第7話2人共何か使ってるの?

 写真集を哲っちゃんと優愛ちゃんに渡した翌日の朝の事。2人同時に自宅から飛び出して来てボクの元に駆け寄って来てくれたんだけど…


「おはよう星奈ちゃん!」

「おい〜すっ、星奈!」


「…あっ、うん おはよう2人共」


「え〜と どうかしたの、星奈ちゃん?」

「そんなにマジマジと俺達を交互に見てどうした?何か付いてるか?」

「えっ!?何か付いてる!?」


「ううん、付いてないよ」


「「じゃあ…どうして…」」


「何か2人共、化粧品か何か使ったの?」


「「使ってないけど?」」


「何か今日の2人を見ていると、いつもよりツヤツヤしているというか…」


「「…ゔぇっ!?」」


「あっ! やっぱり何か2人して使ったんでしょう!?」


「ち、違うよっ!?」

(せ、星奈君の写真集が…悪いんだもん…してた事バレないよね?)


「お、俺も…そんなの使ってないぞ!」

(しいて言えば…写真集を使ったけども…ヤバっ!星奈が今日も女だったのは誤算だった…。制服着ているのに脳がバグって透けて見える錯覚を起こしやがる!?)


「2人共、何かキョドってるんだけど…?」


「し、しいて言うなら…」


「言うなら?」


「優愛が一人でハッスルしたんじゃないか?」


「はあぁぁぁぁーっ!?ししししし、してないしっ!?何言ってんの!?変態哲也はっ!?馬鹿なのっ!?馬鹿なのよねっ!? ハッスルしたのは…わ、私じゃなくて哲也の方でしょ?肌が異様にツヤツヤしているみたいだしっ!」


 ハッスル?何か運動してたって事かな?エクササイズとかヨガ?


「はぁーっ!?な、何をっ!?」


「さっきから電柱に寄り添う様に体を預けてるけど、真っ直ぐに立てないだけでしょっ!どうせ昨日は無我夢中で自家発電して、発電機のになった物を思い出してそうなった癖にっ!」


 哲っちゃん…発電機なんて作ってるのっ!?お店で売ってる自由工作のキットのアレだよね!?


「優愛!てめぇ…こ、この野郎!」


「何よっ!やる気!?変態哲也!このデリカシーなし男!」


「朝から2人共仲良過ぎじゃない?」


「違うからっ!?」

「違うわっ!?」


「結局2人がツヤツヤしてる理由って?」


「「星奈(ちゃん)にはまだ早い!!」」


「ええ〜〜〜」


 2人だけの秘密なのっ!?そう声を大にして叫びたかったんだけど学校に早く行こうぜ!―と、誤魔化されるように足早に2人に連れられていってしまった…。これこそ解せぬって奴だよね?こうなったら…



***


 教室に着くとみっちゃんがボクと優愛ちゃんに気付いて駆け寄ってくる…。


「おはよう、優愛りん、星奈りん!おまけで哲也君!」


「俺は2人のおまけかよ!?」


「当たり前じゃん!私はだもん」


「…俺に味方は居ないのかよ?」


「おはようみっちゃん!」


「おはようみっちゃん。そうそうちょうど良かった!ボク、みっちゃんに聞きたい事があってさ」


「おっ! 珍しいね、星奈りんが私に聞きたい事なんて…いいよ、任せてっ!この私が何でも答えてあげるわっ!優愛りんのスリーサイズも完璧だよ?」


「何言ってんのっ!?言わせないよっ!?」


 優愛ちゃんが一生懸命抗議してるね…じゃれてるともいえるね。


「―で、何を聞きたいのかな?」


「うん、みっちゃんなら教えてくれると思ってさ」

 

「うんうん、それで?」


「優愛ちゃんがするハッスルと哲ちゃんの自家発電って何?」


「……はっ?」


「ちょっ!? 星奈ちゃん!?」

「星奈ーーーっ!?」


 いや、2人が教えてくれないからみっちゃんに聞いてるわけで…


「…………ちょ〜〜〜おっと…時間をくれるかな?優愛りんに確かめたい事があるからさぁ…」

「わ、私は何も知らないし、何も言わないからね?」


 優愛ちゃんが引き摺られてみっちゃんに連れて行かれる…。


「い、いいから、それは忘れろ、星奈っ」


「哲っちゃんが教えてくれても…いいよ?」


「お前…上目遣いでそのセリフは止めろ…俺を殺す気なのか?」


 この様子じゃあ、教えてくれないだろうな。


「みんな〜 注も〜く! 哲っちゃんの自家発電って何か分かる人居るぅぅ〜?」


「「「「「「「………えっ?」」」」」」」


 その反応…クラス中のみんなは知ってるって事だよね!?


「おいっ!?ば、馬鹿!せ、星奈! 止めろーっ!」


「哲也…どういう事だ?」

「お前…天使を穢すつもりなのか?」

「星奈ちゃん…星奈ちゃんはそのままで居ていいんだよ?そんな事は早く忘れるんだ…」

「そんな言葉を教えた哲也は後で必ず絞めておくから…」

「男子達頼んだよ?」

「天使を穢した罪…重しっ…」

「哲也…あんた死になさい…」

「哲也君…君の罪を数えなさい…」


 そして…ボクはどうなったかというと、教室からクラスメイトの女子達に連れ出されたのだった…。教室には哲っちゃんとクラスメイトの男子だけが残る…。ボクは結局何だったのかは分からないままだった…。


 その後…教室では正座してみんなから何かを言われて怒られている哲っちゃんの姿があったとかなかったとか…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る