石と音楽の都
レオンは着替え終わって、サンリアを待った。
服に
サンリアの趣味にしては、彼女の服装のようすともかけ離れている。
どうやら服を選んでいる時間までは無かったらしい。
ただ、長袖長ズボンになったので、手足の傷はきっとかなり減ることだろう。
しばらくして、
しばしお互いの服装を見つめる。
「似合わねー」
「変なのー」
これが二人の意見。この世界の服は彼らの感覚には合わないようだ。
「じーちゃん、
サンリアは荷車の中から
じーちゃんは羽ばたいて必死に
「行きましょ」
サンリアは苦しむじーちゃんなどお
城壁の中の街並みはすべて、石と
小麦のパンが焼ける
道ゆく人の
気になったのは、街の人々と目を合わせられない、という点だ。
「サンリア、気づいてたか、この人達、目が……うすい灰色だし、黒目の中の黒目、真ん中の黒い部分が無い。ガラスみたいで、どこみてるか分からねぇ」
「もちろん。
……最初見た時はちょっと怖かったけど、慣れたわ」
彼は、簡単に慣れたと言われてみれば、確かにそれだけのこと、気にするまでもないという気持ちになった。彼が今まで遊んだゲームはシオンのお下がりばかりだったが、この人達に似たようなキャラクリエイトができるものもあったはずだ。彼自身、一時期ゴツい白目キャラで遊んでいたこともある。
と、
……しかし、二人は近づけなかった。周りをがっちりとファンのむれが囲んでいたのだ。
とても美しい音色とその一団が過ぎ去るまで、二人は
ようやく人が
彼女が
「……あ、いやその。ほら、城は反対方向だぞ、と」
「ん? お城が目的だったっけ?」
「いや、ち、違うけど……だって、一番怪しそうじゃないか」
「私達がここで探すのは、人よ。剣の仲間。あの人なら……そうね、音の剣なら持ってそうじゃない?」
「にしても……うん、そうだ、あの人だかりじゃ近づけない。夜まで待つべきだよ」
「あぁ……それもそうね。じゃ、ちょっと観光しましょうか」
「そうそう」
「ところで、どうしてそんなに必死なの?」
「ん? 何のことだ?」
(天然でやってるんだ、この人……)
サンリアはこっそり呆れ返った。
二人は、レオンが先に立って手をつないで歩いた。
やがて大通りに出た。あちこちで美しい
「あぁ……自信なくなっちゃったわ。この街には
「ま、〈音の民〉が多い街で有名だからな、ここは!」
サンリアのひとりごとに、背後から突然いらえがあった。
さっきの笛吹きだ。
ただし、今はもう取り巻きは一人もいない。
「お若いご夫婦、初めての小旅行かな? ようこそ、我々の都ルグリアへ」
「いや、こんな奴
「
我々って音の民さ。僕もそうなんだよ、ほらぁ右の
笛吹きが髪を
見えているのかすら分からない、瞳孔の無い灰色の目よりも
「……そんなにまじまじ見ないでよ、照れるから。
あ、
ルグリアは運命に
レオンは途中で聞くのを
「情報ありがとう、笛吹きさん。あのね、最高の祝福を交換したいの……」
「最高の祝福! それならセルシアだよ。
彼の声は
そして何より僕、笛吹きのミリヤラの仲間だ。でも
「剣?」
「そう、だってティルーンだもの、剣がないとね。
どこで見つけてきたのか、あれはまちがいなく最高だ、どんな
「ま、話だけ聞いても分からないでしょうからね! じゃあ、その人の所に連れていってくださる?」
「もちろんさ!」
サンリアは心の中で
剣を仕込んだ楽器ティルーンの使い手。
音の剣の持ち主にこれ以上
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