第22話 最終問題

 ステータスウィンドウ麺が、一三箱もたまってしまった。


 問題は、すべて『今、何問目?』だった。


 あいつはいったい何がやりたいんだ?



「それでは、第一四問ガブ~チッ!」


 また額縁の化け物が出て来た。


「まだやるのかよ!?」


「な、な、な、なんと、これが最後ファイナル最終ラスト終幕フィニッシュおしまいエンディング終末問題ですガブ~チッ!」


「なんだよ、それは!? 言いすぎだろ!?」


「最後だから、このくらい派手な方が良いんですガブ~チッ!」


「ああ、そうかよ!?」


「それでは、問題ですガブ~チッ! 最後君は、ファイナルちゃん、最終ちゃん、ラストちゃん、終幕ちゃん、フィニッシュちゃん、おしまいちゃん、エンディングちゃん、終末ちゃん、問題ちゃんのことが大好きですガブ~チッ!」


「浮気性すぎる!?」


「最後君は、全員を集めて愛の告白しましたガブ~チッ!」


「チャレンジャーすぎだろ!?」


「最後君は、全員にフラれて、ぶん殴られましたガブ~チッ!」


「当然の結果!!」


「めでたしめでたしガブ~チッ!」


「いや、めでたくはないだろ!?」


「私の前職はなんでしょうガブ~チッ!?」


「『今、何問目?』じゃないだと!?」


「『【今、何問目?】じゃないだと!?』でよろしいですかガブ~チッ!?」


「いや、ダメだろ!?」


「では、お答えくださいガブ~チッ!」


「お前の前職なんて、知るわけないだぜだぜ!」


「『お前の前職なんて、知るわけないだぜだぜ!』でよろしいですかガブ~チッ!?」


「いや、ダメだって!」


「何かヒントはありませんせんか?」


「ヒントは皆さんの人生の中にありますガブ~チッ!」


「なんだそりゃぁっ!? 訳が分からんぞ!?」


「では、お答えくださいガブ~チッ!」


 ええっ!?

 いったいなんなんだよ!?


 ヒントは俺たちの人生の中にあるって、どういうことだ!?


 まさかこいつ珍者ちんしゃだったのか!?


 いや、あれは副業であって、前職とは言えないのではないか?


 なら、なんなのだろうか?


 あっ!

 まさかアレなのか!?


「もしかして、ステータスウィンドウの偽物を作る仕事をしていたのか?」


「な、なぜそれをガブ~チッ!? ぐっ、ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 また額縁の化け物が爆発した。



「これは正解だったということかな?」


「爆発したってことは、そうなんじゃないだぜだぜか?」


「偽物作りをやめて、クイズを出して爆発する職業に転職か…… 妙な職歴だなぁ」


「そうですですね」



「親父殿、妙なものがあるですだぜ!」


 雄クジャクの飾り羽根に、サンバカーニバルの時に背中に身に着けそうな赤い羽根飾りをくっ付けたようなド派手な何かが宙に浮いていた。


「なんだあれは!? 最終問題の賞品なのか!?」


「しょ~しょしょしょっ! そうなんじゃないか?」


「なら、とりあえず、もらっておこうだぜだぜ」


「あれ、必要か?」


「いらなかったら捨てれば良いだけだよ、いちょ~」


「それもそうだな」



「ぱね~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!」


 いきなり羽根が鳴き始めた。


 えっ!?

 こいつ、生きているのか!?


「ぱねっ、ぱねぱねっ、ぱ~ね~ぱねっ、ぱねぱね~ぱねっ、ぱ~ねぱねっぱねっ、ぱね~~~~~っ!!!!!」


「これは言語か?」


「ぱねぱね語だぜだぜか?」


「そんな感じがするね、いちょ~」


「ぱぁ~ねぇ~、ぱねぱ~ねっ、ぱねぱねぱ~ねっ、ぱねっ、ぱねっ、ぱねっ、ぱねぱねぱねぱねぱねっ!!!!!」


「何を伝えたいのか、まったく分かりませんせんね」


「まったくでありますな」


「ぱねっぱねぱねぱねっぱね、ぱぁぁ~ねぇぇ~っ、ぱねぱねぱねぱねぱねぱねぱねぱねぱねぱねぱねっ!!!!」


「日本語を使えないのかな?」


「使えますよ、ぱね~」


 いきなり羽根がしゃべり出した。


「ええっ!? 使えるのかよ!?」


「はい、問題なく使えます、ぱね~」


「だったら、最初から使えよ!?」


「そんな気分ではなかったのです、ぱね~」


「ああ、そうかよ!?」



「君は何者なんだ?」


「ぱね~さんはステータスウィンドウ……」


 えっ!?

 こいつが!?


「……ではない羽根ですね、ぱね~」


「えええええっ!? ステータスウィンドウじゃないのかよ!?」


「はい、違います、ぱね~」


「だったら、紛らわしいこと言うなっての!?」



「なら、君はなんなんだよ?」


「見ての通りの羽根ですね、ぱね~」


「なんで羽根が飛んでいるうえに、しゃべっているんだ?」


「羽根だからでしょうかね、ぱね~」


 普通の羽根は、そんなことできないと思うけどなぁ。



「お前は最終問題の賞品なのだぜだぜか?」


「最終問題ですか? なんのことか分かりませんね、ぱね~」


「そうなのか」


 こいつ、結局なんなんだ?



「羽根さんは、これからどうするのですですか?」


「暇なので、皆さんに付いて行きます。よろしくお願いします、ぱね~」


「ええっ!?」


「では、参ります、ぱね~! 『合体融合装着』です、ぱね~!!」


 羽根がそう言って、俺の背中にくっ付いた。


「何やってんだよ!?」


「背中にくっ付きました、ぱね~」


「なんのためにだよ!?」


「なんとなくですね、ぱね~」


「ええ……」


「ああ、そうそう、ぱね~さんのことは『パネェザキ』と呼んでください、ぱね~」


「なんでこのタイミングで自己紹介なんだ!?」


「まあ、いいじゃないですか、ぱね~」


 俺たちも自己紹介をした。



「では、参りましょうか、ぱね~」


「あ、ああ、そうだな……」


 ああ、なんか疲れたなぁ……

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