第13話 辺境都市シールドへ②

アティム大陸・どの国の領土にも属さない無主地・古き魔境の森


森と盾のメンバーたちと雑談中のソラシス。


「キュー!!!」

遥か上空より、クウの声が木霊する。

クウの声に、上空を見上げるソラシスと森と盾のメンバーたち。

「どうやら、シンだっけ?場所をクウが見つけたらしい」

「こんな短時間に・・・すごいなぁ・・・」

驚くゴルドとメンバーたち。


「クウ!スキルを使って大きくなってくれー!!!」

ソラシスは風の魔法を使って、遥か上空にいるクウに声を届けた。

「キュー!!!」

ソラシスの声が届いたクウは、スキルを使用して、自身の身体を大きくしたのだ。

地上で見ていた森と盾のメンバーたちは、その光景に驚いていた。

「うん?みんな・・・どうした?大きいサイズのクウを1度見ているだろ?」


「いやいやいやいや・・・驚くぞ」

「すごいわ・・・・・」

「すごいべ」

「大きいクウちゃん~」

「クウ!ココに降りて来てくれ!」

「キュー!!!」


クウはソラシスが乗りやすいように、ソラシスの横にしゃがみ込んだ。

「よし!みんな乗ってくれ!上空は風が強いが、俺の魔法で風は防いでるから、クウの毛を軽く掴んでるだけで大丈夫だ!」


ソラシスの言葉を聞き、クウの背中に乗る森の盾のメンバーたち。

そして、ソラシスと森の盾のメンバーたちを背に乗せて、大空を羽ばたく純白のドラゴン。


「これが空の風景・・・」

感動で涙を流しているゴルド。

「ちょと・・・ゴルドなんで泣いてるのよぉ~」

「だってよぉ~ローズ、ガキの頃から夢だったんだぜ」

「ゴルドの夢は知ってるけど・・・」

ローズとゴルドは、同じ村の出身の幼馴染なのだが、ガチ泣きするゴルドに少し引いていた。

「こ、こわいべ」

クマキチは高い所が苦手なのか、目をぎゅっと閉じていた。

「クウちゃん~」

ミントはクウの背中をモフモフしている。


森の盾のメンバーたちを背に乗せ、僅か数分

「ゴルド!右を見てくれ!アレがシンかぁ?」

ソラシスに声を掛けられたゴルドは、ソラシスの指さす方を凝視した。

「あぁ、間違いないシンだ!!!」

「クウ!回り込んで、少し離れた所に降りてくれ!」

「キュー!」

ソラシスに声を掛けられたクウは、地上を必死に走る少年の少し離れた場所に降り立った。



一方、その少年は・・・


くそぉくそぉ!師匠、ローズさん、ミントさん、クマキチさん・・・みんな・・・死なないでくれ・・・緊急を知らせる赤い狼煙は上げた。少しでも早く監視小屋に行かないと!(森に異常がないかを常に監視する為、シールドの領主とギルドが話し合い作られた簡易の小屋が森を出て直ぐの所にある)


必死に走るシンの前方に・・・

「なぁ!ドラゴン・・・・・」

シンはドラゴンを見て、固まってしまった。

「おーい!シーンーーー!!!」

クウの背中から飛び降りたゴルドがシンの名前を叫びながら、シンの所まで走って来たのだ。

「えぇっ!師匠・・・え・・・・・」

驚きのあまり言葉が出ないシンであった。

「聞きたいことがあるだろうが、後にしてくれシン。とりあえず急いでシールドに向かうぞ!」

「分かりました・・・」


いろいろと聞きたいのを我慢して、ゴルドの後に続くシン。

「純白のドラゴン・・・・・」

ゴルドの後を付いて行き、少し落ち着きを取り戻したシンは、自分の目の前にいるドラゴンが『おとぎ話』の純白のドラゴンだと気が付いたのだ。


「ああ、驚いただろ?オレも最初に見た時は、腰が抜けそになったぞ」

「シン!無事でよかったわぁ~」

シンの顔を見て、森の盾のメンバーたちは、シンの無事を喜んだ。

「ローズさん!ミントさん!クマキチさん!無事でよかったです」

再会を喜ぶ、森の盾のメンバーたちとシン。


「再会を喜び合うのは良いが、俺は早く街に行きたい。早くクウに乗ってくれないか?」

「すまない。弟子の無事が嬉しくてな・・・」

「まぁ、いいが・・・」

「シン、この男はソラシス、そしてドラゴンのクウ。オレたちは、ソラシスとクウに助けられたんだ」


そうゴルドに説明され、シンはソラシスを見た。白い髪に整った顔立ち、そして赤い瞳と黒い瞳、二つの瞳を見ていると、なぜか自然と体が震えたのだ。その冷たい瞳に無意識に恐怖したシンであった。


ソラシスの瞳を見て恐怖したシンだが、ソラシスの冷たい視線は、シンに鑑定を使おうと、無意識に凝視していただけであったのだ・・・


「初めまして、空飛ぶ魔法商人のソラシスです。このドラゴンは相棒のクウっていいます。よろしく」

「は、はい・・・シンっています・・・」

「なんだぁー?シン緊張してるのか?」

「師匠、違いますよ・・・その・・・白いドラゴンって・・・」

「ああ、エンシェントフェアリードラゴンだとよ。『おとぎ話』のドラゴンだよ・・・オレも目の前でクウのブレスを見たけど・・・すごかった」

「すごかったわよ~」

「怖かったべ」

「クウちゃんは正義やよ」

「みんな!飛ぶぞ!クウの背中に乗ってくれ」

ソラシスに声を掛けられた、森と盾のメンバーたちとシンはクウの背に乗り・・・


ソラシスの掛け声で、クウは大地を蹴り空に羽ばたいたのだった。


ソラシスは地上を眺めながら、シンの鑑定結果の内容を思い浮かべていた。


鑑定

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【名前】シン

【種族】人族

【身分】冒険者・ランクD

【性別】男

【年齢】15

【レベル】43

【ライフ】400/500

【魔力】90/130

【スタミナ】C

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【魔法】

なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【スキル】

【身体強化】レベル2

【剣術】レベル3

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【特殊スキル】

なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【称号】

なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ソラシスが鑑定内容を考えていると・・・


「ソラシス!少し西に飛んでくれ!」

「分かったよ・・・クウ!」

「キュー!!!」

クウは言われた通りに、少し西に舵を切った。


それからソラシスは、ゴルドたちが今回ギルドの依頼を受けて、古き魔境の森の調査に来た話や、今までに受けてきた依頼やシールドの名物料理の話を聞かせてもらうのだった。


「キュー!!!」

「お!アレが都市かぁ!思ってたより・・・デカいな・・・」

ソラシスは、遥か前方を凝視した。

「ソラシスさん、自分には・・・見えないんですが・・・」

シンが戸惑いながら、ソラシスに尋ねた。

「あぁ、俺もクウも目はかない良くてな、遠くまで良く見えるんだよ」

「すごい・・・・・」

ゴルドは前方に目をこらすが

「オレにも見えんな」

「すごいべ」

クマキチは、ぷるぷると足が震えている。

女性陣も前方に目をこらすが・・・首を横に振り、見えないと言っていた。


それから約10分・・・

「やっとオレにも見えるぞ!シールドだぁ!!!」






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