第42話 水着とトゲの力

 ショッパァナ王総理大統領都を出た。


 前方には、街道と思われる土の道が伸びている。

 その周囲は、草原になっている。


「ここを道なりに進むと、ナンカスゴイコトシノイル町に着くみたいだな」


「では、行くであります」


「ああ、そうしよう」


「良い雌探しの旅に出発ですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「ああ、行こうだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「絶対に見つけましょうしょうね!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「目的が違う! なんかすごいこと士を探しに行くんだよ!!」


「なら、良い雌のなんかすごいこと士を探そうですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「ああ、そうしようだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「名案ですですね!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「性別は問わないっての!!」


「良い雌が良いですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「良い雌が良いだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「良い雌が良いですです!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「わがまま言うな! いちいちえるな!!」


「しょ~しょしょしょっ! 早く行こうぜ!」


「ああ、そうだな!!」



「なんか来るぜうす!」


 箱のテータスが草原を指差し、そう言った。


 その方向から、筋骨隆々、白い肌、無駄なしの人間の手足が生えた、直径一メートルくらいありそうなレタスのような何かが向かって来ていた。


 どうやらふた玉いるようだ。


「なんだあいつらは!? あれもハモノなのか!?」


「その通りでやすことげぇ。あれは『オオスレタスム』というハモノでやすよことげぇ」


「そうか。なら、倒すか」


「アルヴェリュード様、ここはわたくしが参りますこみじゅ」


「もう一体は、あっしがやりやすよことげぇ」


「そうか? じゃあ、頼むよ」


「分かりましたこみじゅ」


「お任せくだせぇことげぇ」


「これを受けなさいこみじゅ!」


「これもくらいやがれことげぇ!」


 子水着と子とげぇがそう叫んだ直後、オオスレタスムたちが縦に真っ二つになった。


 オオスレタスムたちは手足が消え、地面に落ちた。



「えっ!? 今、何やったんだ!?」


「水着で切断しましたこみじゅ」


「トゲで切断しやしたよことげぇ」


「水着とトゲ!? そんなものどこに!?」


「これですこみじゅ」


 子水着の前に、黒いひものようなものが現れた。


「これを振るって、ハモノを切りましたこみじゅ」


「あっしはこれで倒しやしたことげぇ」


 子とげぇの前に、剣のような刃があるトゲのようなものが出て来た。


「それらは特殊能力で出したのか?」


「はい、そうですこみじゅ」


「その通りでやすよことげぇ」


「そうなのか」


 こいつら、本当に強いんだな!


 ミャジュギーナ、トゥゲェルーカ、ありがとう!



「ハモノを拾い終えたぜうす!」


「ああ、ありがとう。それじゃあ、行くとしようか」



「おっ、また来たぜほしっ!」


「またオオスレタスムか」


 今度はひと玉だけどな。


「今度はアルヴェリュード様の力を見せていただけませんかこみじゅ?」


「あっしも見たいでやすよことげぇ」


「ああ、分かったよ」



「パネェザキ、パネェザキソードを」


「分かりました、ぱね~」


 出て来たパネェザキソードを握りしめ、オオスレタスムに向かった。


 そして、オオスレタスムを斬り付けた。


 オオスレタスムが横に真っ二つになった。


 その直後、エクスが入ってきたような気がした。



「お見事ですこみじゅ! さすがはお母様に勝利した殿方ですねこみじゅ!!」


「アルの旦那、すごかったでやすことげぇ!」


「それはどうも。では、後始末をして、先に進もう」



「おっ、あれじゃねぇかうす?」


 前方に、城壁のようなものが見えてきた。


「そのようだな」


「かなり時間がかかりましたね。もう日が落ちそうですよ、ぱね~」


「ああ、そうだな」


 地図では近かったのに、歩いてみると意外と遠かったな。


「なんかすごいこと士探しは明日にして、今日は休んだ方が良いんじゃない? いちょ~」


「そうだな。では、着いたら、ハモノを売って、宿を探そうか」


「いや、その前に良い雌を探そうですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「ああ、そうするべきだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「賛成ですです!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「却下だ!!」



 ナンカスゴイコトシノイル町の城門前にやって来た。


「さっそく良い雌探しですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「さっそく良い雌探しだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「さっそく良い雌探しですです!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「やかましい! 却下だ!!」


「早く宿を探そうよ、いちょ~」


「ああ、そうだな」



 ん?

 腹に『超特盛り』という黒い文字が書いてある白いTシャツを着て、やりを持っているおじさん二名が近付いて来たぞ。


「そこのなんかすごそうな怪しいヤツ、何者だヘシッ!?」


 やりを持っているおじさんのひとりが、そう言った。


 なんかすごそうな怪しいヤツねぇ……


 まあ、確かに、今の俺はそんな感じなのかもな。


「私は珍者ちんしゃなんですけど」


珍者ちんしゃだとヘシッ!? まあ、確かにそんな感じはするなヘシッ!」


 おじさんたちは、どうするか迷っているようだ。


「しょ~しょしょしょっ! アル坊、珍者ちんしゃパスを見せたらどうだ?」


「ああ、そうだな。箱のテータス、出してくれ」


「分かったぜうす! ほら、これだぜうす!」


「そ、それは珍者ちんしゃパスヘシッ!? 大変失礼いたしましたヘシッ!」


 なぜかおじさんたちが頭を下げてきた。


 ナニアレ!?

 珍者ちんしゃパスって、そんなすごいものなのか!?

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