第43話 暗殺ギルドに襲撃
アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド・スラム街・暗殺ギルド
「おい!フレットの野郎から定時連絡は来たか?」
「いえ…まだありません…」
ボスの言葉に瞬時に答えた部下の男は、ピリつく空気に眉唾をゴクンと飲み込んだ。
既に定時連絡の時間は過ぎており…
ボスのイラつきを感じ取った、側に控える男は…汗をダラダラと流していた。
ボスの男は…イラつくと直ぐに手が出て、近くに居る者に理不尽に暴力を振るうのだ。
まぁ、弱肉強食のスラム街…暴力なんて日常茶飯事に起きている。
暗殺ギルドのボスの男も、力に物を言わせて、のし上がったのだ。
ボロボロの建物に似つかわしくない豪華な調度品に囲まれて、ふかふかのソファーに、ふんぞり返って座る男は、部下からの定時連絡の報告がなく、イライラが募っていた。
今回の依頼は、ターゲットの即暗殺である。その分、依頼人からの報酬は膨大であり、前金として既に白金貨5枚(5億)を受け取っている。
また、暗殺後に成功報酬で、白金貨5枚(5億)を貰う契約を交わしていた。
ゴーン商会からの依頼であり…失敗は許されないのだ。
そのために、組織内で優れた者を選び暗殺に向かわせたのだが…
「くそぉ!遅い遅すぎるぞ!何やってやがる…」
街灯が無く真っ暗のスラム街を歩くソラシスは…
(ミスった…尾行してた奴等を捕まえて、アジトの場所を聞き出したが、ここら辺…こんな奥に来たのは初めてで、場所がよく分からんな…こんな事なら、一人は生かして連れてこればよかった…)
スラム街は道が狭く、うねうねと曲がりくねった道が多く、地上の迷宮と言われていた。
ソラシスは…辺りをキョロキョロ見渡して、
「おい!お前!」
「オレは何も持ってないぞ!放せよ…」
地べたに寝転がる男を無理やり立たせたソラシスは、指輪から銀貨を1枚取り出して、男の手に銀貨を掴ませた。
「なぁ!?これ銀貨かぁ?本物かぁ?」
「本物だ!俺の知りたい情報を教えてくれたら、もう1枚銀貨をやろう」
その言葉に怯えていた男の表情が変わり…
「ああ、何でも聞いてくれ!だから銀貨をくれ!」
ソラシスは、男に暗殺ギルドの拠点と思わしき建物の場所を聞き出して…
「アンタが言ってた建物は、この辺だとアレしかねぇー」
浮浪者の男は、そう言い一つの建物を指さした。
「ああ、助かったよ。ありがとよ」
「なら、銀貨をくれよー!」
ソラシスは、指輪から銀貨を取り出し男に弾いて…
「おお!本物の銀貨だぁー!」
無事にキャッチした浮浪者の男は、大はしゃぎをしている。
「さてと…もう行っていいぞ。クウ、裏手に回って建物から逃げ出す者が居たら、倒していいぞ!」
「キュ!」
「なぁ!ドラゴン…」
上空に駆け上がるドラゴンを見て呆然とする浮浪者の男。
「アンタ、いったい…」
「まだ居たのか?ここら一帯、今から戦闘になるぞ?巻き込まれたくなかったら、とっとと離れた方がいいぞ?」
浮浪者の男の腹が鳴る……
「ぷぅ……ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」
思わず笑ってしまったソラシスは……腹を押さえていた。
「お、おい!笑うなよ……仕方ないだろ…もう三日はメシを喰って無いんだぞ!」
「ハァハァハァ…悪い悪い…その金で美味いメシでも喰えよ…ああ、そうだな…」
ソラシスは、指輪からオークの肉がたっぷり挟まったパンを取り出して、浮浪者の男に手渡した。
「なんだこれ?いい匂いがするな…」
「やるよ…笑わせてくれた礼だよ…久しぶりに笑えたからな。それオークの肉がたっぷり挟まったパンだから美味いぞ!」
じゃあなと言いながら、建物に向かって歩いて行くソラシスは、指輪から火縄銃を取り出して、魔弾に火の魔力を込め銃口を建物に向けたのだ。
そして、迷うことなく引き金を引いて魔弾を建物に撃ち込んだ。
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