~ 竜の上にて ~
「おい、人間。お前、少し臭うぞ。着替えたらどうだ」
「あ、すいません……昨日雨に打たれてからそのままで……服の絵を描くので少し待ってて下さい」
「ほんと便利よね、それ」
「服はポケットの多めのものを描け。俺たちが入れるくらいの大きさのだ」
「え? 冗談よね? 入るの?」
「人間の街で普通に姿を晒すつもりか?」
「そうなんだけどさー」
「ポケットの多めの服ですね。分かりました」
「あとは大きめの荷袋と俺たちの武器もだ。具現化はまだしなくていい。それから……」
「ねぇねぇ、私にもなんか服作ってよ? ワンピースとかさ! あ! 帽子とかも欲しいかも!」
「フラム、お前は黙っていろ。そんなことに時間を割いている暇はない」
「いいじゃん、ちょっとくらいさー。ていうかそんなに身構える必要あるわけ? この人間くんの力があればフェルピーの救出なんて難しくないでしょ? ちょっと絵を描いただけでこんな規格外な竜を出しちゃうわけだしさ」
「どうだかな。それにこれは時間との勝負でもある。いつまでもフェルピエラ様が生かされているとは限らない。お前も人間が妖精を捕らえる理由ぐらい知っているだろ?」
「はいはい。分かりましたー」
「人間、お前も準備を怠るな。あとは水と食料と……とにかく必要そうなものは今のうちに描いておけ」
「はい!」
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