森の歩き方
荷物を
「さて、と。出発しましょ」
「オッケー。でも、どっちに向かうんだ?」
「そうね、レオンの世界にはもう用が無くなったから…じーちゃん、どっちに行くの?」
サンリアが上空に声を掛ける。
「こっちみたい」
サンリアはウィングレアスを
「なあ、そのデカいの
ウィングレアスが時々枝に引っかかるのを見て、レオンは声を掛けた。どちらかというと、ウィングレアスが引っ掛けた枝が外れて戻ってくるのを、背後のレオンが食らいまくっているので声を掛けた、が正しいかもしれない。
「んー、でもこれ背負ってないと言葉分かんなくなっちゃうから……」
「何それ!?」
「
「
「そういえば、どうなんだろ。あるとは思うけど、その剣の形でグラードシャインの力が全部
そう言うと彼女はウィングレアスを宙に浮かせた。
「どう? 私の言葉、分かる?」
「ああ、分かるな。こっちの言葉も分かるか?」
「ん、ばっちり分かるわ。じゃあグラードシャインにもちゃんと通訳の魔法が掛かってるのね」
「なら、俺と二人の時はウィングレアス担いでなくていいぞ。大変だろ」
「そうねぇ……」
サンリアはちょっと考えてから、
「でも、やっぱり背中にないと落ち着かないっていうか。
と、レオンの提案を
昨夜いきなり狼の群れに出くわしたために、レオンはまた何かに
「なあ、サンリアは一週間この森を移動してきたんだよな? 狼以外にヤバい生き物いたか?」
「うーん、ヤバい生き物ねぇ。死ぬかもしれないってだけなら結構色々いると思うんだけど、
「一角獣!? ユニコーンってやつ!? いるの!!?」
「いる、というか見たわよ。馬みたいな体で、おでこに大きい角が一本。あんなのに突進されたら絶対死ぬから、近づかれる前に空に逃げたわ」
「へー、そんなファンタジーの王道みたいな奴もいるのか……ん? でも、ユニコーンって女子には
「気に入った女子には、ね! 気に入るかどうかなんて
「逃げる、なぁ……ウィング……風の剣は飛べるからいいけど、光の剣は逃げる役には立たないかな……」
「うーん、視覚を奪う、レオンを見えなくする、とか……? でも野生動物は耳も鼻も良いと思った方が良いものね……」
難しいのも無理はない。光と風。七人いるという剣の仲間のうち、まだ二人だ。どんなゲームだって
考えが
「
「なるほどね……風をわざと起こして、全然
「それには……、っ何だ?」
突然じーちゃんが枝の上で
(
真剣な表情のサンリアがレオンに
(えぇ!?)
(さっきの匂いを運ぶやり方試すわよ、レオンは目に入ったら視覚を
(急に言われてもやり方が……)
(とりあえずしゃがんで! できるか分からないけど試してみて!)
(分かった)
(お願いね!)
サンリアはそう言うと、
ザァザァザァザァ……
強い風がレオンとサンリアの繁みを飲み込む。左後ろから、右前方へ。二人の匂いと風の音がうまく
(後は静かに、向こうが移動するまでじっと待つことね。足音は地面を通って伝わるから、風じゃ
レオンは少しだけ繁みから顔を出して、遠くを見ようと念じた。見えない
(ぐっ……!)
レオンの体温がぐっと奪われたように血の気が引き、目の前が暗くなる。どすんと
「ホ、ホウ!! ホ、ホウ!!」
じーちゃんが騒ぐ。
「
サンリアはそう
「わ、悪い……ちょっと限界超えたみたいになって」
「分かるわ、私もなったことあるもの。慣れるまでは仕方ないのよ……このまま降りずに、
サンリアは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます