第36話 結ばれる三人
遊園地から帰ってきた俺はみんなで晩御飯を食べるとそのまま、お風呂へと入らされた。雪乃が一緒に入りたがっていたが、想に止められていたので何らかの理由があるのだろう。
そして、晩御飯がうなぎとすっぽんとかつてを彷彿とさせるメニューだったことにも何らかの理由があるのだろう。
「やっべえ、目がギンギンだ……」
ついでに息子もギンギンである。想の家に止まったときは何とか制御しなけばというプレッシャーがあったが、俺たちはすでに正式にお付き合いをしているのでそれもない。
むしろどう、誘うかである。
「女の子はロマンチックなのがいいというし、やはり映画とか見ながらそういう風な雰囲気に持っていった方がいいよな……」
なんだか照れ臭いなと思いながらもスマホで初エッチ誘い方というのを検索する。やばい……なんか無茶苦茶緊張してきたぞ。
コンコンっと音がしたかと思うと、こちらが返事をする前に扉が開く。
「春人君、お待たせいたしました」
「その……春兄……優しないと許さないんだから」
そこにいるのはいつものように微笑んでいる想と、顔を真っ赤にしている雪乃だった。だが、その装いはいつもとは違う。
レースのあしらわれたネグリジェなのだが素肌と黒い下着が透けており、その胸元は大きく盛り上がっており、思わず目を奪われてしまう。
「うふふ、私のすべてが春人君のものなんですから、好きにしてもいいんですよ?」
「おお……知ってたがでかいな……」
わざと俺に見せつけるようにして腕を組むものだから、胸元がより強調されブルンブルンと揺れる。このおっぱいは犯罪ですよ。
「春兄……私もいるんだけど……」
ジトーっとした目をしてほほを膨らましているのは雪乃だ。彼女は水色のネグリジェを身にまとっており、色白い肌がまぶしく、想とは違った魅力を解き放っている。
「春兄私の時だけ感想が少なくないですか? 指摘しているのは肌だけじゃないですか。これでも少しはおおきくなってきるのに……」
「待って、今、俺の心を読んだの!?」
「うふふ、春人君は顔に出やすいですからね」
そういうレベルじゃないと思うんだけど……だが、相手の気持ちを察知する。これもまた、ヤンデレ美少女のスキルだろう。
やばい、俺たち以心伝心じゃん……ということは……
「うふふ、もちろん、春人君がその気なこともわかっていますよ。私たちも覚悟を決めてきましたからね。いわばこれが覚悟の姿です」
ブル〇カかな? とはいえ、女性にここまで言わせたのだ。俺とてヘタレはしな……
「うおおおおお……」
「春人君……大好きです……」
こちらが攻めようとする前に抱き着いてきた想によって、唇がふさがれる。それだけではない、彼女の唇が口内を蹂躙してくる。
さすがは想である。作戦はガンガン行こうぜなようだ。だけど、俺も一緒なんだよなぁ……
「ん……♡」
彼女の豊かな胸元の先端を撫でると甘い吐息がこぼれて攻め手が弱くなる。やはり彼女は攻撃力は高いが守備力は低いようだ。
そして、観覧車ではできなかった反撃もここでできる。
「あの二人の世界で入らないでよ、私もいるのよ!!」
雪乃の拗ねた声をききつつも俺は想の下半身に手をやって……
「ううん……」
朝起きると、昨日の感触がまだ残っている気がする。右にはぬくもりが、左には何もない……あれ、想は……?
雪乃の寝顔を確認し、怪訝な顔をしているとお味噌汁だろうか、空腹を刺激する香りを感じる。昨日あんなに頑張ったというのに元気だな……
あのあと結局、俺と想がイチャイチャとしたあとに、雪乃とイチャイチャし、その後は三人で……とまあ、なかなか濃厚な初体験をすましたのである。
おかげでだるさがまだ抜けない……
「ううん……春兄……?」
「おはよ、つかれているならもうちょっと寝てろ。ご飯ができたらおこしてやるからさ」
「うん……」
よほど疲れていたのだろう、返事をする間にも可愛らしく寝息をたててしまった。そんな彼女に苦笑して布団をあげると一瞬彼女の白く美しい裸体が目に入った。
こいつ裸で寝てるのかよ……
そのせいだろうか、昨日のことが思い出されてしまい、下半身が熱くなる。
「いや、昨日の今日であれだろ……」
雪乃をおこさないように気を付けながらベッドから出て、美味しそうな匂いのするキッチンへと足を運ぶ。
「おはよう、今日くらいさぼってもいいんだぞ」
「おはようございます。せっかくだから大好き人たちに食べてほしいんです。無理はしていないから安心してください」
部屋着にエプロン姿でフライパンをつかい卵焼きをつくっていた想が振り返ってほほ笑む。なんか新婚みたいでいいな!!
「ちょうどよかったです。ちょっと味見してください。あーん」
「それでは遠慮なく……」
手際よくさいばしでカットされた卵焼きを頂くと、口の中に甘味が広まっていく。
「うん、うまい!! やっぱり想の料理は最高だな」
なんだか新婚みたいでいいな。
「うふふ、ありがとうございます。なんだか新婚みたいですね」
「……俺の心を読んだな?」
ジトっとした目でうったえるが笑ってごまかされる。だけど、思う。朝起きて、好きな人がご飯を作っていて、好きな人と共に朝ご飯を食べて、何気ない会話をする。GPSでお互いの居場所を把握して、今度どこに行こうとか話し合う。これが恋人だったり家族になるってことなのだろう。
これからも俺たちはいろいろな体験をしつつ、仲良くやっていくだろう。それこそ楽しいだけじゃない。大変なことだってあると思う。だけど、それを三人なら乗り越えることができると思うんだ。
「もう、恋人を放っておいて何を考えているんですか、春人」
いつものように微笑みながら想が覗き込むようにしてみつめてくる。だけど、その顔はいつもに比べて少し赤い気がする。彼女のまた少し気恥ずかしいのだろう。
「俺たちの将来のことを考えていたんだよ」
「うふふ、一生一緒にいてくれるってことですか? 私の愛は重いですよ」
「そんなの当たり前だろ? 俺は想を一人にはしないよ。お前の重い愛がないと俺は生きていけないからな」
「春人……」
いつのまにかキッチンの火を消してた想が目をうるわせながら抱き着いてくきてそのまま唇を重ねてくる。いつものように柔らかい感触と甘い匂いを感じるが今日は違った。
なぜなら、俺はもう中身のすばらしさを知っているからだ……おっぱい……
「ん……ねえ、春人、私、幸せすぎてたぎってしまいました……ベッドへ行きませんか?」
俺の唇から離すと、そんなことを言ってきた。想の顔はすっかり上気しておりその瞳もとろんとしている。
「いや、さすがに二日連続は想も大変だろ? せっかく朝ご飯も作ってくれたし……」
「私のことなら大丈夫です。それにもっと春人君を感じたいんです……ダメですか?」
愛しの彼女に上目遣いにそんなことを言われて、断れる人間がいるだろうか? いや、いないだろう。そして、俺は想と抱き合いながらもベッドへ行くと、「何を二人でいちゃつこうとしているんですか?」と嫉妬した雪乃も合流した。
そうして俺たちは幸せな時間を過ごすのだった。
カクヨムコンテストように新作をあげました。
読んでくださるとうれしいです。
『破滅フラグしかないラスボス令嬢(最推し)の義兄に転生したので、『影の守護者』として見守ることにしました〜ただし、その正体がバレていることは、俺だけが知らない』
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