七神剣の森【カクヨムコン10】

千艸(ちぐさ)

一筋の光

一筋の光…壱…

プロローグ、あるいは死の宣告

 処刑台しょけいだいの上に上がる。想像していたよりはるかに小さい少年の登場に、場がざわつく。

 くろよろい執行者しっこうしゃざいじょうを読みあげる。

 人々のざわめきは、だんだんとなんに変わっていく。

「……おい、ひざまずけ。その台に首をのせろ。……もっと前だ、あごをつくな」

 執行者が少年にさしする。その手には漆黒しっこくけんが握られていた。

 少年はついに、前を向いて顔を見せる形になった。

 そして彼は、にわかには信じがたいものを見た。

 目の前の群衆、その中に大切な人の笑顔があったのだ。

 その笑顔は、彼に向けられた送別そうべつではなく。

 彼に振りおろされる漆黒の剣に向けられたものだった。

(どうして、)

 お前が中にいるのか。

(どうして、)

 俺が分からないのか。

(どうして、)

 人が死ぬという時に、それを喜べるのか──


 こんなことが、あって良いはずがない。

 彼の思考が停止したしゅんかんさばきが下った。


 おかしなもので、どうから離れたことにより、彼の頭はかえって冷静になった。

 真実を見つけるために、過去を振りかえってゆく。


(そうか……。)


 全ては、遠い昔から始まったのだ……。

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