第16話 ベロニカとグレイブ
圧倒的な能力を持つベロニカがキチークごときに囚われるとは何か事情があるとは思っていたが人質だったか……
それはともかくだ。
「くぅぅぅぅ……知ってるよ。この後に感度3000倍の薬を飲ませるつもりだね!? なんていやらしい目で私をみつめるんだ……この鬼畜め!!」
「いや、確かに僕の名前はキチークだけどさぁ……僕にも性癖があるんだよ!! 僕は嫌がる高身長な女を攻めるのが好きなんだよ!! なんでお前はそんなにノリノリなのさ!! 人質とられて絶体絶命なんだよ、現状わかってる!?」
涙目になっているキチークだが、彼の言葉には一理ある。俺も女騎士のくっころは大好物だ。気高き女騎士が悔しそうに「く、殺せ」っていうのいいよね。
だが、まだまだ甘いぜ。ノリノリな女騎士とのプレイもそれはそれで大好きだ。ようは爆乳な女騎士が好きなのである
もちろんエロゲでしか経験ないけどな!!
「くっそ、無茶苦茶エッチなことをしてから情報収集するつもりが、かえって嬉しそうじゃないか……興がそがれた。この女は普通に拷問しておけ!! 僕は部屋に戻る!!」
「キチーク様、ここは俺に任せていただけないでしょうか? 必ずやこの女騎士を恥ずかしがらせてみせます」
「うん……? お前は見ない顔だな……まあいい。やってみろ」
立候補したのはさりげなく紛れ込んだ俺である。いや、違うんだって。ナナシが資料を手にするまで時間を稼がなきゃいけないからさ……今、キチークが部屋に戻ったらまずいのだ。
決して爆乳女騎士に「くっ、殺せ」と言わせたいわけではない。
「くっ、なんて童貞特有の厭らしい目だ。まるで飢えた獣だね」
「なんだと、このアマ……」
出会い頭に喧嘩を売られたんだが!? 優しくしてやろうと思ったが、もうやめだ。ゲームの知識を使って罵ってやるよ。
「おやおや、生意気なくちを叩くとは騎士様はまだご自分の立場がわかってらっしゃらないようですね。あなたの部下の命は俺たちの手にあるのですよ」
「くっ……卑劣な……私をどんな辱めをしようというのかな? まさか、このまま大人数で……♡」
「それもいいですが、あなたは俺を獣と言いましたね? どちらが獣なのか教えて差し上げましょう。罰としてあなたには犬の真似をしてもらいましょうか……? ほら、四つん這いになってください」
「な……貴様♡!!」
「うわぁ……」
少し嬉しそうな声を上げたのがベロニカでドンびいた声を上げたのが、キチークである。お前鬼畜って名前なんだからもっと頑張れよ……
「こ、こうでいいのか……?」
震えながら四つん這いになるベロニカ。最初に会った時の鎧を脱ぎシャツと短パンのような肌着になっているせいか、色々やばい。
具体的に言うと四つん這いになることによって谷間が見えるし、突き出されたおしりはプリッとしてて大変魅力的だ。
うおおおおおお。エロゲのCGで見た光景だ!!
「くっ……頭はおかしいが、体は完璧だな……」
「ほんとそれ!!」
キチークに同意見である。元々ベロニカは俺の推しキャラでもある。前世でもビキニアーマーなどをつけさせたファンアートなどをネットで漁ったものだが、生でエッチな彼女の姿を見てテンションが上がりまくった俺はさらに追撃する。
「おやおや、かの高名なアテナ騎士団の騎士様が無様なですね……それで本当に高潔(笑)な騎士団の一員ですか? あなたにあこがれている部下が見たらどう思うか楽しみですなぁ」
「くぅぅぅぅぅ!? お前……なんで私の正体を……? それだけはやめてくれ……こんな情けない姿を部下に見られたら私は……」
上気しながらなぜか嬉しそうな悲鳴を上げるベロニカ。その反応についつい楽しくなって俺は続けてしまう。
「はっ、今度は無様に敵に懇願ですか……? 本当に実力で騎士になったのですか? 剣をふるうよりも、その無駄におおきくなった胸を揺らす方が得意なのではないでしょうか?」
「くぅぅぅーー♡ 騎士としての尊厳が……人質さえいなければこんなやつら敵じゃないのにぃぃぃぃ♪」
「おやおや、獣のくせにまだ人の言葉をしゃべるのですか? あなたがしゃべっていいのは『ワン』でしょう?」
悔しさと気持ちよさが混じった声をあげるベロニカ。彼女はアテナ騎士団の騎士であることに強い誇りを持っているからな。効果は抜群だったようだ。
俺が笑っているとキチークがドン引いたような声をあげる。
