第21話 武器屋に向かう前に少し寄り道を

アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド・冒険者ギルド・受付


二番倉庫を後にして、ゴルドと共に受付に向かうソラシスであった。


建物内を歩きながら、ソラシスはゴルドに時間の調べ方を聞いたのだ。ゴルドによると教会が一日に六回、四時間おきに教会の鐘を鳴らすらしい。


(なるほど…時計は高級品らしいな。一般庶民には手が出ない代物かぁ…いずれ欲しいな)


それと、ソラシスの冒険者ランクがGランクではなくFランクからなのは、魔物の打倒を一人で出来たなら直ぐにFランクに上がるとゴルドから説明された。


「やぁ!りりーちゃん。おつかれ~」

「ゴルドさん、ソラシスさん…お待ちしておりました。こちらが従魔登録カードになります。テイムモンスターには、首輪等を用意して従魔と分かるように装備させてくださいませ。そして、こちらがオーク打倒の報奨金の金貨5枚になります。お受け取りください」


ソラシスは、カウンターテーブルに置かれた金貨とクウ用の従魔カードを指輪に収納した。


「確かに受け取った」

(数人の視線を感じるな…)


やはりクウが気になるらしい。数人の冒険者たちがチラチラとソラシスとクウを観察していたのだ。


現在クウはソラシスに抱っこされ爆睡中である。


(いろいろとゴルドに聞いた感じだと…金貨1枚、日本円で100万ぐらいかな…って事は命張って一回の依頼で500万円かぁ…安いのか、高いのか…イマイチよく分からんな。まぁ、オークの肉と素材を売ったお金は別に入るから俺は別に良いけど、収納系のアイテムが無いとキツイよな…消耗品の道具買ったり、武器の手入れ、多く魔物の素材を持ち帰りたいなら、荷馬車と荷物持ちを雇うと…そして、パーティー組んでたら、報奨金の人数割りかぁ…ごく一般の冒険者って稼げているのかな……)


受付のリリーと少し世間話をして冒険者ギルドを後にした。


「ソラシス、先に武器屋でいいのか?」

「ああ、解体用のナイフと戦闘用の剣を見たい…剣は今日買うか分からんが、ナイフは二本か三本購入したいと思っている」


ソラシスはゴルドの後に付いて歩いて行く…


(人だらけだな…上野のアメ横商店街より…人が多いな。まぁ、アメ横より道幅は五倍ぐらい広いから歩きやすいな…さっきから…ねっとりした視線が鬱陶しいなぁ~)


道行く人達はソラシスに抱かれているクウに驚愕して…二度三度と見ているのだ。

中には隠し切れない瞳が濁っている者たちがクウを凝視している。


(へぇ~いろんな店があるな…)


「ソラシス、ここら辺から食べ物屋が多くなるぞ。ここら一帯は安くて美味いからオススメだぜ」

「さっきから…香ばしい匂いが辺りに漂っているな…何の食い物だろう…」

(腹が減る匂いだな…)

「キュー!」

「起きたのかクウ」

(この香ばしい匂いで目を覚ましたのか……)

「キュー!キュキュ」

「分かった分かったよ…何か買って食べよう」

「キュ~♪キュ~♪」

「ゴルド、この香ばしい匂いは何の食べ物だぁ?」

「ああ、この匂いかぁ…いい匂いだよなー」

「ゴルド、この食べ物を買いたいから、この屋台の場所に連れてってくれ」


ソラシスの言葉に無言で頷き案内を始めるゴルド。


「ここだぜ」

「腹が減る…匂いだな」

「キュー!」


(前世でよく見たことのある屋台だな。やきとり屋かぁ…)


「おっちゃん、三本くれ。ソラシス、クウ、オレが奢るから喰ってくれ。この屋台は美味くて安いからオススメだぞ」

「あいよ、銅貨三枚なぁ」

ゴルドは店主にお金を渡して、やきとりを三本受け取り、二本をソラシスに渡した。


「悪いなゴルド、ありがとう」

「キュー!」

(一本100円…安いな)


ソラシスはクウが食べやすいように、串から肉を外して、古き魔境の森で採取した皿代わりの葉っぱに置いてあげた。


すごい勢いでクウは肉を平らげたのだ…僅か二秒で…


「やわらかくて美味しい肉だな…」

「ああ、ランクFのラビットの肉だぜ。ランクが低いのに肉は美味いから、新人冒険者たちが最初に狙う魔物だぜ」


(ラビット…うさぎかぁ!初めて食べたけど美味しいな…)


「クウ、美味しかったな!」

「キュ~♪キュ~♪」

美味い物を食べてご機嫌のクウであった。


「さてと、ソラシス武器屋に向かおうぜ」

「ああ、頼む」


ゴルドが再び案内を再開して、武器屋に向かうソラシスとクウであった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る