第23話 お泊り
なかなか個性的なメニューだとは思うが、さすがは想というべきか料理は無茶苦茶美味しかった。彼女たちと俺の趣味であるヤンデレヒロインのラノベ原作のアニメをみながら雑談しつつ食事はすすむ。
ときおりヒロインの言動を見た雪乃が「なるほど……」とか、想が「わかります……」とか言っているのが聞こえてきたが料理がおいしすぎて正直気にならなかった。
「無茶苦茶美味しかったよ、ありがとう」
「うふふ、ありがとうございます。よかったらなのですが……今日はうちに泊まっていきませんか? 来客用のお布団もあるのでご安心ください」
「いやー、さすがに女の子の家にとまるのはなぁ……なあ、雪乃」
ありがたいお誘いだが、今回は断った方がいいだろう。仲の良いクライメイトの家という非日常に膝の上に座っている雪乃とさきほどいただいたすっぽん料理のせいか下半身が熱くなってきている。
それにだ。雪乃はこういうことには厳しいのだ。彼女の機嫌を損ねるのはちょっとな……
「いいですね、私は想先輩の家にお泊りしたいです」
「あれーーー?」
予想外の反応である。いくら仲良くなったからと言って結構人見知りの雪乃がここまで懐くのは珍しいことである。だったらその意思は尊重しないとな……
「じゃあ、俺はもう少ししたら帰るから、雪乃は泊って行けよ。女子会ってやつを楽しむと言い」
「え……だけど……」
「うふふ、雪乃ちゃんと一緒にお泊り楽しみです。では、食後のデザートにしましょう。お二人が買ってくれたシュークリームをいただきましょうか」
何か言いかけた雪乃の言葉に重ねるようにして、想が立ち上がる。彼女はなぜか雪乃にウインクをしながらシュークリームを取りに行く。
「さすがに俺も女の子二人と一緒にお泊りはつらいって……」
「だけど……春兄は私がいなくても寂しくないのかしら?」
「そりゃあさびしいけど……」
すねた顔をしてほほを膨らましてくる雪乃。いつも違う状況だからかさっきからどきりとしてしまう。
正直ここにいたらおかしくなりそうっていうのもあるんだよな。
現にすっぽんのせいか下半身の春人が元気になりそうなのを必死に耐えているのだ。
「紅茶も入れたので一緒に召し上がってください」
「うう……春兄のバカ……」
「おお、ありがとう。ほらシュークリームもおいしいぞ」
膝の上にすねている雪乃をなだめながら、さっそくいただくと口の中に生クリームとカスタードクリームの甘さがひろがっていく。
うめえ、さすがビアー〇パパである。俺たちのパパになってほしいくらいだ。
「うふふ、春人君たちが買ってきてくれたと思うとよりおいしいですね」
「……甘くておいしい……」
満面の笑みを浮かべる想と、好物を食べて機嫌が直って来る雪乃を眺めながら紅茶を飲みながらアニメを見ていると、なぜだろう。急激に眠気が襲ってくる。
やばい……意識が……
何か暖かいものに包まれる感覚と、クッションのようなものに顔を押し付けられたような感触襲ってくる。押し付けられたと言っても苦しくはなく、甘い匂いがして幸せな気持ちになった気がする。
「うーん……」
やたらと気持ちよく暖かい枕だなと思いながら、目を開けるとニコニコとほほ笑んでいる想と目が合った。
この状況……そして、この感覚は……
「うおおおおお!? ごめん。俺寝ちゃったみたいで……」
「もっと……休んでいてよかったんですよ?」
想に膝枕されているということに気づき慌てておきあがると、なぜか残念そうな顔をされてしまった。彼女の柔らかい太ももの感触と甘い香りを思い出してしまい少しくらくらする。
「その体勢つらくなかった? 重かったでしょ」
「うふふ、春人の顔を見ていたので全然つらくありませんでしたよ。それよりも今日はもう泊っていきませんか、明日はお休みですし、良い時間ですよ」
彼女の言う通り時計を見ると20時を指している。まあ、男子高校生になにかあるとも思えないがこんな時間歩くのもあれだし、心なしか体も重い。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな?」
「うふふ、嬉しいです。お二人とお泊りできるのとっても嬉しいんです!! それではよかったらお風呂に入ってきてください。パジャマは準備しておきますから」
鼻歌を歌いながら想はリビングルームを出て行ってしまった。それにしてもえらいことになったな……クラスメイトの家に泊まることになった上にお風呂を借りることになるとは……
まるでラノベのような状況に苦笑しながらお風呂場の扉を開ける。そして、着替えようとして……なにやら可愛らしいレースの布が落ちているの気づく。
「レースの布じゃねえわ!! ブラジャーじゃん!!」
俺は思わずつっこみをいれてから慌てて目を背けて、着替える。ちらっと見えたアルファベットはガンダムだった。確かに大きいとは思いましたが、ちょっと想像がつかない世界ですね。
まあ、想も自分の家だからときを抜いていたのだろう……
そして、俺がお風呂場の扉を開けて目を見開くことになる。
「遅かったわね、春兄……のぼせる所だったじゃない」
「いや、なんでお前がいるんだよ、雪乃……」
「昔は一緒に入っていたじゃないの。それに今はちゃんと水着を着ているからいいじゃない」
そう、俺の視界に入ったのはなぜかスクール水着に身を包んだ雪乃だったのだ。
食事を終えると眠たくなってしまうことってありますよね……? 薬? なんのことでしょう
面白いなと思ったらフォローや応援、星を頂けると嬉しいです。
特に星はランキングに大きくかかわるのでとても助かります。
それではまた明日の更新で
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます