異世界の少女
森の木々に付けた
やがて
彼はふと立ち止まった。
(……誰か、いる)
レオンは
少女の方がレオンに気付く。目が合った。
「こんにちは、そこの貴方」
少女が甘やかな声でレオンに話し掛ける。
「おっ、お俺? ……ちは……」
「ねえ、この剣を抜いたのは貴方?」
彼女は抱えている物を突き出した。それはいつの間にか
「そうだけど……」
レオンが答えると、少女は突然、消えた。
「ねえ」
「おわっ!?」
自分のすぐ
「お前……誰?」
レオンは少し
「私はサンリア、十三歳。
とさらっと答えた。
「お、俺、俺はレオン」
少女サンリアは
「……年は? 貴方、
(年?)
(俺って幾つだ?)
「わす……いや、十五歳……だったと思う」
「って、自分の年を忘れるかなぁ!?」
(悪いかよ。)
ちょっと腹が立つ言い方だ。
「でも、十五にしちゃ子供っぽいのね……」
(てめーに言われたかねーや!)
レオンは
「……何か用?」
話し方まで
「あー、えっと。貴方が抜いたって言うなら、この剣、持ってちょうだい」
ずい、と
フクロウを
矢の突き立った白い
フクロウが鳩の
「……また、何か見えた」
レオンは
「……その剣、持てるんだ……」
サンリアが
「あぁ、軽いぜ? お前のその風車の方が重そうだ」
レオンは白い剣をひょいと
「ううん、違う意味で私は持てないの。柄を
「へぇ。俺は多分だけど、お前の過去っぽいのが見えたな」
「……何、ですって」
可愛らしかったサンリアの声が、ぐっと下がる。しまった、
「わ、悪い、いや、勝手に見えちゃったんだよ……。見たいとか、思ったわけじゃなくて……」
「何を、見たの」
「……なるほどね。それを見たワケ……。うん、貴方が見た、フクロウを庇って
じーちゃんの相棒のシロフクロウは長生きで
それが知られてからはフクロウを狙う奴はいなくなって、代わりに狙われたのが私の鳩のクルル。私はあの子を守れなくて、じーちゃんに泣きついて……そしたら、じーちゃんが呪文みたいなのを唱えて、クルルがこの剣に変化したの」
「……なんだその、夢みたいな話」
「夢……作り話ってこと? 貴方の世界の常識とは違うのかもね。
私はね、違う世界の人間なの。この世界と森で
サンリアはまた一瞬で近くの木の枝まで飛び上がり、そこに
スパッツか。急いでレオンは目を
貴方に会いに来た…軽く発せられたその言葉が、ジワジワと彼の胸を打つ。
「そうか、サンリアは森の向こうから……って、違う世界!?」
「遅いわよ!?」
少女は
「何だよ……違う世界って。
「此処は世界の
「何って神社の森だろ?」
「……え? 何それ」
「は? 知らないのか?」
「だから! 違う世界!」
「あぁ……、やっと何となく理解した」
「そう?」
「お前が
「! ……
サンリアの声色が
「分かった、分かったって。そんな泣きそうな顔するなよ……だけど、説明してくれなきゃ信じる以前の問題だろ」
あぁそうか、と真顔で少女は
「んー、どう説明したらいいのかな……。とりあえず、貴方も座りましょ?」
サンリアが背中の風車を手に取りブンと振ると、レオンは足を
「びっ、くりした〜!」
「うふふ、今のが私の剣の魔法よ。風の剣、ウィングレアス。そして貴方が抜いたその剣は、多分、光の剣グラードシャインだわ」
「魔法、かぁ……」
レオンは魔法なんてものを使われると、
「んーっとね……」
サンリアが剣の台座になっていた老樹を
やがて彼女は語り始めた。
「……じーちゃんの呪文でクルルがこの剣になった話はしたわよね。この剣は風の剣ウィングレアス、
だから私は、
そんで最初に出会ったのが貴方。レオン、だったよね?」
異世界の物語だと思って聞いていたら急に自分の名前を呼ばれたレオンは、あれ?とサンリアの顔を見る。
「俺、名乗ったっけ?」
「最初。
サンリアは
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