第20話 ステータスオープンするために

「ここがステータスウィンドウがある洞窟だピピョーン」


「そのようだな」


「『ステータスウィンドウがあるよ~~~んブピッピョ~~~ンの洞窟』って、書いてありますますね」


 洞窟の横に、そう書いてある木製の立て看板がある。


 なんでこんなのがあるのだろうか?


 訳が分からんなぁ。


「しょ~しょしょしょっ! 分かりやすい名前だな!!」

「そうだね、いちょ~」

「分かりやすくて素晴らしいであります!」


 確かに、そうだけど、ネーミングセンスなさすぎだとも思うぞ。


 まあ、そんなのどうでもいいけどな。



「この中のどこかにステータスウィンドウがあるピピョーン。探して来るのだピピョーン。がんばれよピピョーン」


「分かったよ」


 ガギアキースセギトたちを元に戻すために、がんばらないとな!



「中はどのようになっているのですですか?」


「不明だピピョーン」


「えっ? どういうことだ? 誰も中に入ったことがないのか?」


「いや、そうではないピピョーン。ここに入った者たちに中のことを聞くと、皆、違った回答をするのだピピョーン」


「それって内部が変わるということか?」


「うむ、その通りだピピョーン」


 なんだそれは!?

 とんでもない場所だな!?


「共通するのは、あまり強いハモノがいないということくらいだピピョーン」


「ウトのハモノに勝てれば、問題なく勝てるヤツしかいないのか?」


「うむ、その通りだピピョーン」


「そうなのか」


 そこはひと安心だな。



「俺たちが中に入っている間、マスターじいさんマスターはどうするんだぜだぜか?」


「わしはここで待っておるぞピピョーン」


「そうなのか? なんか申し訳ないな」


「先に帰っても良いですですよ」


「わしのことは気にしなくて良いピピョーン。さあ、ゆくのだピピョーン」


「ああ、分かったよ」



 中に入った。


 結構広い洞窟だな。


 前方に長い通路が一本伸びている。


 なぜか天井が所々白く光っていて、内部はとても明るい。


 では、進むとするか。



 しばらく進むと、広間に出た。


 そこには、露店のようなものが大量に並んでいた。


 なんだこれは?

 フリーマーケットか?


「ここにステータスウィンドウがあるのですだぜか?」


「どうなんだろうな?」


「まあ、とりあえず、見てみようだぜだぜ」


「そうですですね」



「親父、そこの札に『ステータスウィンドウ』って、書いてあるだぜだぜ」


「なら、隣にある青い半透明のプレートが、ステータスウィンドウなのですですか?」


「そうなのだろうな。では、これを持って帰ろうか」


「いや、待つであります! その札を、よく見るであります!!」


「えっ? あっ!? これ『ステータスウィンウ』になっているじゃないか!?」


「なら、これは偽者だね、いちょ~」


「その通りであります! 契約書はしっかりと読むべきであります!」


「ああ、そのようだな」


 契約書ではないけどな。



「親父、そっちのにも『ステータスウィンドウ』って、書いてあるだぜだぜ」


「いや、それは『ステータスウィンド』であります!」


「こっちのじゃないの? いちょ~」


「これは『ステータスィンドウ』であります!」


「しょ~しょしょしょっ! それがステータスウィンドウだろ!!」


「それは『ススウィンドウ』であります!」


「では、あれですだぜか?」


「あれは『ステータウィンドウ』であります!」



「偽者ばかりだな!」


「面倒な場所ですだぜ!」


「まったくだぜだぜ!」



「これは『ステタウンドウグツ』?」


 捨てた運動靴?


「こっちには『ステスイカノカワ』というのがあるだぜだぜ」


 捨てスイカの皮?


「これは『スタータヌキウドン』ですですね」


 星のタヌキうどん?


「こっちは『スノモノ』ですだぜ」


 酢の物?


「しょ~しょしょしょっ! こいつには『スアシケンコウホウ』と書いてあるぞ!」


 素足健康法?


「これには『ススススススススススススススススススススス』と書いてあるよ、いちょ~」


 なんかの擬音語か?


「だんだん雑になってきているなぁ」


「きっと考えるのが面倒になってきたんだよ、いちょ~」


「そうなのかもしれないな」



「これには『ス、ス、ス、すべびゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ』と書いてあるぞ」


「こっちには『もうやだぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』と書いてあるだぜだぜ」


「こちらには『あぁぁぁっ、もうこの仕事いやだっ! 辞表を書いてやらぁぁぁぁぁぁアァァあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』と書いてありますますよ」


「これには『うひょひゃああああああああああああああああっ!? 辞表ってどうやって書くんだっけぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ!?』と書いてあるですだぜ」


「しょ~しょしょしょっ! こいつには『書けたぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ』と書いてあるぞ!」


「ここに辞表が置いてあるよ、いちょ~」


「偽物を考える仕事って、大変なんだな」


「仕事はどれも大変でありますよ!」


「それもそうだな」


「お父様、そこに通路がありますますよ。あそこから奥に行けるみたいですです」


「もうここには何もなさそうだし、先に進もうか」


「ああ、そうしようですだぜ」

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