第15話 ナナシという少女

 キチークが出て言った方へと歩いていくとすでに待機していた盗賊ギルドの少女が待っていた。この場を歩いていてもおかしく無いようにだろうメイド服に着替えている。 

 谷間は控えめで俺のおっぱいスカウターではBである。彼女が指さす方を見るとひとりの兵士が、扉の前で周囲を警戒しているのが見える。



「この先は書庫になってて……キチークはそこに入っていった……ただ、グレイブの言う通りベロニカの姿も周囲には見えない……」

「ふふ、予想通りだな。おそらくベロニカはこの先にあるキチークの悪事の秘密を探ろうとして、潜入したがばれたんだろうな」



 彼女がキチークにとらわれるのはゲームの始まる前にあったイベントだ。ここでアテナ騎士団の一員である彼女を捕えた褒賞によって、彼は邪神の加護をえることになるのである。

 そして、主人公たちは五年後にとらわれたベロニカを救うのだ。ひどい目にあったというのに高潔さを失わなかった彼女に俺は憧れ……必ずやベロニカを救い爆乳ハーレムの一員にしようとおもったのである。あと、おっぱいでかいし……



 最初っから注意しろって? 評判の悪い俺の言葉なんて信じてもらえないだろうし、なによりピンチを救ってこそ好感度があがるというものだ。俺は主人公ではなく悪役貴族なんでな。ハーレムを作るためならば手段を選んだりはしない。



「はっはっは、完璧すぎる計画を立てている俺の頭脳が怖いぜ!!」

「? グレイブ……あの見張りはどうする?」



 つい声にできていたようだ。少女が無表情に声をかけてくる。ちょっと恥ずかしい。



「俺でも倒せなくないけど、できれば目立ちたくないんだよな……静かに倒せるか? 追加料品は払うぞ」

「問題ない……こういう場合のケースは習ってる……ただし、殺しはしないよ……それでもいいかな?」

「ああ、俺も別に血をみたいわけじゃないしな。あの見張りはキチークの悪事を知らない可能性もあるし……」

「ふぅん……グレイブは優しいね……」



 なぜか嬉しそうにうなづくと、そのまま、メイド服の胸元のボタンを外しはじめる。



「おい、何を……」

「こういう時は色仕掛けが有効……経験はないけど、シミュレーションは完璧」

「いや、ちょっと難しいんじゃ……」



 彼女は髪の毛が目にかかっていることもあり、不思議なほど目立たないくらい普通のルックスにちょっと貧乳で平均的な体系の女性だ。仕事中の兵士を魅了するのは難しんだろうと思った時だった。

 ハンカチで顔を拭いて髪をあげると、その顔は美少女に……そして、胸元をごそごそといじって布をはずすとバルンと胸が大きくなる。



「おっぱいでか!! しかも、美少女じゃん」

「変装は基本……さらしとメイクをつかえばこれくらい余裕。じゃあ、いってくる」



 驚く俺にそう言い残すと、彼女は見張りの兵士の方へとすたすたと歩いていく。いつの間にかその手にはドリンクののった銀のトレーがある。



「お仕事お疲れ様ですー♡ よかったらこれを飲んでください♡」

「ん……メイドがなんでこんなところに……?」



 先ほどとは別人のような猫なで声で兵士に声をかける少女。しかも、無駄に体をくならせるものだから胸がばるんばるんとゆれている。

 ずるいぞ、そこの兵士!! 場所変われ!!



