第44話 裁きの光

アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド・スラム街・暗殺ギルド


暗殺ギルドの建物周辺には、警備の為か多くの団員が隠れ潜んでいた。


(そこそこの人数が居るんだな…)


「先手必勝!これに限る」

ソラシスは、三階建ての一階正面付近に魔弾を躊躇せず発射した。


魔弾は一階玄関付近に着弾して、そこから火柱が上がった…


「威力が弱かったな…」

新たに魔弾を製造して、魔力を込めて、次々に建物に向けて撃ち込んでいった。



暗殺ギルド・建物内・暗殺ギルド長・ボス

「なんだ!?」

突然の爆音と共に三階建ての建物は激しく揺れて、ボスが趣味で集めている多くの調度品が床に落ち壊れていった。


建物内に居る団員も初めて体験する揺れに足を取られ転倒する者が続出したのだ。


アジトは敵対勢力からの襲撃を警戒して、外からの光を取り入れる部分を全て塞いでいたのだ。


故に外の様子を確認する為には、一階に降りる必要があった。

「おい!誰かぁー外見てこい!」

ボスの言葉に部屋に居た二人の団員が飛び出して行った。


「なんなんだ…この爆音と揺れは…それに…なんでこんなに暑いんだよ…」

揺れと爆音は激しさを増しているのだ。


額に汗をかきながら、頭をフル回転させ…何か出来ないか考えるも、案が一つも思い浮かばずに、部下の報告を待つしか出来なかったのだ。


ここ数年は、優秀な部下のフレットに業務を丸投げしており、自身は依頼料のピンハネをして優雅に暮らしていたのだ。


数年前までは、裏の世界でも一二を争う実力者だった男も現在は、ブクブクと太っており精彩を欠いていた。


待つこと数分…

大粒の汗を流しながら、部下の一人が部屋に駆け込んできた。

「ボス!大変です!建物の外が…炎で包まれてます」

「バカな…」

煤だらけの部下の顔を見て固まるボス。

「下の連中は…全員丸焦げで…炭になってました…一緒に降りって行った、オフラも燃えちまいました…」

その光景を思い出したのか、部下の男は失禁してしまったのだ。



暗殺ギルド・建物前


「よく燃えるな…」

ソラシスの攻撃により建物の至る所から炎の柱が上がっており、夜にも関わらず、その炎の火柱は周囲を明るく照らしていたのだ。


建物の周囲に潜んでいた者達から三度攻撃をされたが、全て返り討ちにしたのだ。


「貴様!誰だぁ!オレ達に何の恨みがあるんだー!」

血だらけの男がソラシスに向けて力の限り叫んだのだ。


「まだ生きてたのか、恨みって…お前ら仮にも暗殺ギルドの人間なんだろう?そりゃあ恨まれて当然だろ!バカなのか?」

全身キズだらけの男は…ソラシスを睨みつけるも


「その血にキズ…もう長くないだろ…楽にしてやるよ」

ソラシスは、火縄銃を構え銃口を血だらけの男の額に合わせ引き金を引いた。

無音の魔弾は男の額を貫き…男は絶命した。


(暗殺を生業にする奴等の攻撃は勉強になるな…)

針のような物を飛ばして来る奴に投げナイフを使う者、鎌に鎖を付けて振り回す者、

ソラシスは、いろいろなタイプの暗殺者と戦ったのだ。


「しかし…よく燃えるな…」

自身が放った魔弾により燃えているのだが…その光景を呑気に眺めていたのだ。


また、多くのスラム街の住人も遠巻きに、その光景を眺めていた。


「この状態だと…建物内は地獄だろうな…」

周囲の建物を巻き込んで、燃え盛る暗殺ギルドの本部


(やっぱり…他の組織の…裏の人間ぽい奴等もチラホラ居るな…)

ソラシスは、自身に敵対すると…どうなるかを見せつけて、

少しでも抑止になればいいやと思い派手な魔法を使う事にした。


(魔法はイメージが…想像が大切…破壊範囲を決めて…イメージ、イメージ、イメージ、イメージ、想像と妄想が大事…天まで貫く一つの柱…裁きの光を…)


ふと頭に浮かんだ言葉を口にした…

「天撃」

ソラシスがその言葉を発した直後…ソラシスの身体から眩い光の塊りが上空に飛んで行き…暗殺ギルドの本部に眩い光の柱が上空より降り注いだ!


その光の柱は凄まじく…暗殺ギルドの本部が在った場所には…瓦礫一つ残らずに…深い深い穴があいていたのだ。


その光は…途轍もなく明るく…数十秒…都市全体を日中の如く照らしていたのだ。


「さてと…クウを迎えに行って宿屋に帰ろう…疲れたよ…」





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