第17話 冒険者登録

アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド・冒険者ギルド会議室


「……以上で古き魔境の森の聞き取りは終わりになります。ソラシス殿…この度はオークのスタンビードを殲滅してくれシールドの冒険者ギルドを預かる者として感謝申し上げます」


そう言い…ギルド長ミルクは、ソラシスに頭を下げた。


今回ソラシスとクウの一人と一匹の活躍で多くの冒険者の命が助かったのだ。大規模スタンビードが発生した場合…最前線で戦う大勢の冒険者の戦死は避けられない。今回のオークのスタンビードも対処は可能だが…戦闘になれば数十人の戦死は避けられなかっただろう。


過去には一度のスタンビードで一万人以上の冒険者が亡くなる最悪な事態も発生しているのだ。それだけ辺境都市シールドは危険な場所に位置している。


「しばらくの間…この都市に住む予定です…役に立てたのなら良かった…」


(てっきり俺の素性やクウの事を聞かれると思ったけど…聞かれなかったな…ほとんどゴルドが話して終わったな…楽で良かったが……)


「では…ワタシはこれにて失礼させてもらう」

ギルド長のミルクはそう言い会議室を後にした。


「ソラシスさん…」

ギルド職員のリリーがソラシスの座るテーブルに紙を二枚置いた。

「これは?」

「一枚目が冒険者登録の書類になります。二枚目は従魔登録の書類です。こちらで手続きとギルド規則をお伝えします。また今回の冒険者登録と従魔登録の登録料は無料になります」


「無料…いいのかタダで?」

「はい。問題ありません…心苦しくありますが、今回の報酬は余り高額ではありません…せめてもの感謝の気持ちと思い、お受け取りください」


「分かった」

ソラシスはテーブルに置かれた書類に目を通して……

(書くこと少ないな……)


一枚目

冒険者登録書

名前 ソラシス

種族 人族

性別 男

特技 早食い


……………………以上。

二枚目

従魔登録書

種族 ドラゴン

名前 クウ

……………………以上。



ソラシスは書類を書きギルド職員のリリーに渡した。


ギルド職員のリリーは、素早く書類に目を通し一瞬ソラシスをチラ見してから…

「は、はい…不備はありません…。冒険者ギルドの規則と従魔の取り扱いについて説明します」

「ああ、頼む」


「先ずはギルド規則は簡潔に説明します。冒険者ランクはGから始まります。ランク事に受けれる依頼は異なります。Gランクの場合はGランクと一つ上のFランク迄しか依頼を受注できません。依頼を失敗した場合にはペナルティー罰金が課せられます。多くの依頼を無事達成していけば冒険者ランクは上がって行きます。依頼主との冒険者の間に揉め事が起きた場合はギルドが調査に入りますが、冒険者同士の揉め事には冒険者ギルドは介入しません…従魔が起こしたトラブルは、飼い主の全責任になりますのでお気を付けください…」


「なるほど…仮に相手が武器を抜き襲って来たら殺してもいいのかな?」

ソラシスの発言にゴルドが口を挟んできた…

「おいおい…物騒だな…ソラシス」

「ん……?物騒かぁ?」

「そういう奴は捕まえて警備兵に引き渡すんだよ…」

「なるほど…善処するが…殺した場合は罪に問われるのか?」

「ギルド長が言ってた、正当なる防衛は認められているから…襲われたのを返り討ちにするのは問題にならないぞ…」

「了解したよ。ああ、そうだ…森で狩った魔物を売りたいんだけど…」

「はい。魔物の買取りですね!一階に専用の買取り場がありますので、そこに魔物の素材を運んでください。冒険者カードと今回の報酬は一階でお渡しします」

「ソラシス!俺たちが案内するぜ」

森の盾のメンバーたちも頷いている。

「助かるよ」


ソラシスはゴルドとギルド職員のリリーに質問しながら一階の素材売り場に移動していった…





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