第39話 明日に向けての準備を

アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド・大通り


服屋に向かいながら、先程少し脅した二人の冒険者たちの事を考えるソラシス。


(念の為に鑑定スキルを使用したが、あまり強くなかったな…二人とも隠密系のスキル持ちだった。調査や尾行が得意で、戦闘は苦手のようだった。しかし…この感覚、鑑定を使用する感覚…直接、脳にダイレクトに情報が入って来る感じ…何度使っても慣れないな…)


大通りを歩くソラシスは…


(炭酸飲料が無いのがキツイよね…コーラにスプライト大好きで毎日飲んでたよな…)


飲み物を売っている店を何店舗も見つけたソラシスだが、炭酸系の飲み物には出会わなかったのだった。


(やっぱりメシには、コーラがなきゃならない存在だよな…)

前世で毎日飲んでいたコーラを懐かしみながら、とぼとぼ歩くソラシスであった。


服屋に到着して、店内に入ると…

「いらっしゃいませ~♪」

そこには、クマキチを超える巨大なオネエが生息していたのだ。


(デカいな…そして、何故?パツパツのワンピースを着てるんだ…)

筋肉モリモリマッチョマンのオネエが近づいて来た…

(まぁいいや…気にするのはやめよう…)


「動きやすい服と着替えを何点か欲しい」

「あらぁ~かわいいお兄さん~♪店主のキャサリンよぉ~♪よろしくねぇ~♪」

その後…オネエはソラシスを食い入るように…隅から隅まで凝視して…

「ええ~♪わかったわぁ~♪ちょっと待ってて頂戴ねぇ~♪」

そう言い残して、オネエは店裏に消えたのだった。


(クウを見ても、全く動じてないな…)


待つこと数分…


オネエは大量の服を抱えて店裏から出てきた。

「もぉ~♪お兄さんカッコいいから、キャサリン迷っちゃう~♪」


(何がだよ…)

思わず…一歩後ろに後退したソラシスであった。


キャサリンの用意した服を試着したソラシスは、全て気に入り全部購入したのだ。


購入した服は、全部で10着。


「ん~もぉ~♪最高よぉ~♪また来てよねぇ~♪」


キャサリンに見送られて店を出たソラシスは、次の目的地に向けて歩みを進めた。


(あのマッチョなかなかセンスが良かったな…)


「さてと…不要な武器を売りに行ってから、宿屋に帰ろうかな…」


街並みを眺めながら…

(明日から古き魔境の森に果物系を採取しに行こう…暫く森に籠って、いろいろ採取して回ろう…そして、少しロマネスコ王国内を観光しに行こうかな…)


明日以降の予定を考えながら歩くソラシスは…


「そろそろだな…確かココを右に曲がって…ああ、ココだな。名も無き武器屋に無事到着したな」


扉を開けて店内に入ると、客はゼロだった。


「おう。ソラシスだったよな…どうした?もうナイフの手入れか?」

盗賊の頭を張れる風体の店主は、フレンドリーにソラシスに声をかけてきた。


「違う、ココは中古の武器の買取をしているか?」

「中古の武器か?物を見てみないとわからんが…あまり高くは引き取れないぞ?」

「ああ、問題ないよ。俺には不要な武器が大量に入ったんだ」

そう言いソラシスは、店主の前のテーブルに置けるだけの武器を出して並べた…

「おいおいおい…マジかよ…その指輪…凄いな…」


店主のゴブルは、一瞬ソラシスの指にハマっている指輪を見たが、直ぐに視線をテーブルに置かれた武器に戻したのだ。


「武具の状態は…どれもよくない…ちゃんと手入れされてない物ばかりだな…」


テーブルに置かれた武器を一つ一つ手に取り、隅々まで調べるゴブル。


「全部売りでいいのか?」

「ああ、俺には不要な武器だからな…他にもまだまだあるぞ!」

「まだ…あるのかよ…」


(入手経路は聞かないんだな)


「ん?どうした?儂の顔に何かついてるのか?」

「いや、武器の入手経路とか聞かれると思ったんだよ」

「ああ、そんなことか…儂の人を見る目は確かだからな!」

自信たっぷりに答えるゴブルは続けて、

「それに、目が濁っていない…心にやましい奴はな、目が濁っとるからな。お前は大丈夫だな…その鋭い視線は怖いがな…」

「なるほど」

(最後のひと言は余計だが、良いこと言うな)


「取り敢えず、今回はテーブルに置かれた武器のみにしてくれ!手入れせんと悪くなるからな…」

「分かったよ」

「少し待っててくれー」

そう言うとゴブルは、テーブルに置かれた武器類を次々に見て行った。


(しかし…よく寝るな…)

ソラシスに抱っこされて気持ちいいのか、ぐっすり眠っているクウである。


クウから再びゴブルに視線を戻したソラシスは…


(その目力で人をヤレそうだよな…)


待つこと10分ほど…


「全部で銀貨30枚でどうだ?」

「ああ、問題ない。まさか…こんな使い込まれた物に値が付くとはな…」


ソラシスが今回テーブルに置いた武器類の数は…全部で13点


「まだまだ使えるさ…手入れ不足で悪くなってるが、ワシが手入れするからな…問題なし」

「なるほど。職人だな…」

「よせよ…照れるじゃないか……金持ってくるから、少し待っててくれ!」

ゴブルは褒められてテレたのか、そそくさと店奥に行った。


(盗賊顔に深い傷のある…おっちゃんのテレなんかいらんぞ…)


店内を眺めること数分…


ゴブルが店奥から戻って来て、お金をテーブルに置いた。


そのお金を受取り、次の来訪予定を伝えて店を後にした。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る