第11話ワクワクドキドキからの…

「ワクワクドキドキ〜♪初めての〜♪男同士の〜♪お泊まり会♪」


「何なんだ、星奈?その辺な歌は?」


「わからないの哲っちゃん?」


「さ、流石に分からないかな…」


「この歌はボクの喜びを表現しているんだよ?だってこれまでこうやって男同士のお泊まり会って仲間に入れてもらえなかったじゃん?」


「まぁ…なっ」

(そりゃあ…翌日女性になってたらとか…色々とあるし、なにより優愛がそれを許さなかったし…でも改めて考えてみると寂しかったよな?男同士の時間も大切だよな?)


「憧れてたんだよねぇ…ほらっ、ボクっておかしな体質だからさぁ…」


「別におかしくはないだろ?星奈は星奈だしな。と・に・か・く、これからはこうやって色々誘うようにはするからよぅ。優愛にだけはバレない様にしてくれよ?ほら、急ぐぞ」


「あっ、待ってよ、哲っちゃん!」





「よく来たな皆の衆…」


「「「ははーっ」」」

「は、ははーっ」


「ワンテンポ遅れてるぞ、星奈」


「うん、気をつける」


 コレが男同士のノリなんだね?何だか楽しい。


「星奈君も楽しそうだし、なぁ、ヒロ!そろそろ上映会を…」


「早速かよ」


「上映会?映画でも見るの?」


「星奈…気をしっかり持てよ?」


「哲っちゃん!?今から観るのはホラーなのっ?ホラーは別に…」


「まあ、ある意味ホラーだと思う」


「?」


「とにかく…それでは上映会を始めるぞ。みんな驚くなよ?なんとモザ無しだからな」


「「「んなっ!?聞いてないぞっ!?」」」


「言ってないしな」


 モザ無しって何だろ?


「すでにプレーヤーにディスクは入ってるから、早速スイッチオ〜ン!」


「「「ごくっ…」」」


 テレビ画面に裸の男女が抱き合ってるダイジェストみたいなものが音楽と共に流れ始めた…。


 は、裸?見間違いだよね?男性が女性に乗っかっている様に見えたんだけど!?目を擦ってから画面に視線を戻すと一人の男性の姿が映っている。


 良かったぁ〜。何だかボクの目がおかしくなったのかと思っちゃったよ。やっぱり見間違いだったんだね。


 テレビ画面に映る男性は時折、独り言みたいに色々と呟きながら何処かに向かっているみたい。これはアレかな?ドキュメント番組かな?


 男性はどこかの路地裏へと入っていき、一件の店に入っていく。店の看板には『アワアワランド』と書かれていたのが見えた。アワアワ?泡…風呂かな?


 男性は店員さんと何かを話すると、すぐに女性がやって来た。男性は女性とともにその店の数ある個室の一つへと入っていく。


 部屋に入るとすぐに男女がキスを交わす…。あわあわ…あ、あんなに激しく唇を重ねるのっ!?し、舌迄からませてるぅ!?


 みんな平気なんだろうかと思い、周りの様子を窺うと哲っちゃん達は画面に釘付けになっている。


 男女はそのまま…服を脱いでいき…丸見えじゃん!?何これっ!?


 えっ?ソレをソコにっ!?


 あわわわわっ…





 テレビ画面は相変わらず凄い事になっている。


「悪い…ちょっとトイレに行ってくるわ」


「おまっ!?ズルいぞっ!?俺が先に…」


「いや、俺が先に…」


「待て待てお前等…俺が先にって…星奈!?だ、大丈夫か!?」


「へ、平気平気…た、ただ…」


「「「「ただ?」」」」


「ぼ、ボク帰るね!」


「お、おい、星奈!?」

(くっ…星奈を追い掛けたいが…まだ動けねぇ〜〜〜)


「あちゃあ…」


「ちょっと刺激強すぎたか?」


「アイツよく動けたな」


「お、お前等何を呑気に…」




 


 ボクは家に帰ってからもずっとボ〜〜〜ッとしていた。食事してもお風呂に入っても脳裏に焼き付いてあの映像が消えない。


「哲っちゃんはああいう事してるのかな?哲っちゃんとああいう事したら…あわわっ…な、何考えてるんだろう、ボク…」


 そしてその日…ボクは初めて精通というモノを経験して…翌日女になっていた。

 

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