第33話 ふさわしい服は?

「これ、着なきゃダメなのか?」


 正直、着たくないぞ。


「そんなのどうでもいいですだぜ」

「ああ、まったくだぜだぜ」

「雌以外、興味ありませんせん」


 こいつらは!?


「お待たせしましたでござる」


 ネヤユーワさんが部屋に入って来た。

 本当に貝殻ビキニ水着を着ている。


 すごくセクシーだ。


「素晴らしいですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「すごすぎるだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「美しいですですよ!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「落ち着け、お前ら!?」


「それは無理というものですだぜ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「まったくだぜだぜ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「その通りですです!! オオォォォォォォォンッ!!!」


 ガギアキースセギトたちが、ネヤユーワさんの周囲で踊り始めた。


「アオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」

「オオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」


「やかましい! えるな! 踊るのやめろ!!」



「それにしても、着替えるの早いですね」


珍者ちんしゃスタイリストですからねでござる」


珍者ちんしゃスタイリストって、そういうものなんですか?」


「はい、そういうものですでござる」


「そうなんですか」


 早く着替える特殊能力でもあるのかな?


 まあ、そこはどうでもいいか。



「さあ、アルヴェリュード様も着替えてくださいでござる」


「いや、遠慮したいんだが……」


「往生際が悪いですねでござる。仕方ありませんでござる。わたくしが着せましょうでござる」


「は?」


 ん?

 急に寒くなったような……


「ええっ!? 俺の服が変わっているだと!?」


 なぜか貝殻ビキニ水着を着せられているぞ!?


「これはどういうことだ!?」


「わたくしが着替えさせましたでござる」


「どうやってですか!?」


「わたくしの特殊能力を使用しましたでござる」


「そうだったのですか!?」


 訳の分からん能力があるんだな!?



「ああ、やはり、とてもよくお似合いですよでござる」


「そうでもないと思いますよ」


「その通りですだぜ!!」

「どう見ても、親父よりも姉ちゃんの方が似合っているだぜだぜ!!」

「ええ、間違いありませんせん!!」


「いえ、アルヴェリュード様の方が似合っていますよでござる。あまりの美しさに惚れ惚れしますでござる」


 ええ……

 この人の美的感覚、大丈夫なのか?



「では、この服を着て、王総理大統領に謁見してくださいでござる」


 ええっ!?

 それは遠慮したいぞ!?


「いや、それは早計ではありませんか? 他の服も見てからにしましょうよ」


「確かに、その通りですねでござる。では、こちらはいかがでしょうかでござる?」


 ネヤユーワさんが、長さ二〇センチくらいありそうな大きな紫蘇しそみたいな葉を差し出してきた。


「これをどうしろというのですか!?」


「両胸と股間に身に着けますでござる」


「いや、ダメでしょ!? 変態的すぎるでしょ!?」


珍者ちんしゃなら問題ありませんでござる」


「いや、これはありますよ!?」


「いえ、ありませんでござる」


「いやいや、ありますって!」


「いえいえ、ありませんでござる」


「なら、この服もふたりで着てみたら良いですだぜ!!」


「そいつは名案だぜだぜ!!」


「さあ、さっそく着替えて来てくださいさい!!」


「何言ってんだよ、お前らは!?」


「分かりましたでござる。着替えて来ますでござる」


 ネヤユーワさんが部屋から出て行った。


 ええっ!?

 本当に着る気なのかよ!?


 ネヤユーワさんって、変態なのか!?



「お待たせしましたでござる」


 ネヤユーワさんが部屋に入って来た。

 本当に葉の服を着ている。


 セクシーだけど、変態的だな!


「アオォォォンッ! アオォォォォォンッ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「ウオォォォンッ! ウオォォォォォンッ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「オオォォォンッ! オオォォォォォンッ!! オオォォォォォォォンッ!!!」


 ガギアキースセギトたちが、また踊りながらえ始めた。


 ああ、やれやれ……



「さあ、アルヴェリュード様も着てくださいでござる」


「お断りいたします」


「では、着替えさせますでござる」


 葉の服を着せられた。


「ああ、なんと珍者ちんしゃなのでしょうでござる。惚れてしまいそうですでござる」


 正気か、こいつ!?

 こいつの方が珍者ちんしゃなんじゃないか!?



「では、この服で王総理大統領に謁見してくださいでござる」


「いや、却下でしょ! 他の服はないんですか!?」


「これはダメでしたかでござる? では、こちらはいかがでしょうかでござる」


 ネヤユーワさんが、ドラゴンの頭のようなものが付いたパンツを差し出してきた。


「却下で」


「そうでございますかでござる。では、こちらはどうでしょうでござる」


 ネヤユーワさんが、亀と鶴の頭のようなものが付いたパンツを差し出してきた。


「却下」


「そうですかでござる。では、こちらはいかがでしょうかでござる」


 ネヤユーワさんが、馬の頭のようなものが付いたパンツを差し出してきた。


「却下!!」


 なんでこいつの出す服は、こんなのばかりなんだよ!?


 もっとマトモなものを出せよ!?

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