかつに近よるとまたくずれるかもしれないので、中をのぞきこむこともできない。
「……私、行ってくるわ。セルシアさんは地下におりる階段とか探してちょうだい」
そう言うとサンリアはふわりと浮かんだ。
「そうか、風の剣……。了解です、気をつけてね」
セルシアが手をかかげたのを見てサンリアはうなずき、穴に飛びこんだ。
「レオン? どこ?」
地下に
光の剣のかがやきも、ない。
一歩ふみだし、サンリアは足もとがぐらつくのを感じた。
「っと、とっ!」
どうやらがれきの上に乗っていたらしい。
「この中……かな?」
自分がおりた床が今度はたいらなのを確認してから、サンリアはがれきをどかし始めた。
中から光がもれてくる。
「レオン!」
ほこりまみれになって倒れている彼。傷だらけでダウンしているが、見える
「……生きてる?」
サンリアはレオンの
「っでぇ!」
「あ、何だ」
「え、何だ?」
「生きてたのね」
「悪いか! ……サンリアも落ちたのか?」
「ううん。私がそんなへまするわけないじゃない」
「へまってお前。今の予測できたか?」
「私はウィングレアスがあるから何とでもなるけど、あんたはもう少し
「あ、そ」
レオンはそれを聞きながし、被害のチェック。
「すげぇ、どこも折れてねぇ。青アザとたんこぶはできそうだけど」
「生きててラッキーだったわね、ホント。床が
「あれ、もしかして俺が無事でよろこんでる?」
「……ばーか! もっかい落ちなさい」
サンリアがウィングレアスをにぎる手に力をこめると、レオンの体が
「すみませんすみませんもうかんべんして下さい!」
「分かればいいのよ」
サンリアが鼻を鳴らす。誰だよこいつに武器を持たせた奴は、とレオンはひそかにうらんだ。
「で……ここはどこだ?」
「知らなーい。あんがい
「地下の
「あら……気づかなかった。確かに……
わざわざ何重にも
「ヤバそうな雰囲気だな」
レオンは言いつつとってに手をかけた。
『待って!』
「誰だ!?」
レオンは大声で呼びかけた。
『私はここに閉じこめられてるヨナリアっていうの。とびらを開いちゃダメ。あなた達も閉じこめられるわ』
「閉じこめられて……だと? どうして」
『私が本当のオルファリコンの
「「!!」」
『……ここに来るってことはあなた達も
そしてこんなあからさまなイグラスのワナに掛かりそうになるなら、私の仲間にちがいないわ。本当のことは何も知らない。知らされてない。
……そうよね?』
「……あぁ、そうだよ」
ちょっと、とささやくサンリアに肩をすくめてみせ、レオンは続けた。
「俺は光の剣を持つレオン。となりにいるのは風の剣のサンリアだ」
『レオン、サンリア。初めまして。……なんてのんきなことは言ってられないわね……。
残念だけど、音の剣はもうここにはないわ。うばわれてしまった』
「それはもしかして、灰色の髪の男だったか?」
『えぇ、そうよ。……まさか会ったの?』
さらっと返ってきたその言葉に二人は
一体どこからがワナだったのか。
「会った。この城にいっしょに来た。落ちたのは俺達二人だけだったけど」
『何てこと。そいつはイグラスと通じているのよ。
この城に閉じこめて、他の剣もうばおうって
「……でも、この城に連れてきたのは私のじーちゃんなのよ?」
『えっ……』
少女の声が
『…じゃあ、あなたのおじいさんもうらぎり者なのかも』
「そんなはずないわよ! 何のショーコがあってそんな!」
『ここにはもう音の剣が無いのよ。それなのにここに連れてくることなんて、剣に引かれたのでなければ道を知っている人でないと不可能よ。
それにあなたのおじいさんもワナに掛かっていない』
「違うわ! 私のじーちゃんはフクロウだから落ちなかっただけよ!」
『羽があるならどうして貴女を助けにこないの?』
「それは……っ、でもそんなことあるはず……」
『誰がうらぎり者なのか、という話はあとにしましょう。とりあえずあなた達は
「うん。でも、このとびらの向こうにいるお前を
『……やさしいのね。じゃあ、このとびらを手前に引いて。押し開けると
「分かった」
レオンはサンリアの手をつかんでとびらを開いた。
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