第18話 キチークを追いかけろ!

「ということがあったのです。お兄様の指示通り動けたと思いますが、私たちは合格でしょうか?」

「グレイブ……天才……邪教と通じているなんて……私たちも知らなかった」



 え? キチークのやつもう邪教と仲良しなの? てか、こいつら俺の指示って何のことだよ? 正直てんぱっているが期待に満ちている二人にかける言葉は一つだ。

 


「ああ、よくやったな。キチークよ、お前の目論見は失敗におわった。観念するんだな。」



 もう、こいつらの言葉に乗っかるしかなくない? なんか知らないけどナナシの好感度も上がっているみたいだし、このままいけばハーレムの一員になってくれるかもしれない。いや、してみせる!!

 ナナシゲットだぜ!!



「くそ、よけいなことをしやがって覚えていろよ!! お前ら檻を解放しろ!!」



 キチークの指示によって檻が開いて、魔物たちが襲い掛かって来る。とはいえ戦力的にはドロシーやナナシ、あとは騎士たちがいるから大丈夫だろう。キチークの部下も一部を除けば邪教を信仰していた主を守る気はないようで武器を構えて、魔物たちと戦い始めた。



 それよりもだ……どうやって金を稼ぐかな……本来ならばキチークを脅迫して甘い汁を吸う予定だったのに……このままではナナシを仲間にできないぞ。

 そんなことを考えていると騎士たちの話し声が聞こえた。



「まさかキチーク様が邪神を崇拝していたとは……」

「だが、邪神の信者を捕まえれば、大金を教会からもらえるんだろ? 金持ちになるチャンスだぜ」



 え、マジで……? 金ももらえんの?



「ドロシーここはまかせた!! 俺はキチークを追う!!」

「義兄さま……さすがの正義感です!! 邪神崇拝者は救世主として放っておけませんものね」



 すでに駆け出していた俺にドロシーが、何か言っていたが聞こえなかった。ふはははは、これで金が入るぞ!!



 勝利の方程式が浮かんだ俺が豊かな胸のナナシをちらりと見ると、心なしか嬉しそうにピースしてくる。

 うおおお、これはセックスフラグでは?



 俺にはなぜかわからん好感度が高いうちにナナシを引き取ったり、爆乳ハーレムを作る準備をするために大金が必要なのだ。計画は変わったがキチークを捕らえて爆乳ハーレムを作るのだ!!



「キチークめ、絶対捕まえてやるからな!!」



 キチークの逃げた方にいくと松明の灯ったやたらと入り組んだ通路に出た。迷路状になっており、普通ならば迷ってしまうだろう。

 だが、問題はない。幸いにもキチークの城はゲームで通ったこともあり、道は覚えている。あいつが逃げるときに使う通路だって知っているのだ。



「私もついていこう」

「お前は……変態……じゃなかった。ベロニカ!!」



 振り返ると先ほどまでの痴態はどこにいったやら、凛々しい顔立ちのベロニカが並走してきた。すでに何体もの魔物を倒したのか、彼女の剣は血で濡れている。

 それだけならかっこいいのだが、なぜか服装はシャツに短パンという肌着姿で、動くたびに、豊かすぎる胸がばるんばるんと揺れていやがる。



「お前その恰好恥ずかしくないのか?」

「今は緊急事態だからね。私はキチークを追い詰めるために潜入していたんだ。着替えて功を逃したなんてあってはいけないのさ」

「なら、ついてこい!! 戦いでは頼りにしているぞ」



 そういうベロニカからはすました顔で答える。さっきはあれだったがやっぱりかっこいいな……変態だったのは状況が状況だったからだろうか?

 ちなみにドロシーを置いていきベロニカとは一緒行くことにしたのは決しておっぱいが理由ではない。キチークは結界魔法を得意としており、ゲームでは魔法を使えない結界を作っていたのでそれの対策である。



「それに……周りから欲望の目で見られるのも悪くない……」



 少し顔を赤くしていった。やっぱりこいつ変態だわ。とはいえ正直目の毒だ。息子をたたせたままキチークと戦いたくない。それに、こいつは爆乳ハーレムにいれると決めたのだ。ほかの男には痴態を見せたくないな……

 そして、ゲーム知識を使って一発で目的地についた俺たちは木の扉の前にたどり着く。



「おそらくこの奥に、キチークがいるはずだ」

「すごいじゃないか、私たちでも知らない隠し通路をこんなにピンポイントで知っているなんて……」

「まあな、俺もいろいろと調べていたんだ」



 ゲームでくっそ苦戦したから覚えてるんだよな……とは言えないので笑ってごまかす。この先ではキチークが結界魔法を設置しているだろう、やつは姑息にも自分が得意なフィールドで戦ってくるのだ。

 ベロニカがいれば負けないとは思うが苦戦する可能性もある。



「俺が鎧を作るから着てくれ。女の子なんだから、傷と残ったらいやだろ?」

「へぇ……幼いころから男にも負けることがなく男勝りと言われた私を女扱いするのか。やっぱり聞いた通り君は面白いな」



 何言ってんだこいつ……そのおっぱいで男扱いは無理だろ……むしろほかのやつらはなんで男扱いできるんだよ……

 

 改めて彼女を見ながら思う……少し筋肉質だが健康的な体はナルヴィとはまた違う魅力があり、そして、なによりもおっぱいでかい。

 そう言えば前世では、こういう子がああいう鎧を着ているのを見るのが性癖だったんだよなぁ……と思った時にはもう遅かった。

 すでにスキルが発動してとある防具が完成してしまった。



「これは……胸当てと申し訳程度に下半身を覆うパンツ状の……鎧かな?」



 ベロニカが頭にクエッションマークをつけながら手に取ったのは、まるで女性用の水着のような形状をした胸当てと、下半身部分鎧であり、それを見て思わず心の中で悲鳴をあげる。



 やらかしたぁぁぁぁぁぁーー!!



