第6話 オークの王様。オークキングの恐怖

アティム大陸・どの国の領土にも属さない無主地・古き魔境の森


森の盾一行。


シンを一行に加えた森の盾のメンバーたちは、

古き魔境の森から脱出すべく移動をしていたのだが・・・


「ギィギィ!ギィギィ!」

「くそぉーゴブリンがぁ!!!これで最後だぁ!!!」

ゴルドはロングソードで最後の一匹の首を切り落として

「これ以上の戦闘は体力的にきついぞ!」

「わたしはまだ大丈夫だけど、ミントはもう駄目よ・・・魔法の使い過ぎだわ」

ローズは心配そうにミントを見つめる

「うちの魔法はあと一回が限度やね・・・・・」

「おらわまだまだ元気だべ」

人獣族・熊族のクマキチはタフネスなのである。


「す、すいません。役に立てずすみません」

謝るシン。

「シン気にするな!お前も単体のオークなら問題なく倒せるんだから、あまり気に病むな。」

「・・・・・はい」

シンは普段パーティーを組んでいない森の盾のメンバーたちの戦いの邪魔をしてはいけないと積極的に動くことができなかったのだ。


既にオーク、ゴブリンの襲撃が六度もあり疲労困憊の森の盾のメンバーたち

あと五時間ほどで古き魔境の森から脱出できる所まで来ていたのだ。


異常に多い魔物と謎の咆哮を冒険者ギルドに報告する為に、

一行は腰を下ろして休みたいのを我慢してシールドを目指し歩くのだった。


一行は鬱蒼とした木々から抜け出して、現在は草原を歩いていた。

この草原を抜けた先にある小高い丘を降りて一時間ほど歩けば森からの脱出である。


「ブモォーーー!!!!!!」

その咆哮に足が止まる森の盾のメンバーたちとシン


「あかん・・・ダメや・・・・・。」

絶望の顔を浮かべるミント

「しっかりしろミント!」

パーティーリーダーのゴルドがミントに喝を入れるが・・・

「あの声・・・多分オークキングやぁよ・・・」


ゴルドがパーティーメンバー全員に聞こえるように大声で叫ぶ!

「くそぉ!急いで逃げるぞ!!!」

ゴルドの声に一斉に走り出すパーティーメンバーたち


鬱蒼とした木々の間から次々とオークが飛び出してくる

そして・・・・・

「ブモォーーー!!!!!!」

オークキングが森から勢いよく飛び出してきた。


この時のオークキングの気持ちを理解できた者は、この場にはいないだろう。

少し前に自分よりも強者と分かる咆哮が聞こえて生まれて初めて恐怖を味わった。


ゴルドたちには、王者が軍勢を引き連れ攻めてきたように見えていたが・・・


実情は・・・いきなり攻撃をされ周りを見渡すが・・・・・

自分が何に攻撃をされているのか分からずに苛立ちを募らせたのだ


最初に攻撃を受けた時は、全く痛くも痒くもないものだったのだが、

次第に攻撃を受ける度に体に激痛が走り恐怖したオークキングは、

その場を走り去ろうとしたのだが、

痛みで倒れこんだ拍子に偶然空に自分を攻撃してる存在を目撃したのだ。


純白のドラゴンと、その背に乗る白い髪の死神を・・・・・。

その存在に気が付いたオークキングは、瞬時に理解したのだ勝てないと。


オークキングは、パニックに陥ったのだ、訳も分からず咆哮を上げたせいで、

部下のオークたちもパニックに陥り・・・意味不明で走り出すのだった。


オークキングと部下のオークたちは、何で自分たちが走っているのかも分かっていないだろう。こうして意味不明のままスタンビードが始まったのだった。




「くそぉ!オークキングが来やがった!逃げるぞ!!!みんな全力で走れー」

オークキング単体なら森の盾のメンバーたちで倒すことは出来ただろうが、

オークキングを含め、ぱっと見で300体ほどのオークが一斉に走ってきており・・・

ゴルドたち1パーティーでは対処不可能な数である。


ゴルドが走りながら叫ぶ

「みんながんばれー!丘の上で緊急の狼煙を上げるぞォー!!!」


「キャーッ!!!」

突然の叫び声で振り返るゴルド・・・

そこには足がもつれ地面に倒れているミントがいた。

「大丈夫だべか?」

「あかんわぁ足を挫いてしもうた・・・うちわダメや・・・ココに置いていって」

「バカヤロー!クマキチー担いでやれー」

「わかったべ」

クマキチはシンに斧を渡して素早くミントを抱っこして走り出した。


「くそぉ!追いつかれるぞぉー!みんなぁー走れーーー」

「ゴルドさん!前方からもオークの集団です!」

背後のオークから必死に走って逃げているが、前方からもオークの集団が現れた!


「ダメだぁー逃げきれん・・・シン俺たちが時間を稼ぐーお前は生きて必ずギルドにたどり着き報告しろ!!!分かったなー?」

「そんな!師匠たちを置いて行けません」

「行きなさいシン!」

「ローズさん!?」

「この中で貴方が一番足が速いわ・・・オークの襲撃も躱せるはずよ」

「シン!師匠命令だぁ!速やかにここから離れてギルドを目指せ!途中で必ず緊急事態の狼煙を上げろ!分かったな!!!」


「分かりました・・・・・」

シンが涙ながらに魔物が居ない方へ走り出し・・・


「お前たちとパーティーを組めて良かったよ」

「いきなりなによ!?」

「うちも楽しかったわ~」

「うんだ!よかったべ」

「なぁにぃ~みんなぁ死ぬ気なの?」

「まぁ、最後まで頑張るが・・・・・」

ゴルドが話している途中に

「ブモォーーー!!!!!!」

オークキングが雄たけびを上げたと同時にオークキングの首が吹き飛んだのだ。

「はぁ・・・・・。」

ゴルドは口を開いたまま・・・いやパーティーメンバー全員が驚きの光景に固まってしまったのだ。


森の盾のメンバーたちの目の前ではオークが次々に倒れていくのだ。

理解が追い付かず・・・目の前の光景を眺めるのがやっとだった。

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