第39話 強くて頼りになりそうな良い雌?

「血を残してしまった……」


「お疲れさんピピョーン」


「ああ……」



「素晴らしかったですだぜ……」

「ああ、最高だっただぜだぜ……」

「まったくですですね……」


「そいつは良かったな」


「むむっ、また力がみなぎってきたですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「俺もだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「私もですです!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「ええっ!?」


 こいつら、もう復活したのか!?

 とんでもないな!?



「ところで、マスターじいさんマスター」


「なんだピピョーン?」


「血を残させているということは、珍者ちんしゃの子供も珍者ちんしゃになるのか?」


「いや、子供が珍者ちんしゃになったという記録はないピピョーン。何代かあとの子孫が珍者ちんしゃになったという記録はあるがなピピョーン」


「そうなんだ」


「アルヴェリュードの先祖にも、珍者ちんしゃがおるそうだぞピピョーン」


「へぇ、そうだったんだ。だから、王総理大統領は、ああいうことをしたのか」


「うむ、そうだピピョーン。それに、珍者ちんしゃの子は、珍しい副業を持っていることもあるのだピピョーン」


「ああ、そういう目的もあるのか」



「まずは『ボッチがとりあえず集まるところ』に行けばいいんだよな?」


「うむ、そうだピピョーン」


「それ、どこにあるんだ?」


「防具を買った店の近くにあるぞピピョーン」


「そうなのか。じゃあ、少し休んだら、行って来るよ」


「うむ、良い仲間を見つけて来るのだぞピピョーン」


「良い雌を見つけて来るですだぜ!!」

「ああ、絶対に良い雌を見つけるだぜだぜ!!」

「がんばってきますます!!」


「目的が違うっての!!」



「ここみたいだな」


 『ボッチがとりあえず集まるところ』と書かれた壁面看板のある西洋の神殿みたいな建物があった。


「なかなか立派な建物だぜうす!」


「ああ、これは良い風だぜほしっ!」


「そうだな。では、入ってみようか」



 中に入った。


 内部は飲食用のテーブルに椅子が複数、受付の窓口がある。


 飲食スペースのある役場みたいな場所だな。



 人が結構いるな。


 みんなボッチで、とりあえず、ここに来たのだろうか?


 まあ、そこはどうでもいいか。


 窓口に行ってみよう。



「すみません」


「はい、いかがなさいましたかマドグ~ン?」


 窓口にいるスーツを着たおばさんが、そう言った。


 また妙な語尾を付けてくれたもんだな、語尾におまけが付くことがある能力。


珍者ちんしゃの仲間を探しに来たのですが、どなたか紹介していただけませんか?」


「ああ、あなたが珍者ちんしゃでしたかマドグ~ン。道理で、なんかすごい人が来たなぁと思ってましたよマドグ~ン」


「それはどうも。それで、良い人はいませんか?」


「そうですねぇマドグ~ン。どのような方がよろしいのでしょうかマドグ~ン?」


「良い雌が良いですだぜ!!」

「良い雌一択だぜだぜ!!」

「良い雌にしか用はありませんせん!!」


「良い雌ですかマドグ~ン」


「違います! 今のは気にしないでください!! 強くて頼りになりそうな人をお願いします!!」


「強くて頼りになりそうな良い雌ですねマドグ~ン。かしこまりましたマドグ~ン」


「良い雌は余計ですって!?」



「あっ、強くて頼りになりそうな良い雌がいましたよマドグ~ン」


「いや、良い雌は余計ですって!?」


「しょ~しょしょしょっ! まあ、いいじゃないか! 紹介してもらおうぜ!」


「そうだよ、いちょ~」


「そうですだぜ、親父殿!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「ああ、してもらおうだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「そうですですよ!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「うるさいぞ! えるな!!」


「紹介しましょうかマドグ~ン?」


「はい、お願いします!」


「では、そちらで少々お待ちくださいマドグ~ン」


「分かりました」



「お待たせいたしましたマドグ~ン」


 窓口のおばさんが、全身トゲだらけの銀色の鎧兜よろいかぶとを身に着けた高身長の人を連れてきた。


 なんか胸のところが出っ張りまくっているなぁ。


「こちらが『トゲ使い』の『トゥゲェルーカ・ボグスツオ』さんですマドグ~ン」


「お初にお目にかかるとげぇ。トゥゲェルーカ・ボグスツオだとげぇ。よろしく頼むとげぇ」


 とげぇ?

 またまた妙な語尾を付けたな、語尾におまけが付くことがある能力め。


「どうも、初めまして」


 俺たちも自己紹介をした。



「あのトゲ使いというのは、なんなのでしょうか?」


「副業のひとつですマドグ~ン。強力な特殊能力を多数持っていますよマドグ~ン」


「そうなんですか。それはすごいですね」


 妙な名前なのに強いのか。


「しかも、トゥゲェルーカさんは、一流のトゲ使いなんですよマドグ~ン。ほら、語尾に『とげぇ』と言っているでしょマドグ~ン? これは一流の証なんですよマドグ~ン」


「お褒めに預かり光栄だとげぇ」


「そ、そうなんですか……」


 訳が分からない……


 というか、あのとげぇって、語尾におまけが付くことがある能力が付けたものじゃないんだ。


 ぎぬを着せてすまなかったな、語尾におまけが付くことがある能力。



「むむっ、こいつは良い雌ですだぜ!!」

「俺もそんな気がするだぜだぜ!!」

「私たちの雌になってくださいさい!!」


「そうじゃないだろ!? 力を貸して欲しいだけですよ!」


「それは仲間になれということかとげぇ?」


「はい、その通りです! お願いします!!」


「いや、我らの雌になるですだぜ!!」

「そうだぜだぜ!!」

「私たちの血を残してくださいさい!!」


「お前らは大人しくしていろ!?」



「ならば、君を審査してやろうとげぇ」


 またかよ。


「分かりました。何をすれば良いのですか?」


「決まっているだろとげぇ。それは……」


 それは!?

 いったいなんなんだ!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る