「いや……仕事中は飲食は禁止されているんだ。それになんでわざわざ俺なんかに……?」



 胸元をちらちらと見ながら兵士が断る。その目にはわずかだが怪しむ色すらある。すげえな、あいつ。俺だったら、速攻デレデレして飲んでたわ。



「その……あなたに一目ぼれしてしまいまして……タイミングを見て声を掛けに来たのですが迷惑だったでしょうか?」

「あ……あははは、そうなのか? ちょうど喉が渇いていたんだ。いただくよ」



 恥ずかしそうに顔を赤らめる少女に、兵士はデレっとにやけた笑顔を浮かべて、渡された飲み物を飲むとそのままぶっ倒れた。

 そして、少女が振り返ると先ほどまでの可愛らしい笑顔が幻だったかのように無表情でピースしてくる。



「いぇーい。私……天才……」

「うおおお、すげえ……」



 少女を見て俺はもうとまることなんてできなかった。俺は急いで彼女の元へ行くと、肩をつかんで声をかける。



「すごい(おっぱい)じゃないか!! 俺にやとわれてくれないか?」

「……それは私を盗賊ギルドから足抜けしろっていうこと……? すごいお金がかかるよ」



 ああ、そうか……ほかに所属しているのだから手切れ金のようなものがかかるのか……、だが、俺に迷いはなかった。

 爆乳もさることながら普段は無口系なのに、任務となったらギャルっぽくもなるなんて一石二鳥じゃないか、ぜひ、爆乳ハーレムに欲しい逸材である。

 幸いお金に関しては今回の件でキチークから奪い取るつもりである。



「それに……騙したくないからいうけど……私の実力は盗賊ギルドの中でも中だし、平民出身だから部下にしても箔もつかない。それに……殺しはしたくないんだ……部下が欲しいなら別の人にした方がいいよ」



 気持ちよさそうに眠っている兵士を指さして少女は顔を曇らせる。確かにこの場合は殺した方が効率いいよな……だけど、そんなことはどうでもよかった。

 敵を殺すのは俺がやればいいし、むやみやたらに殺すやつよりは信頼できる。それに俺が欲しいのは爆乳で優秀なハーレム要員である。



「ああ、俺が欲しいのはいう事を聞くだけの部下じゃない。お前(のおっぱいが)が欲しいんだ。俺の夢をかなえるにはお前(みたいな爆乳)じゃないとだめなんだよ」

「……ふふ……殺さない盗賊を欲しがるなんてかわってるね……」



 俺の言葉に彼女は驚いたように大きく目を見開いて何かをつぶやくとにこりと笑った気がするのはきのせいだろうか?

 あれ? なんかよくわからないけど好感度あがった?



「その話はあとにしよ……とりあえず任務を達成する……」

「ああ、そうだな。じゃあ、ここから先は別行動だ。お前はキチークの部屋の本棚の奥に隠し金庫があるからそれをこっそりと盗み出してくれ。番号は「0721」だ」

「わかった……あと……私の名前は『ナナシ』今度から名前で呼んでくれたら嬉しい」

「ああ、頼んだぞ。ナナシ」



 ナナシと別れた俺はクスリを盛られて眠っている男の鎧を凝視して、加護をつかい模倣して同じ形の鎧を作り身に着ける。というか、ナナシってゲームでも聞いたことあるな……

 もうちょっとで出てくるんだが……攻略キャラにはいなかったんだよな……すっきりしないままナナシを見送って俺は次の準備に入る。



「守備力はあまりないが形はマネできたな……」



 目の前の兵士の鎧を完全に模倣して作った俺は、すやすやと眠っている兵士を適当な部屋にぶちこむ。これでしばらくは時間を稼げるだろう。


 そして、俺が書庫に入りゲームであったように一定の場所にある本を取って奥にあるボタンを押すと本棚が揺れて隠し扉があらわれる。

 すると奥の方から女性の怒りに満ちた悲鳴のような声がきこえてくる。



「もうはじまってるのか!!」



 俺が慌てて降りた先にはそこには予想通りだけど、予想とは違う光景が広がっていた。周囲にある檻に入れられているのは国では飼育を禁じられている魔物たちである。

 そして、中央には剣を構えつつも悔しそうな顔をしているベロニカに、それを囲むキチークとその兵士たちである。



「ふっ、残念だったな女騎士よ、お前の作戦はバレバレなんだよ。仲間の命が欲しければ、情報を……」

「くっ、卑怯な……人質をとって、私にエッチなことをするつもりだね!! この甲冑を無理やり脱がせ、そんな大人数で襲うつもりだろう!! エッチな本みたいに!!」

「いや、僕まだ何もいってないんだけど!! だれかーー助けてくれ、この女言葉が通じねぇーーー!!」



 なぜか上気した表情で鎧を脱ぎ始めたベロニカと悲鳴を上げているのはがキチークだった。あれ? この子高潔な騎士じゃなかったっけ……?






やっと爆乳ヒロインたちがでてきたぜ!!



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それではまた明日の更新で

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