~ 妖精の里にて ~

「フェルピエラ様! いったいどこへ行ってらしたのですか? 連日フェルピエラ様のお姿が見当たらないと、里中大騒ぎになっているのですぞ!」


「……」


「よもやあの得体のしれない場所に近づいたのではないでしょうな? 聞くところによれば、あそこには人間が住み着いたとか!」


「ハフ爺うるさい」


「うるッ! フェルピエラ様、もう少し次期女王としてのご自覚をお持ちになってくださいませ! 我々妖精族の未来はあなた様にかかっているのですぞ!」


「眠い」


「聞いているのですか! それにずっと気になっていたのですが、なんですかそのお抱えになっている赤い果実は?」


「イチゴ」


「いちご?また訳の分からないものを……よいですか! 我々妖精族は今佳境に立たされ……」


「ハフ爺うるさい。あっち行って」


「なんと! 今日という今日は逃がしませんぞ! 妖精族の何たるかをみっちりと教えて差し上げましょう!」


「うるさい……」

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