旅立ちの夜
「つまり……どんな場所でも森の
「何を見たのかは知らないけど……、もう
「あぁ。悪い奴らを倒して森を止めないと、少なくとも俺達の町は危ないんだな、って事は解った」
「貴方の町だけじゃないけどね……まぁ外れてはいないわ」
レオンはおもむろに、鳥居に向かって歩き出した。
『どこに行くのじゃ?』
「シオンに伝えなきゃ……」
『シオン。』
「俺の兄貴。あいつに、逃げろって伝えなきゃ。待っててくれ、書き置きしたらすぐ戻る。今日中にも出発しよう」
レオンはそう言うが早いか、
『
フクロウはサンリアにも
レオンがドアを
「おぉレオンか。
「こっちは
「お前に早く知らせてやろうと思って帰って来たんだ」
「知らせ? 何だ?」
「彼女に子供が出来たのさ!」
「マジでか!?」
「マジだよ、マジ。お前もついに
「十五で叔父さんかよ!」
(やっぱり、
「……おめでとう、シオン。じゃあ、結婚するんだな!」
「あぁ
「いや、俺は。……俺は此処を出る…………旅に出るから」
「お前……
「そうじゃない……」
レオンは何と説明すれば良いものか分からなかった。自分自身
「シオンは信じないだろうけど……俺、旅に出て、世界のために良い事してこようと思う。」
「いきなり……どうした? 環境問題か? 治安問題か? それとも、まさかとは思うが
「いちいちオチ付けんな! ……ん~、治安になるのかな。悪い奴らを止めに行く」
彼がそう言った
「お前がどう動こうと、例え
……世の中に悪い奴はいない。
いるのは、自分が悪いって自覚してる
よく
極悪いるんじゃん、とレオンは思ったが、
「それだけ分かってれば、後は何とかなるだろ。いつ出発するんだ?」
「今日!」
「え!? 急だな……」
「前から予定してたんだけど、言い出せなくてさ。良いタイミングかなって!」
レオンは
「そうか……残念だな、まぁ俺の子が生まれる頃にはいっぺん帰って来いよ。ここは引き
フード
「あぁ、うん了解! 荷物は適当に
「ちょっと待て」
「何だ?」
「何か……ほら、旅に出るならお
「あるのか!?」
そんなRPG的な。
「いや、さすがにそれは無いけどな。似たようなのならある、ほらこれ、最近見つけた
えーと確か、
そう言ってレオンに兄が
「……本当だろうな?」
「俺を
「疑う理由は一杯あるからなぁ……」
すぐ人の言うことに丸め込まれる弟は、よく兄に
「いくら俺でも
「そうか。なら
「おう」
短く返事をして、シオンは弟の顔をじっと見つめた。
「な、何だよ……」
「……いや、何となく長い別れになりそうだから、大事に育てた弟から涙のひとつでも出ないかと思って」
「そんな
今までありがとう、お互い頑張ろうな、とレオンは笑顔で言った。
彼の兄は
「……つまらん。またな」
「おう! あ、シオン……ええと、理由とかちゃんとは言えないんだけど。なるべく森の神社から遠くに住んだ方が良いぞ!」
「ん? よく分からんが、彼女の家は中央通りに面してっから結構遠いが……」
「あー、なら大丈夫そうだな。
……それじゃ!」
「……じゃあな」
レオンはもう何も言わず、ニヤリと笑って出ていった。
「やっぱりこうなるんだな……」
〈兄〉は少し
それ
彼がパチン と指を鳴らすと、生活感を
「
彼の右手から
「こんなとこか……一年は持つだろ。子供が生まれたら、こんな次元おさらばだ」
茶髪の男は
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