第5話それは男になった帰り道で
性別が男性になって3日後の事。学校の授業が終わり家の帰路へと着く…。優愛ちゃんは今日は一緒ではない。部活のテニスがあるからだ…。
ボクはというと哲っちゃんと一緒だ。
「星奈、あのゲームはもうしたか?」
「あのゲームって、新作アプリの?」
「そうそう、それそれ!」
「哲っちゃんが面白いというからダウンロードは済んでるんだけど…忙しくてまだやれてないよ」
「マジかっ?」
「うん、撮影やら…サインを書かないといけなかったし…後はボイトレも忙しかったから…」
「激務過ぎねっ!?」
「あっ…そうそう…恥ずかしいんだけどね?この間水着の撮影があってさ…」
「ごくっ… み、ずぎ だとっ…」
「んっ? どうかしたの哲っちゃん?」
「な、何でもねぇ そ、それで?」
「あっ、うん、それでボクの初の水着集が出来たんだけどっ」
「なんだとぉ!? それでっ!?」
「そ、そんなに反応されると困るんだけど…」
「いやいや…人気アイドルの水着写真集なんて事件だろうよ!」
「そ、そうかなぁ?」
「そうなんだよ! そ、それでそれはどっちの時の奴だ?」
「勿論、女の時なんだけど…」
「ふ、ふ〜ん… まあ、アレだな…親友として…必ず発売日に買ってやる…3冊位…」
「いやいや…そんなに買わなくていいよ?」
「馬鹿野郎!一冊は毎日見る用!もう一つは額に入れて飾る用!そして…もう一つは予備や保存用だろうがよ!」
そういえば…哲っちゃんって…コレクターだったっけ…
「え〜と、それで一冊おばさんから哲っちゃんには絶対にあげるように言われててさ」
「マジでぇーーーっ!!!??」
「―と、言うわけで…はい、コレッ!」
カバンに入れてたそれを渡す…。ボクの水着写真集なんてもらって嬉しいかは分からないけど…
「サンキュー…今日はこれをオカ……家宝にして飾っとくわ!」
「そんなの家宝にしなくていいからねっ!?」
「おいおい、お前って…あの星奈だよな?」
「ちょっ、マっ?」
「ホントだっ!?まさかこんな所でっ!?」
3人組の高校生がそんな事を言いながら近付いて来た…
「うわっ〜 近くで見たらやっぱり本物だよっ!」
「今日は男なのか」
「顔とか変わんないからすぐに分かったよな!」
「え〜と…」
「こうして会えたのが女の時じゃあないのが残念だけどっ…男でもいいや!」
「だなっ!」
「俺達と遊びに行こうぜっ!なんなら俺ん家に来ていいしっ!」
「すいません…そういうのは…」
「そっちの男はアレだよな?幼馴染だったよな?もう一人の幼馴染は居ないのっ?」
「嗚呼〜!あの子も可愛かったよな」
「くぅ〜 それを考えると今日はツイてるのかツイてないのかわかんねぇ〜な!そっちの幼馴染も一緒でいいから遊ばね?」
この人達が知ってる事から分かる様に哲っちゃんと優愛ちゃんもボクが行っている配信にたまに出てくれている…。おばさんからそう言われたからだ…。その理由として、こうして一緒に帰る時に騒ぎにならない様にする為に前もって言っておいた方がいいという事を言われた。
要は彼氏、彼女に間違われない様にという事。ボク達はそんな関係ではないのに…知らない人達から見られるとそう見える時もあるんだろうね…。
「すいませんね、先輩方。しばらく星奈は撮影やらなんやらで忙しいのでこれで失礼しますね?」
高校生3人とボクの間に割入りそんな事を言ってくれる哲っちゃん。こういう時って哲っちゃんは男らしくてカッコいい。ボクも憧れる。
「マジかっ!?」
「しゃーないか…」
「サインは貰える!?」
「はい、コレッ!」
こういう時の為にカバンに入れてるサイン済みの色紙を取り出し3人に渡す…。3人はそれを受け取ると素直にお礼を言いながら帰って行った。
しつこい人達でなかったので良かった。たまに帰ってくれないしつこい人もいるからね…。
「さっきは…ありがとうね、哲っちゃん」
「へっ…それ位当然よ!」
そんな事があった翌日、またボクは女性の体になっていた…。何でだろうね?
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