第24話 雪乃とお風呂

 お風呂に入ったらサプライズで義妹がいる……そんなのはラノベやギャルゲーでいくつも見てきた。その時どうするか……答えは簡単だ。



「まったく雪乃は甘えん坊だなぁ……そんなにお兄ちゃんと入りたかったのか?」

「な……」



 もちろん通常の対応である。

 俺の反応に雪乃はなぜか不満そうに頬をふくらましているので頭を撫でてやる。小学校高学年までは一緒に入っていたのだ。お互い大きくなってからは二人で入るには狭すぎるので別々になったが、想の家はかなり大きい久々に甘えたくなったのだろう。


 だから当たり前のこと……のはずなのに、俺は冷静さを保ちつつもむちゃくちゃドキドキとしてしまっていた。それはさっき食べた精力のつく料理だったり、非日常な光景とか、スク水から出てくる健康的な生足とか、普段は大人ぶっているのに、やたらと似合うスク水姿とか、自分で着ているくせに恥ずかしそうにしている赤い顔とか普段は見れない彼女に変な気持ちになっているのだろう。



「では春兄、私の背中を洗ってもらえるかしら?」

「は……?」

「何を言っているんですか、私はその……甘えん坊なので……それに、昔はよく洗ってくれたじゃないですか」



 そんなことを言うと彼女はボディーソープのついたスポンジを差し出してくる。いや、スク水着てるから意味なくない? と思ったが、彼女の背中が無言で早くしろと訴えている気がする。

 


 落ち着け、俺はお兄ちゃんだぞ!!



 ちょっとドキドキしている俺をおちつかせるため心の中で叫びながらスポンジを受け取って、雪乃のいつの間にか大きくなった背中をごしごしと洗ってやる。



「んーー♡」

「おい、変な声を上げるなよ、雪乃はエッチだなぁ……」

「な……春兄の洗い方がいやらしいからよ。私は悪く……あっ♡」



 普通に洗っているだけだというのに何この空気……? というか雪乃敏感で過ぎない? イレギュラーな状況に俺は変な気持ちになるのを抑える。

 というか……なんだろう、久々に触れる雪乃の背中はいつの間にか女性特有の丸みを帯びており、濡れた後ろ髪はなんとも艶っぽい。いつの間にか子供のそれから大人になりかけの少女になっているようだ。



「それにしても、どんな風の吹き回しだ? 俺をお風呂場で待っているなんてさ」

「……春兄はスク水姿の私で興奮したかしら?」

「ぶっ」



 会話のキャッチポールができていないんだけど!? 俺が噴き出すと、雪乃は振り向いてこちらを見つめてくる。

 その表情はいつも以上に真剣で……その瞳はどこかうるんでいて……まるで恋する乙女のようだななどと思ってしまう。



「は、はる兄は私でムラムラしたのですかと聞いているのよ!! 早く答えて!!」

「お前マジで何考えてんの? エロ娘が!! どこでそういう言葉覚えてくるんだよ!! クラスの男子には絶対そういうことを聞くなよ……」

「なっ、誰にでもそういうことを聞くわけないでしょう!! その春兄だからこそ聞いているのよ!! きゃっ」



 興奮したのか動揺したのか、俺の方に体を寄せようとした雪乃がお風呂場の床にすべりそうになったので抱きしめるようにして受け止める。



「おい、大丈夫か?」

「春兄もおおきくなっているわね……」



 あれ、息子のことかな? と思ったがさすがの俺もまだなんとか賢者れているはずだ。しかし、正面から抱きあうかたちになったせいか薄い布越しに彼女の体温と耳元で息遣いを感じてしまい、変に意識してしまう。

 さすがにやばいなと思って、体を離そうとすると、雪乃が全力で抱きしめてきた。それはまるで逃がさないとでも言う感じに……


「だめよ、春兄……もっとこうしてて」

「おい雪乃……?」

 


 より押し付けられる雪乃の胸部にささやかだが確かな柔らかさと、暖かさ、そして、どこか恍惚とした表情を浮かべている彼女に一つのことがよぎる。



 こいつのこれは本当に妹として慕っているのか? もしも、こいつが俺を最初っから異性として見ていて……これまでの行動が嫉妬などからくる行動だったらヤンデレの素質があるのではないだろうか?



 そう思うとともに心が高鳴っていくのを感じる。そして、俺は一つのことを聞く。



「なあ、雪乃」

「なんですか、春兄?」

「お前が発信器を……」

「うふふ、たのしそうですね、私もお邪魔させてもらいますね」

「へ?」



 そういってお風呂場に入ってきたのはビキニを身にまとった想だった。水着の間からのぞく白い肌と谷間がなんとも暴力的である。これがガンダムか!!



「春兄のバカ……」



 俺が思わず豊かな胸元を見つめていると耳元で雪乃の不機嫌そうな声が聞こえてくるが、仕方なくない?

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