第2話用意してなかった…

 1時間目、2時間目の授業を終え3時間目の授業が始まって20分後位の事…。


「―ここは、―であるからして…」


 ズキッ…


 つぅ…嘘っ!?ヤバッ…まさか、―きた!?


 ボクはつい忘れていたんだ。性別が女性の時はアレがくるという事を…。痛みがボクにそれを教えてくれる…。


 ―生理が始まるという事を…。


 しかもボクは生理痛がかなり酷いんだよね…。


 ―ズキッ ズキッ…


 あっ…痛たっ…しかもショーツにナプキンを付けてない。アレを付けないと漏れちゃうし血の量もボクは多いんだよねぇ…


 ―って、早くナプキンを付けないと…


「せ、先生!」


「どうした、混合?」


「す、すいません…生理が始まっちゃったみたいで…あうっ…も、漏れちゃう…」


「ちょっ、聖奈ちゃん!?」

 

 あっ、優愛のビックリした様な驚愕した様な声…もしかしてやらかしちゃった!?辺りを見渡すと男子の殆どが顔を赤く染めて俯向いているのが視界に入る…


(聖奈の馬鹿野郎がっ!?そんな漏れちゃうとか艶かしい言葉は俺にだけ聞かせろってんだ…)

(せ、聖奈ちゃん…)

(馬鹿野郎ー!現役アイドルが授業中に生理とか言うんじゃないよっ!?)

(俺達…そういうのに免疫ないんだぞっ!?)

(せ、生理なのか…)

(くっ…男の時でも可愛い癖にっ…)

(はぁはぁ…聖奈ちゃん…)

(男子は妄想の塊ぞっ!?)

(聖奈のせいで男子はみんな席を立てんな…)

(別の場所はキャンプしてるけどな…)



「―男子が非常に困ってるぞ、混合?」

「す、すいません」

「とにかく…トイレか保健室に行っていいぞっ」

「ありがとうございます…」

「もう、聖奈ちゃんは…」

「あっ、優愛ちゃん。ゴメンけどボクにナプキンを…」

「い、一緒に行くつもりだったから言わなくてもいいからっ!先生、聖奈ちゃんとちょっと行ってきますね?」

「分かってる分かってる、混合を頼むな、神懸」



 今朝と同じ様な感じで優愛ちゃんに手を引かれ女子トイレに駆け込む…。


 カサッ…ペリペリッ…ペタッ…


 ショーツに優愛ちゃんから貰ったナプキンを貼り付け…


「ごめんね、優愛ちゃん。帰ったら返すね?」


「別にいいよ、気にしなくても」


「そういえば…あの時もそうだったよね…あの時もボクは優愛ちゃんに…」


 初めての生理の時は大変だった…。あの時も同じ様に学校でそれは起こったんだ。性別が入れ替わるとはいえ、まさか生理がくるとは思っていなかったんだよね。


 ―で、優愛ちゃんはその時も今回みたいに世話から後片付け迄全て率先してくれて…本当に感謝しかないんだ、ボクは…。


「私は―聖奈ちゃんの…お世話するの好き…だし…」


「普通はさぁ…ボクみたいなおかしいのはあの時みたいに…」


「あれはアイツ等がおかしいだけだったんだからね?聖奈ちゃんは…おかしくなんてないんだから」


「…うん…ありがとう。優愛ちゃん大好きだよ」


「っ!? そ、そういう事は…出来れば男の時に言ってくれると嬉しいのに…聖奈ちゃんのばか…」


「な〜に、優愛ちゃん?聞こえないんだけど?」


「…何でもない」



 そんな風に話をしながらナプキンも無事に装着して教室に戻ったんだけど…戻ると男子の視線が一斉にボクの下半身に集中していて、優愛ちゃんに…


「男の子って本当にえっちなんだから…」


 ―と、言われて男子は全員消沈していた…。哲っちゃんも消沈していたのは何でなんだろう?

 




 



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