第14話 辺境都市シールド城門

アティム大陸・ロマネスコ王国・辺境都市・シールド


「ソラシス!すまないが都市から少し離れた場所に降りてくれないか」

「なんでだ?歩くの・・・めんどいんだが?」

まぁ、何となくだが理由は分かる。けど、直に門の前まで行く方が楽なんだよな。

「ドラゴンが都市に向かって来たら、大パニックになるぞ」

「そうね。無用なトラブルは避けるべきよ~」

ゴルドの言葉に同意するローズ。

「おら・・・こわいべ」

相変わらず、足をぷるぷるさせているクマキチ。

「お兄さん。クウちゃんは正義やけど・・・いきなり門の前まで行くと攻撃されるかも・・・まぁ、お兄さんもクウちゃんも強いからなぁ~攻撃は効かんと思うけどなぁ~」


ミントの言葉に頷く森と盾のメンバーとシン。


「分かったよ。少し前で地上に降りよう。まぁ、騒ぎは『どのみち』起きる」

ソラシスは、そう言いって、地上に指を指した。

ソラシスが指を指した方を見るゴルドたち。

「アレは・・・商人か?」

「多分、護衛の誰かが上空のクウに気が付いたんだろ・・・それで、慌ててシールドに走ってるんじゃないのか・・・・・」

ソラシスの言葉に

「そうね・・・あっちの方の冒険者たちも気が付いたみたいよ・・・」

ローズも右斜め前方の・・・といっても、既に追い抜かしているのだけども・・・


ソラシスは降りる場所を探して、地上を眺めていた。


お!あそこ良いな。

「クウ、あの人がいない辺りに降りてくれ!」

「キュー!」

クウは少しづつ高度を下げ

「よし!到着した。クウお疲れさま。スキルを解除しろ!」

「キュー!」

クウはスキルを解除した。解除と同時に見る見るうちに体が小っちゃくなり・・・

「きゃー!クウちゃん~♪かわいい~かわいいわぁ~正義やよ~」

どうやら・・・ミントはクウの可愛さに完全にやられたようだ。

「ホント・・・かわいいわねぇ~」

ローズもミントに同意した。

「地上だべ」

「・・・・・えぇっ!?」

クウが小っちゃくなり、ひとり驚くシン。

「お前たち!騒ぐのは後だ!ギルドに急ぐぞー」

ゴルドの言葉に頷くメンバーたち


30分ほど歩いていると、チラホラと冒険者に商人、鎧を着てる騎士にと、段々と人が多くなってきた。


「へぇ~地上から見ると都市を守る壁って、けっこう高いんだな」

「そりゃあそうだぞ。ここは辺境なんだ、魔物のスタンビードも頻繁に起きるんだ。壁は厚くて高い方が安心できる」

ゴルドの言葉に頷く、森と盾のメンバーとシン。


ソラシスはゴルドの話を聞きながら、周囲を眺めていた。

「なんか・・・チラホラこっちを見てくる奴らが多いな」

「仕方ないぜ。ドラゴンなんて、滅多にお目に掛かれない存在だぜ!」

ゴルドの言葉に同意するメンバーたち。

「だから気を付けてくれよ、ソラシス」

「ああ、気を付けるが・・・向こうから来たら、俺は一切容赦しない」

無意識に少し殺気が放たれたせいで


ゴルドたちは額に大粒の汗をかき、シンに至っては・・・少し漏らしてしまったのだ。


そのまま無言で歩くこと約20分

「ゴルド、あの列に並ぶのか?」

辺境都市に入るべく、多くの人たちが長蛇の列を作っていたのだ。

「いや・・・今回は緊急事態だから、左の門から入る。赤い狼煙の件もギルドに早急に報告しないとダメだからな」


ゴルドの言葉に安堵するソラシスであった。


あんなに長い行列に並ばなくていいなら・・・ホント良かったぞ。

いったい何人並んでいるんだよ?前世で野球を観戦しに東京ドームに行ったが、

その時の何十倍も並んでいるよな・・・・・すごいなぁ。

都市に入るヤツも多いけど、出るヤツもかなり多いな。



ソラシスはクウを器用に頭に乗せて、周囲をチラホラ見ながら歩くのだった。


左門の列に並びながら(並ぶといっても前に貴族の馬車が一台いるだけだが)

ソラシスは今後のプランを考えるのだった。


暫くこの都市で暮らしながら、レベル上げと情報収集しようかな。

短剣とかも欲しいよな。魔物を狩って、金を貯めないとな・・・

おいしいメシが食べたいなぁ~


「ソラシス、そろそろオレたちの番だぞ。お前、身分証無いんだよな?」

「無いぞ。それと金もない。オークの肉とか魔石って買い取ってくれるのか?」

「冒険者ギルドで買い取ってくれる。伝手が有るヤツは直接、商人や、お店に売るヤツも居るぞ。冒険者に登録すると特権として、門の通行料が無料になるんだよ。今回はオレが出すから心配するな」

「ゴルド、悪いな助かるぞ」

「助けてくれたお礼だ。これでも安いぐらいだぞ?」

他のメンバーたちも頷いていた。



「お前たち!ここは貴族専用の門だぞ!!!右の門に並び直せ」

門を守る一人が前に出てきて、大声で叫ぶ

「分かってます。オレたちは森の盾のパーティーです。今回ギルド長の依頼で、古き魔境の森の調査に向かいました。ギルド長に大至急報告があります」

その言葉を聞いて、門番の責任者が前に出てきて

「虚偽報告であれば、後に厳罰に処されるが、よいかね?」

「はい。問題ありません」

「よかろう。ギルドカードを提示しなさい」

次々にギルドカードを提示していき

「次、君の番だ・・・ってドラゴン!!!」

その言葉に門番たちは、条件反射的に剣を抜こうと・・・

「それを抜いたら、命はないぞ」

ソラシスの発した低い冷たい声で周囲の者たちは、体の震えが止まらずに、歯をカチカチさせながら、その場にへたり込んでしまったのだ。


辺りは静寂に包まれた。





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