「お前……さすがの僕でも引くくらいの悪口がよくポンポンと出てくるな……」
「しゅ……しゅごい……この男ピンポイントで私の弱点をついてくるぅぅぅー♡ これ以上の辱めは耐えられない……くっ、殺せ!!」
ついにくっころきたぁぁぁぁぁぁぁ!! なぜか悪役のはずのキチークより悪役っぽくなっているきがするが気のせいだろう。
まあ、俺も悪役貴族だしな。
そして、ちょうどよいタイミングで扉が乱暴に開かれる。そこに現れたのは、ナナシである。
「なにものだ!!」
「グレイブ……任務完了だよ。いぇい」
書類を持ったナナシが無表情にピースサインをして来るのを確認した俺は、突然の乱入者に周りが混乱している間にベロニカの手を引張ってナナシがいる入口の扉へと向かう。
そして、兜をとってその顔をさらす。
「なっ!? きさまは……グレイブだと!!」
「ふはははは、キチーク男爵よ。貴様の悪事の書類は俺の手の元にある。この意味がどういうことかわかっているよなぁ!?」
笑いがとまらないということはこのことである。ゲーム知識を使ってキチーク男爵の隠していた書類を手にして脅迫するのである。
そうすれば俺は金と悪の人脈をてにいれることができる。お利口な正義の味方にはできない悪役貴族っぽいお金の稼ぎ方だろう?
「くっ……貴様、その変態騎士とグルだったのか? だが、こちらには人質がいるのだぞ」
「変態騎士……? 高貴な騎士と呼ばれた私が……なんたる屈辱♡」
やべえ、人質のこと完全に忘れてたわ。まあ、この書類をたてにキチークと交渉すればなんとかなるだろう。
そう思っていた俺だったが、なぜかナナシは得意げだ。
「残念、グレイブはそれも想定してた……すでに保護してるよ……イェイ」
「え、マジで?」
全然想定してなかったが、人質問題も解決していたようだ。ラッキーである。あとはこいつを脅迫するだけだぜ。
そうやって俺が意気揚々と口を開いた時だった。
「このことをばらされ……」
「そして……あなたの悪事はすでに通報してあります。無駄な抵抗はやめることですね。キチーク男爵、裏金や禁止された荷物の売買ならばまだあなたの派閥の貴族もかばえたかもしれませんが、邪教崇拝はやりすぎました。もう、あなたを味方するものはいませんよ」
「我々アテナ騎士団もあなたを断罪させていただきます!! ベロニカ様大丈夫ですか!!」
「「なっ!?」」
アテナ騎士団にのみ許されし白銀の鎧をみにまとった爆乳の少女をひきつれてやってきたドロシーの言葉に俺とキチークが驚愕の声をあげる。
多分この子が人質だったのだろう、それはいい……それよりもだ。
なんでパーティー会場で貴族と人脈を築いているはずのドロシーがここにいるの? そして、なんで勝手に断罪してんの? これじゃあ、脅迫できないじゃん。
「ベロニカ様……汗がすごいです。それにお美しいお顔をそんなにしかめて……いったいどんな拷問をしたんだ……この鬼畜め!!」
先ほどの問答で興奮していたからか全身から汗をかいており、快楽を感じているのを隠すように歯をくいしばっているベロニカを見て何か勘違いしたのか、爆乳騎士ちゃんがキチークを睨みつける。
「いや、それをやったのは僕じゃないぞ。そこの男だ。グレイブがその女を罵っていたんだよ!! それにその女も興奮して……」
「うるさい、グレイブ様はその身を危険にさらしてあなたの悪事を暴こうとしてくれた気高き方ですよ。そんなことをするはずがないでしょう!!」
なんか爆乳騎士ちゃんの評価がむっちゃ上がってるぅぅぅぅ!!
ドロシーたちに助けられた爆乳騎士がキチーク男爵につっかかっているのを横目に事情を説明してくれと表情で訴えると彼女は得意げにほほ笑んだ。
「えへへ、お義兄様の計画を手伝わせていただきましたが、いかがだったでしょうか!? これでお義兄様の夢も一歩前進しますね!!」
「ああ……お前はすごいな……」
俺の計画ってなんだろう? と思いながら褒めてほしそうなドロシーの頭をなでてやるのだった。まあ、爆乳騎士の好感度は上がったから夢には近づいたのか……?
グレイブ君転生して一番生き生きとしてますね。相性が良いのかもしれない
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それではまた明日の更新で
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