第9話 お兄ちゃんどいてそいつ殺せない
結論だけ、書く。
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗したあたしは失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗したあたしは失敗した!!
お昼休みになり、私は昨日の盗聴器から嫌な予感を感じたこともあり、春兄のクラスへと足を運んでいた。
まさか、昨日の泥棒猫はあの転校生で間違いはないだろう。一応牽制しておいたので大人しくしているとは思うののだけど……この胸騒ぎはなんなのかしら?
これまで春兄に好意を寄せている異性というのはいなかったからと油断していたわね……
中高一貫校ということもあり、兄の交友関係は完全に把握していたのだが、まさかたった数日で家に招待するほどの関係なるとは……
モヤっとし気持ちを抱きながら頬を膨らませる。
当然のことだが、私が把握している春兄の交友関係というのは、友人からクラスメイトはもちろん後輩や先輩も含んでいる。知る限りの異性の交流や親密度がちゃんと頭にはいっているのだ。家族として当たり前のことである。
幸いにも生徒会長という立場と、二大美女などというくだらない肩書のこともあって情報収集に困ることはなかった。
「春兄は私のものなのに……」
とある事情があって異性との恋愛に後ろ向きで、『ヤンデレ美少女』という存在を神格化している春人を振り向かせるために化粧も覚えたし、雑誌にあるように甘えてもみた。
最近は好きすぎてついツンツンしてしまっているが、兄は許容してくれているのでこのまま徐々に既成事実を作ろうとしていたというのに……
昨日帰ってから、いつものように春人のベッドに入るとほかの異性の香りがしていたのである。そして、その犯人は噂の転校生とやらだと見当を付けたので様子を見に彼の教室にやってきたのだ。
「すいません……義兄さんはいますか?」
「あー、雪村さん!! 安心院君だよね。ちょっと待ってね……藤村ー!! 安心院君がどこに行ったか知らない?」
顔見知りの女生徒の話しかけると、以心伝心とばかりに春人を探してくれる。そう、学校の一部の生徒は私が春人を訪ねてくることは定期的にあるのですっかりなれているのである。
「あー、安心院は裏切りやがったよ……あいつは今頃白金さんと……」
教室をのぞきいつもの春人と一緒にご飯を食べている藤村が一人で弁当をたべていることに胸騒ぎをしていたが、彼の言葉で確信した。
「兄が……どうしましたか?」
「雪乃ちゃん? やっべ……」
現に彼に探るような視線を送ると即座に逸らされたので回り込んで再度問う。
「兄が……どうしましたか?」
「ひぃぃ!! 安心院のやつは中庭で白金さんの手作りお弁当を食べに行きましたぁぁぁ!!」
「手作りお弁当ですか……むぅぅぅーー、春兄のばかぁ!! どうせデレデレしているんでしょう!!」
予想もしなかった手札に私は思わずほほを膨らませるとその様子をみた春人のクラスメイト達から「かわいい!!」「久々に見たけど安心院は慕われているなぁ」などの言葉がクラスのあちこちから聞こえてくる。そう、中学からの恒例行事なこともあり、付き合いが長い連中は雪乃のブラコンっぷりを知っているのである。
その反応に思わず顔を真っ赤にして咳払いをする。
「こほん……義兄さんが悪い女の人に騙されているかもしれません、藤村さん案内してください」
「いや、その……さすがの俺も友達を売るのは……」
「……協力してくださるならば、今度藤村さんがお好きな言葉でののしりますよ?」
「あいつは中庭にいるよ。案内する!!」
変わり身の早い藤村の案内で中庭へと向かう私だったがその内心は敵の行動力に焦っていた。
転校生が盗聴器を仕掛けていたこと伝える? だめだ、普通ならドン引くだろうが春兄の場合は下手したら好感度があがってしまう……
藤村先輩のあとをついていきながらこれからどうしようかと作戦を練る。
そして、私の目に入った光景は、春人と想が仲良さそうにお弁当を食べている様子だった。そして、こちらの見ていた角度からはまるで、白金先輩が春兄の方に身を寄せてキスをしようという風に見えて……
「ちょっと雪村さん、顔出しちゃだめだって!!」
