第38話 監視されるのは、気分が悪いよね
アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド・大通り
雑貨屋を出たら、見知った顔のエルフに遭遇した。
「相変わらずだな…」
ミントはクウの頭をなでなでモフモフしている。
その顔はとても満足げで…うっとりしていた。
「一人なのか?メンバーは…どうしたんだ?」
「お兄さん~お休み中やよ~」
(そう言えば、ゴルドが暫く体を休めるって言ってたな…)
「なるほど。それで、ミントは一人でお出かけか?」
「うん。知り合いのエルフに会いに行くんよ~」
「なら、その知り合いを待たせたらダメだろ?早く行きなよ~」
「うん…そやけど…」
クウはミントの撫で方が気持ちいいらしく…寝てしまった。
名残惜しそうにミントは、クウを撫でるのをやめて…
「………それじゃ…お兄さん、クウちゃん…また今度やねぇ~」
(その…今生の別みたいな感じの表情…やめてくれよ…俺が悪いみたいじゃん…)
ミントは…何度も何度も、こちらを振り返りながら去って行った。
ミントを見送り、服屋に向かうべく歩き出したソラシスは…
(監視が一人増えたか…ホントに…めんどいねぇ~)
とある冒険者たち
「ヒカリ、遅くなってスマン」
「遅いよ~フレッツ…多分だけど、私の隠れていた場所…ソラシスさんに?バレてたよ…怖いからさぁ、もうお家に帰りたい…」
「ギルド長の依頼だぞ!断れないだろ!」
「だけどさぁ~」
「何も僕たちがソラシスに危害を加えるわけじゃないんだ。ソラシスにちょっかいをかけてくる奴らをギルド長に報告するのが僕たちの役目だろ?」
「なるほどねぇ~」
その突然の声に驚く二人…
「ああ、少しでも動いたら…命の保証はしないよ?」
その低い声に二人は体を震わせた。
「君たちはギルド長に依頼をされて、俺を監視していたのかな?」
「どうして…」
「ああ、場所が分かったのが不思議かな?それは秘密だよ。君たち見たところ、敵ではなさそうだから、何もしないけどさぁ…監視されるのは、かなり気分が悪いんだよ」
ソラシスは、二人の冒険者を尋問した。
二人の冒険者は、あのスラムの惨事を直接見ていたので、素直にソラシスの質問に答えたのだった。
「なるほどねぇ~分かったよ…君たちが近くに居る方が便利そうだね。いいよ、このまま監視していても」
その言葉に…ほっとするフレッツとヒカリ
(貴族、商人、国、裏の組織にと…そんなに俺とクウに興味があるのかねぇ…)
「それじゃ…お二人さん。俺は今から服を買いに行くんだ…尾行するなら、お好きにどーぞ」
そう言い残してソラシスは、二人から離れて行った。
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