第9話 大陸を焼いた『炎』
アティム大陸・どの国の領土にも属さない無主地・古き魔境の森
オークキングの死により統制が完全に失われ暴走するオークたち。
元々混乱状態だった彼らは王の死で四方八方に軍勢が分かれ走り続けていた。
ソラシスはクウの背中から火縄銃を連射して次々にオークを倒していった。
「ちぃ!あっちこっち行きやがって・・・キリがないな。」
ソラシスは必死に火縄銃の引き金を引いて魔弾を発射するが、
オークの数が多くて火縄銃一丁では焼け石に水 状態であったのだ。
「クウ!二手に分かれるぞ!右手のオークの軍勢になら炎のブレスを使ってもいい!そっちに居るフルティン野郎も一緒に殲滅してくれ!」
オークの軍勢の大部分は右手の岩場方面の石がゴロゴロ地面に転がっている場所に向かっているのだ。
「キュキュ!」
「どうしたクウ?」
クウは器用に首を振ってソラシスにあっちを見てとジェスチャーをしたのだ。
ソラシスはクウが見ている方をよく見てみると・・・・・
地上にはオークの軍勢の進行方向に冒険者らしき存在が四人いたのだ。
「マジか!?冒険者かな?この世界に来て初めての人だな・・・って今はそれどころじゃないな。」
オークの暴走って・・・多分・・・俺のせいだよな・・・・・。
このまま行けば100体ほどのオークの軍勢が地上の冒険者たちにぶつかるよな。
「見捨てるのは目覚めが悪いよな・・・」
少し迷ったが自分のせいで死なれたら少し嫌な気分になると判断して助けることを決めたのだ。
ソラシス自身は知らなかったが、アティム神に魂を少しイジられているのだ。
まぁ、それも神の配慮であり地球という比較的安全な場所で、
人を殺めたことが無いソラシスがアティムの世界で苦しまないように配慮したのだ。
その結果、ソラシスが関わったて起きたスタンビードで、万が一、人が死んでも
悩み苦しむこともなく、少し嫌な気分になる程度で済んでいるのだ。
「クウ!あの人間たちの所に全力で飛んでくれ!!!」
「キュー!」
ソラシスの指示を聞き素早く行動に移すクウ。
その飛行スピードはオークを圧倒しており、
クウは冒険者たちの近くまで神速で到達したのだ。
「チッ・・・クウ、仕方ない!ブレスを使え!火は俺が消す!」
「キュー!!!」
ソラシスの言葉にクウは煉獄のブレスをオークたちに吹きかけたのだ!
そして、ソラシスもクウのブレスに合わせて風の魔法を使用したのだ。
ソラシスがクウの煉獄のブレスに風の魔法を使用して威力を上げたのだ。
その威力は凄まじくオークの軍勢は炭すら残らず焼き尽くされたのだった。
「やべぇ・・・・・やり過ぎた・・・・・。」
クウの煉獄のブレスにソラシスの風の魔法。この二つの凶悪な力が混ざり合って、
現在、辺り一面この世の終わりかと思うほど煉獄の炎で焼き尽くされているのだ。
「なぁ・・・・・?俺たちは夢でも見てるのか・・・・・。」
森の盾のリーダーゴルドは、パーティーメンバーに力なく問うたのだった。
目の前には、さっきまで自分たちに向かって来ていたオークの軍勢は一匹もいない。
その代わりに自分たちの目の前は地獄と化していたのだ。
ここに居ても汗が額からダラダラと垂れおち熱さで汗が止まらないのだ。
目の前の全てが燃えている、いや燃え尽くされているのだ。
少し冷静さを取り戻したミントが空を見上げた。
「・・・・・純白のドラゴン・・・」
ミントの言葉にパーティーメンバー全員が空を見上げる
「おとぎ話のドラゴンだべぇ・・・」
「うそぉー!本物・・・・・えぇっ!背中に誰か乗ってるわよ!?」
「おいおいおいおい・・・・・マジかよ」
森の盾のメンバー全員が唖然とした。
数は少ないがドラゴン種は、このアティム大陸に生息している。
だが、純白のドラゴンは一種族しかいない。
神が地上に放った神獣、エンシェントフェアリードラゴンのみである。
ソラシスはクウの背中に乗りながら
「あぁぁぁぁぁ!!!オークキングの素材も全て燃えてしまった・・・」
ショックを受けるソラシスに・・・
「キュー!!!」
「ああ、そうだなぁ。火を消さないとな」
ソラシスは水の魔法を広範囲に発動して人工のゲリラ豪雨を作り出し、
燃え盛る木々に大雨を降らせ火を消していったのだった。
「雨かぁ・・・」
ゴルドがボソッと囁いた
「これ魔法やで・・・ウチ、こんな凄い魔法見たことないでぇ~」
「ちょちょと・・・ドラゴンがこっちに来てるわよ!?」
「攻撃するなよ!ローズ」
「はぁ~?ゴルド、さっきドラゴンが吹いたブレス見たでしょ?私まだ死にたくないわよ・・・」
「おらたちが見たのが、大陸を焼いた炎だべかぁ・・・・・」
クマキチの言葉にパーティーメンバー全員が固まる。
アティム大陸では有名な『おとぎ話』なのだ。
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