「義兄さん!! 何学校でいちゃついているのよ!! 不純異性交遊なんてダメじゃない!!」
思わず大声をあげてしまったのだった。
★★
突然顔をだして叫んだ雪乃の言葉に場の空気が一瞬凍ったが、それが雪乃と俺だと気づくと、周りはまたかとばかりにすぐに雑談に戻った。
まあ、昔はクラスメイトの女子と話すだけで取り乱していたからね。それよりもだ……
「白金さん、俺のいないところでも雪乃と話したことがあるの?」
「はい、ちょっとした事情で一方的にでしたがお話を聞かせていただきました」
「え? いつの間に……」
確かお互いの面識は昨日の朝の時くらいだと思うんだけど……気になって聞くが白金さんはなぜかほほ笑むだけで教えてくれない。まあ、仲良くしているならいっか。
そして、雪乃はというと、白金さんがハンカチで俺の顔を拭いているのを見て、なぜだか安心したように息を吐いた。
「どうやらキスをしていたわけではないようね……」
「当たり前だろうが……こんなところで付き合ってもいない女の子とキスをするわけないだろ……」
「ということは安心院君は違うところだったらキスしてくれるんですか?」
「は?」
白金さんの冗談で雪乃の目からハイライトが消え去り場がさらに凍る。なんで俺はクラスメイトと飯を食べているだけで、義妹と修羅場のような雰囲気にならねばならないのだろうか?
「おい、藤村……」
と責任を取らせようとしたらすでにあいつは逃亡していやがった。クズかな?
「雪乃さんとまたこうしておしゃべりできてとっても嬉しいです。あなたは安心院君の大事な『妹さん』らしいですね」
「私は別に白金先輩とお話しすることはないのですが……でも、安心しました。義兄さんとはまだ『名字』で呼び合う関係なんですね」
二人ともニコニコと笑いながら雑談をし始めている。なんだかんだ女子って打ち解けるのが早いよな……そんなことを思いながらお弁当に口をつけるて美味しい!! と堪能していると、周りにいた一人が「なんでこんな空気であんな風に食えるんだよ……」といって去っていった。
いやだって、昼休みでお弁当が目の前にあるんだぜ。食べる以外の選択肢はなくない? なのに、周りからはどんどん人が減っていっている。なんか事件でも起きているのだろうか……?
「なるほど……お弁当を作って春兄の胃袋をつかもうという作戦ですか……」
「作戦だなんてそんな……この前おうちにお邪魔した時のお礼ですよ。よかったら雪乃さんも食べてみますか? 安心院君も美味しいって言ってくれていますよ」
「結構です。あと私のことは雪村と呼んでいただけますか? 白金先輩」
和気あいあいとした女子同士の会話が続いていたが、昼休み終わりの予鈴がなってしまった。
「あー、二人とも盛り上がっているみたいだけどそろそろ教室に戻ろう。特に雪乃、お前は校舎もちがうから大変だろう? よかったら今度三人でも飯でも食べ……」
「結構よ!!」
「いいですね。楽しみにしてます」
雪乃と白金さんは正反対の言葉で返してきた。まったく雪乃は人見知りだからなーと思いながら教室に戻っているとメッセージが来ていた。
雪乃『(*‘ω‘ *)義兄さん、今日の晩御飯は私がつくるからおなかをすかしておいてね』
お、白金さんに感化されたのか、どうやら料理をつくってくれるらしい。だけど、あいつって料理できたっけ?
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雪乃ちゃんは料理ができるのか……?
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それではまた明日の更新で
またカクヨムコンテストように新作をあげました。
こちらも読んでくださるとうれしいです。
『せっかく嫌われ者の悪役領主に転生したので、ハーレム作って好き勝手生きることにした~なのに、なぜかシナリオ壊して世界を救っていたんだけど』
本人は好き勝手やっているのに、なぜか周りの評価があがっていく。悪役転生の勘違いものとなります。
https://kakuyomu.jp/works/16817330667726111803
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