 俺が作り出したのはビキニアーマーであり、前世で大好きだった鎧だ。爆乳女騎士に身に着けてもらうということでパブロフの犬の様にベロニカが、着る姿を妄想してしまったのである。

 終わった……さすがの変態騎士でもこれは好感度が下がっただろう……



「ふふ、紳士的に見せておいてからの羞恥プレイ……やはり君は面白い男だね。やはりさっきの罵りこそが君の本性だったのだかな?」

「いや、違うんだ……これはだな……え、なんで脱いでんの?」



 ビキニアーマーを床に置き、いきなり着ていた服を脱ぎだすベロニカの行動に驚きを隠せない。



「これの着かたは知っているよ。素肌に身に着けるのだろう? とはいえさすがに凝視されるのは恥ずかしいな……ああ、でも獣のような目で見られるのは悪くない……」



 恍惚した表情でビキニアーマーに着替え終えたベロニカは腰に剣をさす。ちらりと見えてしまったが、やはりその胸元はなんとも絶景であり、否が応でも興奮してしまう。童貞の俺には刺激が強すぎる!!



 さっきのは母さんの裸、母さんの裸ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!



 俺は必死に脳内で言い聞かせる。さすがの俺もボス戦を下半身を大きくしたまま戦いたくはない。



「ふふ、君の情報網はすごいな……秘密にしていた私の加護も知っていたということかな?」

「え……? ベロニカの加護……?」

「そう、私の加護は激情をつかさどり神『ゼロス』!! そして私の持つスキル『激情のリビドー』は私が興奮すればするほどステータスが高くなるのさ!!」



 意気揚々とベロニカが語るが、もちろん知らない。ゲームでも明かされなかったし、こんな変態だって言うことも知らなかったのだ。いや、まじで高潔な女騎士って設定どこいったんだよ。



「ふふ、あえて知らないふりをするとは……これも羞恥プレイか!! たぎる!!」

「おい、ちょっと!!」



 俺の制止も聞かずにベロニカは顔を上気させながら木の扉を蹴り飛ばすと、そのまま突っ込んでいくと待機していたキチークの兵士たちをなぎ倒していく。やつの親衛隊なのでそれなりに強いはずだがまるで相手になっていない。



「なんだ、この女、痴女か!! なんて鎧を着てやがる!!」

「くっそ、なんでこいつこんなに強いんだ? あえて、小さい胸当てで斬撃をそらしただと?」

「ふふ……君たちのその侮蔑の感情が私を強くするのさ!!」



 ベロニカのやつ無駄につええな!! 先ほど言っていた加護とも関係あるのだろうか? なにはともあれ圧倒的な戦力で待ち構えていた兵士たちをばるんばるんと胸をゆらしながら剣をふって打ちのめす。



「くっそ、こんな変態にやられてたまるか!!」

「こいつもやばいが、後ろの男もやばいだろ。なんでこんな痴女と一緒にいるんだよ、この変態が!!」

「俺が聞きてえよ!!」



 斬りかかってきた騎士相手に反論しながら切り返す。先生との修業が身になっているようで、硬いミスリルの盾をイメージして受け止め、剣で切り裂く。

 ちょっと自信がついてきたな。



「はは、グレイブもやるじゃないか!! 君たちでは私を辱めきるだけの力はなかったようだね。それに獣欲に満ちたグレイブの瞳に比べればまだまだ弱い」

「俺が変態だと誤解されるだろ!! さっさと行くぞ」



 なんかよくわからないことを言っているベロニカに声をかけて奥へ行くとそこには、ぽっかりと空間が空いているのがわかる。

 そして、一歩入ると同時に体に違和感を感じる。何かのお香らしき匂いと体が重くなるような感じに襲われたのだ。



「これは結界魔法か……」

「へぇー、僕の魔法を知っているとはね……おまえは本当に何者なんだ? グレイブ」


 

 そこには焦って走ったからか服は薄汚れ余裕のない表情のキチークが待ち構えるようにして立っていた。追い詰められているはずなのに、余裕そうな笑みに嫌な予感を覚える。



「お前の結界も知ってるぞ。ここでは魔法を使えなくなるんだろ?」

「はっはっは僕の得意技を知っているとはね!! 残念だけど今回の結界はそうじゃないよ」

「え……」

「んんっ……グレイブ……ここはおかしい……」



 予想外の言葉に聞き返そうとすると、横にいたベロニカが艶めかしい声をあげて、とぎれとぎれに言葉を発する。

 その顔は汗だくな上に真っ赤で何かをこらえているようで……



「今回の結界はだたの結界じゃない!! そう、『セックスしないと壊れない結界』なのさ!!」

「なん……だと……」



 その言葉とどもにどんどん体が重くなっていく、このお香は何かの毒だったのか?




やはりビキニアーマーは正義



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それではまた明日の更新で



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