第13話哲っちゃん?
「お、おはよう…二人とも…」
「おはよう星奈ちゃん」
「おっす!…おはよう、星奈」
この日…学校は休日。いつもの様に二人がボクの家へとやって来た。
何日か前にボクは優愛ちゃんに告白を受けた。今までとは違い挨拶ですら少しぎこちなくなってしまう。優愛ちゃんは頬が少し赤いもののボクとは違い堂々としている。そんなボクの様子がおかしい事に気付いたのか…
「どうかしたのか、星奈は?」
「べ、別になんでもないよ?」
「俺に隠し事かよ?」
「…あっ、隠し事といえば哲也っ!あんた星奈ちゃんにエッチな映像を観せたでしょっ!」
優愛ちゃん、それを今言うのっ!?
「げっ!?星奈!?優愛に言ったのか!?」
「う、うん」
「馬鹿っ!内緒だって言ったろ〜にっ!?」
「何が内緒よ、馬鹿哲也。いい、星奈ちゃん。こんなのと間違ってもそんな映像みたいな関係になったら駄目よ?」
「そ、そんな言い方ないだろうよ、優愛」
「この際だから…幼馴染だから…哲也にも教えておいてあげる」
「…何をだよ?」
何を教えるつもりなの優愛ちゃんは…
「私…星奈ちゃんに告白したから」
「はあっ!?」
「私は…星奈君に男性で居てもらいたい。星奈君に私を抱いてもらいたいと思っている事も伝えてるから」
「んなっ!?はぁっ!?全く理解が追いつかないんだがっ!?」
「キスもしたし、舌も絡ませたから」
「ちょっ…ちょっと待て!?優愛…お前さっきから何を言って…」
「最近…星奈ちゃんは性別が以前みたいにコロコロ変わるんじゃなく、一定期間…ううん…何かのスイッチが入る迄は同じ性別でしょっ?」
「………」
そういえばそうだ…。優愛ちゃんが言った通り、ボクの身体は最近はそんな感じだった。
「私はこう考えてるの…もう少ししたら…性別が入れ替わらなくなるんじゃないかって…」
「「っ!?」」
か、考えた事なかったな…。性別が入れ替わらなくなるなんて…。
「だから、私は星奈ちゃんじゃなくて星奈君で居て欲しいから…私を想って欲しいから…告白した」
「…そうかよ…。そういう事なら…星奈っ」
「哲…っちゃん?」
何やらいつもと哲っちゃんの雰囲気が違う。
「こんな風に言うつもりなんてなかった。でも…俺は…お前に女性で居てもらいたい」
「…えっ?」
「俺は…お前がずっと好きなんだ。それこそ気持ちは優愛に負けてない」
「えっ?えっ?」
「悪いな、星奈」
哲っちゃんはボクの肩を掴み、引き寄せ…哲っちゃんは目を瞑り…徐々に哲っちゃんの顔がボクに近付いてくる…。これって…キス!?あわわわっ!?ボクも思わず目を瞑り…唇が塞がれる感触…
「―させるわけないよね、哲也?」
その声にハッとして目を開けるとボクの唇を守る様に優愛ちゃんが手でソレを遮っていた。
「ゆ、優愛…てめぇ…」
「馬鹿なの?私がいるのにキスなんてさせる訳ないじゃん?」
「ぐぬぬっ!?と、とにかく…星奈。俺は星奈が好きだからなっ?」
「悪いけど哲也には絶対に渡さないから」
「そんなの俺だって…」
「「ぐぬぬぬぬっ…」」
二人がいがみ合ってる傍で…ボクは…どうすればいいのか分からずにアタフタしているだけだった…。
♢
「―なるほどね。それで星奈りんは私を呼んだんだね…」
「…うん。どうすればいいのか分からなくて…」
「それにしても…あの二人がとうとう想いを伝えるなんてね…」
こういう事に頼れる人といえば―と、いう事でみっちゃんが想い浮かんだんだ。だから相談に乗ってもらう事にしたんだ。
「…とうとうと言ったって事は…みっちゃんは知ってたって事なの?」
「そりゃあ、ねぇ…端から見てても分かるし。あの二人が星奈りんに好意を寄せている事を知らないのは星奈りんだけじゃない?」
「そ、そうなんだね…」
「そ、そんなに落ち込まないでよ?と、とにかく…星奈りんはどうしたいの?」
「えっ?」
「星奈りんは…男性として優愛りんを抱きたい?それとも女性として哲也に抱かれたい?それとも他の人とそういう関係になりたい?」
ボクは…想像してみる。
今は…優愛ちゃんと哲っちゃん。どちらも選べない。
「…二人以外とは…そういう関係には…なりたくない…かな」
「まあ、そういう事だよ?時間はたっぷりあるんだしさっ…ゆっくり自分の気持ちと向き合うといいと思うよ?」
「ありがとう…みっちゃん」
「…どういたしまして」
♢
相談が終わり…私は星奈りんが帰っていくのをジッと見つめている…。
「…親友が好きな人を…好きになったら駄目だよね…。私も…ずっと好きだったんだけどな…もっと…早く出会えてたら…な…」
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