第12話 辺境都市シールドへ①

アティム大陸・どの国の領土にも属さない無主地・古き魔境の森


「ソラシスと呼ばせてもらうぞ?」

「ええ、問題ないですよ。元冒険者の祖母から、冒険者の事は少し聞いてます。血の気が多い奴も多いから、丁寧語を喋ると、舐められるって祖母が言ってました。」

「そうねぇ~ホント嫌よねぇ~」

ローズは過去に嫌なことが遇ったのか、顔をしかめながら、ソラシスの言葉に頷いていた。

「そうだべ」

モフモフのおっさんも同意した。

「ウチも嫌いやわぁ~」

ミントも同じらしい。


なるほど。やっぱり血の気の多い奴が多いのか・・・クウを狙う者、俺の指輪やローブを奪おうと襲って来るヤツは・・・半殺しか・・・ヤルかぁ・・・・・。


「ソラシス、ここを移動したいが大丈夫かぁ?」

「俺は別に構わないですよ」

てか、歩きかぁ・・・・・めんどいな。クウに乗って・・・

「クウ!スキルで、いつもの倍の大きさになれるか?」

「キュー!」

クウは問題ないと頷く。

「ゴルド、正直言って四日も歩くのが、めんどい。クウなら数時間で行ける。」

ソラシスの言葉に驚く、森と盾のメンバーたち

「マジかよ」

「さすが・・・ドラゴンよねぇー」

「すごいべ」

「クウちゃん・・・モフモフは正義やねぇ~」


最後のミントだけ、おかしかったが・・・・・。

「全員、クウの背中に乗るか?クウはスキルで、デカくなれるんだよ」

まぁ、このスキルは隠す必要がないしな。使っていけば、直ぐにバレるからな。


ソラシスの言葉に、森と盾のメンバーたちは・・・


ゴルドが目をキラキラさせて、

「ガキの頃、ワイバーン飛行騎士になることが、夢だったんだよ」

「オラ・・・こわいだぁ・・・」

「モフモフは正義やよ」

「乗せてくれるのは、ありがたいわぁ、でもゴルド、シンを先に見つけないと、緊急事態の狼煙を上げちゃうわよ!」

「ああ、そうだった。驚きの連続でよ、すっかり忘れてた・・・シンを見つけないとな」


シン?誰だ・・・パーティーメンバーは、四人って言ってたよな。


ソラシスが疑問に思っていたら、横にいるミントが、

「お兄さん。シンはゴルドの弟子やよ。偶然、森で遭遇してなぁ~、一緒に行動してたんやけど、オークの軍勢と森の異変をギルドに伝える為になぁ~、先に行かせたんよぉ~」

「なるほど」

「悪いが、先にシンを回収したい。ソラシスいいか?」

「問題ない」

「大体の場所は分かるから、直ぐに移動しよう」

そう言い、すごい速さで移動を開始した。


余ほど、弟子が心配なんだなぁ~と思いながら、ソラシスはゴルドの後をついて行った。


ソラシスと森の盾のメンバーたちは、そこから30分ほど移動した。


「うん?アレは・・・赤い煙?」

ソラシスは、小高い丘の上から赤い煙が立ち上がるのを見た。

「シンねぇ。無事に生きてるわねぇ」

「走るぞ!!!」

赤い煙を見て走る森の盾のメンバーたち。

ソラシスとクウも続く


赤い狼煙の所に着いた、森の盾のメンバーとソラシス

「もう移動したみたいだな・・・」

辺りを捜索するも、見つからず・・・


「クウ、空に飛んで探索してくれ!」

「キュー!」

ソラシスの言葉に頷き、上空に飛びだったクウ。

「無暗に探しても、見つけるのは難しい。クウに周囲の探査を頼んだから、少しここで待とう」


ソラシスの提案に、森の盾のメンバーたちは頷いた。


スラシスはクウを待ちながら・・・

「お兄さん!?どこから・・・それ出したの・・・」

ソラシスは時空の指輪から取り出した、ナーシィーの実に、かぶり付いていたのだ。

「これか?ナーシィーの実だよ。みずみずしくて美味しいぞ!ミントも喰うかぁ?」

ソラシスは時空の指輪から、ナーシィーの実を一つ取り出してミントに渡した。

「あ、ありがとう・・・」

ナーシィーの実を貰って、戸惑うミント。


「少し説明したと思うが、この指輪だよ。祖母から貰ったんだ。収納機能が付いているマジックアイテムだと思う。祖母が亡くなる直前に貰った物だから、詳しい性能は聞いてないんだよ。」

まぁ、説明って言っても、この指輪の中にクウのタマゴが入っていたとしか言ってないけどな。


「ソラシス、多分その指輪、かなりのレア品だと思うぞ。収納系のアイテムは高価だから、取られないように、気を付けろよ!」

「ああ、分かったよ」

ゴルドの忠告に素直に頷いたソラシスは、残りのメンバーたちにも、ナーシィーの実を、ひとつずつ配ったのであった。


「うまい!!!」

「ちょと・・・ゴルド、うるさいわよ!」

「だってよぉローズ!ナーシィーの実だぞ!あんなにマズい実がぁ・・・めちゃくちゃ美味いんだぞ!!!」

「うまいべ!」

クマキチが、むしゃむしゃとナーシィーの実にかぶり付いている。


「ナーシィーの実って、マズいの?こんなに美味しいのに・・・」

「お兄さんのくれた物が、特別やとおもう。シールドの都市で売ってるナーシィーの実は、こんなにも美味しくないよぉ~・・・」

ミントの言葉に頷く、森と盾のメンバーたち。

「なるほど。ここに来る途中で見つけたんだよ。また今度、取りに行こうかな。これ、クウの大好物なんだよなぁ~」

「クウちゃんも、甘い物が好きなんやねぇ~」


それから暫くの間、森と盾のメンバーたちと、たわいもない話をしながら、クウの帰りを待つのであった。




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