15、サウナ体験とフィンランド
フィンランドに行ったら、絶対サウナ体験がしてみたかった。
本当はむかし、母と妹と海外旅行へ行こうと計画したことがある。
でも、現地の気温を知り、ふたりはこんなに寒いのならいやだ〜と言って、行き先を変えた。
今ならみんなで一緒に行ける時に行っておけばよかったと思うけど、子どもたちが巣立ったときにリベンジをしてあれやこれやと思い出話に花を咲かせるのも悪くない。
と、まぁそれだけ思い出があるほど、フィンランドの冬場は寒い。極寒である。
だからこそなのか、サウナがとても有名である。
ヘルシンキにいると、『Suomi(スオミ)』という言葉を目にすることが増える。
あちこちで見かける『スオミの湯』という温泉を連想したけど、きっとフィンランドから来た言葉なのだと思う。
『スオミ』とは、フィンランドそのものを指した言葉なのだとのちに知った。
フィンランドにはあちらこちらにサウナがある。
ホテルの中にもあったし、家庭でもサウナのある家が多いらしい。
『サウナ』は『SAUNA』で通じるし、わたしが初めて訪れた頃『Loÿly(ロウリュ)』というサウナがオープンしたところだった。
『サウナ』ときて、『ロウリュ』。
ん? どこかで聞いたような……
そこではっとする。
岩盤浴に行ったときなど、凄まじく熱い室内に入り、石に香りのついた水をぶっかけ、その水蒸気で更に室内を熱くし、うちわで仰ぎまくってくれるあの業のような体験を思い出した。
『ろうりゅう』
あれだ! あれしかない!!
ちなみにドイツ語で『Aufguss』。
『コーヒー(など)をわかす』という意味がある。
話の逸れた豆知識だけど、水蒸気を生み出し温める役割があの熱風を連想させる。
ずっとあとのお話だけど、フィンランド人の同僚のお宅に招かれたとき、みんなでサウナに入った。
なんだろう、この裸の付き合いならぬサウナの付き合いは……と驚くこともなくわたしもこのころはすっかりサウナに慣れ親しんでいたのだけど、やっぱり今思うと面白い。
しかも真冬だと言うのに、みんなは氷の浮いている湖に飛び込んでいた。
か、勘弁してくれ……
まさかわたしにも飛び込めと言うのでは!?とあまりにも衝撃的な光景に恐怖に震える光景だった。
でも、これがフィンランドでは普通のことらしく、サウナであたたまったあと、クールダウンする健康法があるのだという。
し、心臓に悪いのでは!?
などと思ってすみません。
しかしながら何がいるのかわからない水面に入ることができない恐怖症のあるわたしは、静かにみんなの様子を眺めていた。
裸で滝に打たれて修業をする修行僧の姿が脳裏に浮かんだため、やはりわたしは日本人なのだと思った。
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