森に通う少年
レオン -with Gladshine-
十五歳、男。
複雑な家庭事情のもとでよくもまぁというほど単純で心の
光の剣を取った理由は「なんとなく」
身体能力は、本格的に
──────
少年はカメラを片手に森の中を散策していた。
季節は春の終わり。この時期が一番森を歩くのに
若葉が多く夏ほど
下草を
昨日軽く雨が降ったからか、森はいつもよりも
この音や匂いまで感じとれるような写真を
彼が歩を進めるたび、
どれほど歩いたのだろうか。
彼はそう
「……ん?」
ふと、森の中にキラリと
一体なんの光だろうか。少年はそちらへ歩きだした。
「な、なんだ……!?」
彼は自分の目を
……それも当然である。なぜなら周囲とは明らかに違う
しばらく少年は
「……シオンに見せてやろ」
少年はカメラを握りしめながら、剣の方に近づいていった。
剣を見おろす位置まで来ると、さすがに
(ちょっとでも動くかなぁ? 勇者のみが抜くことができる
そう思いつつ
キュ……スポッ……
「……。」
なんとも呆気なかった。十五歳が軽く力を入れただけで剣が抜けたのだ。そのあまりの
と、急に辺りを静けさが包んだ。ついさっきまで聞こえていた、鳥の声や木々のざわめきもやんでいる。
『レオン……』
「サレイ母さん!?」
少年の名を呼ぶ
『グラ……を…てて……』
「え?」
『旅立っ…はる……て……』
「聞こえないよ!!」
『……』
声は沈黙してしまった。そうなると息をひそめて耳を
「……ねぇ!」
彼は沈黙に耐えきれず呼びかけた。すると、
──今度は視界が
そこに叩きつけられたのは氷の世界。
彼は思わずヒュッと息を吸った。
いや、光景だけだ、寒くはない。
北極? 南極? 分からないが、生き物は見当たらない。
代わりに、不思議なモノが伸びている。
建物……にしては細長く、不自然に途中で横に出っぱって、
──まるで、
(……なんだろう、とても……いやだ)
彼の心に反応したか、風景がガラリと変わる。
巨大な葉と枝を持つ大樹の
砂漠。湖。雲の上。草原。荒れ地。森。神社。
純白の、剣。
(……あ、俺だ、ここだ。戻ってきた)
そう認識したレオン少年の耳に、ドッ と今まで聞こえなかった森の
「なんなんだよな……?」
レオンはそう言いながら辺りを見まわし、もう一度剣を見た。
どこにも
剣を前に
「わぁ……」
その
老樹に立てかけては写真を撮り、地面に寝かせては写真を撮る。確かにここにうつくしいものがあったのだと、証明するための行為だった。
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