第35話 珍者スタイリスト奥義!?

 ネヤユーワさんが変な服ばかり持って来るので、自分で服を買うことにした。


 店に行って、店員に聞いたら、ダークスーツ、白のワイシャツ、紺のネクタイ、黒の革靴を薦められたので買った。


 この世界にも、こういう服があるんだな。



 王総理大統領と謁見する日になった。


 買って着た服を着た。


 おお~、なんか大人になったって感じがするなぁ。


「しょ~しょしょしょっ! アル坊、なかなか決まってるじゃないか!」

「そうだね、いちょ~」

「ぱね~ですね、ぱね~」

「「似合っているのであるもっち」」

「良い風だぜほしっ!」


「そうか? それはどうも」


 ちょっと照れくさいな。



「アルヴェリュード様、なんですか、その普通すぎる格好はでござる!?」


「ネヤユーワさん!? なんでいるんですか!?」


「アルヴェリュード様が面白くない服を着ている気配がしたので、見に来たのですでござる!!」


「なんだそりゃぁっ!?」


「案の定、面白味の欠片もない服を着ていましたねでござる! さあ、この面白い服に着替えてくださいでござる!!」


 ネヤユーワさんが葉の服を差し出してきた。


「そんな変態的なもの、お断りですよ!」


「では、強制的に着せるしかありませんねでござる!!」


「やめてくださいよ!?」


「もはや問答無用ですでござる!!」


 ネヤユーワさんが飛びかかって来た。


「秘技『箱ラリアット』だぜうす!!」


「ぐああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 箱のテータスのラリアットが、ネヤユーワさんに命中した。


 ネヤユーワさんは倒れた。


「成敗うす!!」


 容赦ないなぁ、箱のテータス。


 まあ、いいか。



「さあ、さっさと謁見に行こうぜうす」


「ああ、そうだな」


 その時突然、ネヤユーワさんが左腕に抱き着いてきた。


「ネヤユーワさん、何やってるんですか!? 離してください!?」


「…………………………」


「ネヤユーワさん、どうしたんですか!?」


「どうやら気絶しているようでありますよ」


「えっ!?」


 なんで気絶しているのに抱き着いてきたんだ!?



「あれ? ネヤユーワさんの服、変わってないか?」


「ああ、変わっているぜうす」


「白い鳥みたいな服になっているぜほしっ!」


 まるで白鳥のような着ぐるみだな。


 いつものメイド服を着ていたはずなのに、いつの間に着替えたんだ?



「アルヴェリュード、支度はできたかピピョーン?」


「マスターじいさんマスター、ネヤユーワさんをなんとかしてくれ!」


「何をやっておるのだピピョーン?」


「気絶したネヤユーワさんが、いきなり抱き着いてきて、離してくれないんだよ!」


「むっ、それは珍者ちんしゃスタイリスト奥義『面白い服を着て、珍者ちんしゃに装備品化』だなピピョーン!」


「なんじゃそりゃぁっ!?」


「名前通り、使用者が面白い服を着て、珍者ちんしゃの装備品になるのだピピョーン」


「ええっ!? なんだよ、それは!? 訳が分からなさすぎるぞ!? 装備品って、なんなんだよ!?」


「そのように、体のどこかにくっ付くのだピピョーン」


 なんじゃそりゃぁっ!?



「どうやって解除するんだよ!?」


「それは不明だピピョーン」


「ええっ!? じゃあ、このまま謁見するしかないのかよ!?」


「うむ、そうなるなピピョーン」


「それで良いのか!?」


珍者ちんしゃだから、問題ないだろうピピョーン」


 ええ……



「親父殿、今のうちに、その雌を手に入れてしまおうですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「そうだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「そうしましょうしょう!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「アホなことを言うなっての!!」


「親父殿、情けないですだぜ!!」

「そうだぜだぜ! 雌を手に入れろだぜだぜ!!」

「そうですですよ! チャンスなんですですよ!!」


「そんなひどいことするわけないだろ!」


「アオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」

「オオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」


「やかましい!」



「では、ゆくかピピョーン」


「あ、ああ、分かったよ……」


 本当に、このままでいいのかな?



「着いたぞピピョーン」


「しょ~しょしょしょっ! デカい建物だな!」

「そうだね、いちょ~」

「ああ、確かにな」


 西洋風でゲームに出てきそうな感じの城だな。


「ここに『ショッパァナ王総理大統領国』の王総理大統領がいるのだピピョーン」


「そうなのか」


 ここって、ショッパァナ王総理大統領国というのか。



 ん?

 腹に『超特盛り』という黒い文字が書いてある白いTシャツを着て、やりを持っている人たちがいる。


 あの人たちは兵士なのかな?


 カジュアルな格好だなぁ。


 まあ、どうでもいいか。



「では、入るぞピピョーン」


「ああ、分かったよ」


 中に入った。


 うわぁ、中もゴージャスだな。



「ここが王総理大統領の間だピピョーン」


「そうなのか」


 デカくて立派な両開きの扉だな。


「アルヴェリュード、緊張しておるかピピョーン?」


「あ、ああ、結構してるぞ」


珍者ちんしゃだから、多少の無礼くらい多めに見てもらえるピピョーン。気楽に行けピピョーン」


「分かったよ」


 珍者ちんしゃって、どれだけ変人扱いされているのだろうか?


「では、入るぞピピョーン」


 兵士たちが扉を開けた。


 えっ!?

 あれが王総理大統領なのか!?

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