第15話 冒険者ギルド①

アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド・城門


辺りは静寂に包まれた。辛うじて隊長らしき人物がソラシスへ

「貴様!!!何をしたぁー!!!」

「何もしてませんが?むしろ私が何をしたんですか?」


そう言われると反論できない隊長。


再び辺りが静寂に包まれたが……


「隊長さん!緊急の急ぎなんだ!森の報告を速やかにギルドに報告しなきゃいけない!オレたち森と盾がソラシスの身元を保証する!だから早くここを通してくれ!」


ゴルドの言葉で困惑する隊長……

「自分の権限では……」

「ワタシが保証しよう!」

突然現れた女が隊長に声を掛ける。


「森の盾のメンバーには古き魔境の森の調査を依頼してある、緊急を知らせる赤の狼煙が上がったと監視小屋から連絡が来ている。早急に事態を把握したい。」


(誰だ……?)

ソラシスが突然現れた大柄の女を眺めていると……その視線に気づいたのか…


「ワタシはシールドの冒険者ギルドのギルド長…ミルクです」

「それはどーもです。空飛ぶ魔法商人のソラシスです」

(人族なのか……?デカいな…2メートルはありそうだな…)

「君にも事情を聴きたいが…いいかな?」

「問題ないですよ」

(まぁ…聞かれて困ることもないしな…)


アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド・冒険者ギルド会議室


前世も今世も異世界だろうと地球だろうと…力を持つ者…権力者の一声で状況は一変する。シールド城門前のトラブルもギルド長の登場で混乱は収まり、現在ソラシスと森と盾のメンバーたちは冒険者ギルドの会議室に来ている。


ソラシスは森の盾のメンバーたちがギルド長に説明しているのをクウを抱っこしながら眺めていた。


(このお菓子…美味い…クウにほとんど食われたが…前世でよく食べていたカントリーマムのクッキーの味に似ているな……)


「そんで、オレたちはシンを逃がして時間を稼ごうと……」


ゴルドの説明を聞きながら…今後のことを考えているソラシス。


「オラたちはオークの軍勢に死を覚悟したべ…そこにソラシスとクウが来て助けてくれたべ…」

クマキチの言葉に頷く森の盾のメンバーたち。


「なるほど…分かりました。では次はソラシスさんにお話をお聞きしましょう」

「ああ、別にいいが…ゴルドやクマキチの説明通りオークの軍勢に襲われそうになっていた森の盾のメンバーたちを助けるべくクウのブレスで敵を一掃した…燃やし尽くしたせいで…オークキングの素材も全て消え去ったが……」


「なるほど。やはり…そのドラゴンの子供は…エンシェントフェアリードラゴンなんですね……」

ギルド長はクッキーを食べるクウを凝視していた…


「そうらしいですねぇー。『おとぎ話』を聞いたことも読んだことも無かったので…」

「街や村に魔物を出入りさせる場合は冒険者ギルドに登録が必要になり、従魔が街や村で暴れたり住民等にケガを負わせた場合はテイマーの責任になる…その点は承知してほしい…」


ギルド長…ミルクは内心…恐怖に震えていた…冒険者稼業に関わり50年…長年の経験が目の前の男は危険だと警告を鳴らしている。怒らせたらマズいと……


「ああ、承知してますよ…但しクウに手を出す者は…何者であれ…一切容赦しない」


その一言に…じわっと汗が出るギルド長のミルクであった。

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