第13話 なんでそれが?

「ああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 スキャベツムがのたうち回っている。


「ん? あいつ、人間みたいな形の手足が生えているのか?」


 スキャベツムに長さ十数センチくらいの手足がある。


「あれは、スキャベツムの特殊能力で出したものだピピョーン」


「へぇ、そんなのもあるんだ」


 特殊能力って、すごいな。



「ぬわああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


「なかなか死なないだぜだぜ」


「もう一度、ぷすぷすを使用してみてはいかがでしょうしょう?」


「ああ、そうだな。ロッドソード、頼む」


「分かったですだぜ! ロッドソード・ぷすぷすですだぜ!!」


「にゅほああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」



「ん? なんかあいつ、膨らんでないか?」


「ああ、間違いなく膨らんでいるだぜだぜ」


「そろそろ破裂して倒せるのかな?」


「そうかもしれませんせんね」



「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」


「なんかあいつ、葉が開いてきてないか?」


「はい、そう見えますますね」


「マスターじいさんマスター、あれはなんなんだ?」


「不明だピピョーン。あんなものは記録になかったピピョーン」


「そうなのか」


「さすがは珍者ちんしゃだピピョーン。珍妙なことを起こしてくれるピピョーン」


 珍者ちんしゃって、そういうものなのか?



 スキャベツムの葉と思われる部分が完全に開いた。


 それと同時に、手足が消えた。


「ん? これはエクスか?」


「うむ、確かにそれらしきものが入って来たですだぜ」


「なら、あいつを倒したのか」



「なんかさっきのより多くないだぜだぜか?」


「強いハモノほど、エクスの量が多くなるのだピピョーン」


「へぇ、そうなんだ」


 そこもゲームっぽいな。



「むっ、これはピピョーン!?」


「どうしたんだ、マスターじいさんマスター!?」


「ハモノの中に奇妙なものが入っておるぞピピョーン!」


「えっ?」


 中にはアジの開きの干物のようなもの、赤い花柄の着物のようなもの、パイナップルのような果物、空の茶色いダンボール箱のようなものが入っていた。


「なんだこれは? なんでこんなものが?」


「不明だピピョーン」


「これはどうしましょうしょう?」


「わしの知り合いに、ハモノを研究しておる者がおるピピョーン。そやつに見せてみるとするかピピョーン」


「そんな人もいるんだ。じゃあ、頼むよ」



「親父殿、何か来るですだぜ!」


「えっ? な、なんだあれは!?」


 二輪の台車に載った初期型の大砲みたいだな!?


「あれもハモノだピピョーン!」


「あれもなのか!?」


 全然『はもの』って感じがしないぞ!?


「すごく強そうですです!」


「マズいんじゃないだぜだぜか!」


「いや、あれは『マァメェキャノン』という、このあたりで三番目に弱いハモノだピピョーン。気を付けて戦えば、今のアルヴェリュードたちにも勝てると思うぞピピョーン」


「そうなのか!?」


 本当にあんなの倒せるのかよ!?



「痛っ!?」


「親父殿、どうかしたですだぜか!?」


「腹に何か当たったぞ!?」


「それはマァメェキャノンの撃った弾丸だなピピョーン」


「えっ!? それにしては、たいして痛くなかったぞ!?」


「だから、三番目に弱いと言ったであろうピピョーン」


 ええ……


「それに、防具も買ってあるしなピピョーン」


「ああ、それのおかげでもあるのか」



「あいつは本当に、オオコンドリとスキャベツムより強いのだぜだぜか?」


「体当たりは、そやつらよりも強力だぞピピョーン」


「そうなのか」


 まあ、確かにあいつらよりは巨体だからな。



「フハーッハハハハハッ!!! どうだ人間ちゃん、我が大砲の威力はミャミョ~ン!!」


 マァメェキャノンの方から声が聞こえてきた。


「えっ!? しゃべった!? あいつはしゃべれるのか!?」


「ハモノはしゃべれるぞピピョーン」


「そうだったのか!? どこから声を出しているんだ!?」


「それは不明だピピョーン」


「そうなのか」


「おい、人間ちゃん。我を無視するなミャミョ~ン!」


「痛っ!? また撃ってきたか!? うっとうしいな!!」


「さっさと倒そうだぜだぜ!」


「そうだな!」


「あれは正面か後ろにしか攻撃できんピピョーン。横から攻めろピピョーン」


 ああ、確かにそんな感じだな。


「分かったよ!」



 マァメェキャノンの側面に回り込んだ。


卑怯ひきょうだぞ、人間ちゃんミャミョ~ン!? 正々堂々と正面から戦えミャミョ~ン!! 正々堂々と後ろからでも良いぞミャミョ~ン!!」


「後ろから攻めるのは、正々堂々とは言わないのでは?」


「細かいことは気にするなミャミョ~ン! 良いから正面か後ろからにしておけミャミョ~ン!!」


「お断りだ! ロッドソード、今度はぺちんぺちんを頼む!」


「了解ですだぜ! ロッドソード・ぺちんぺちんですだぜ!!」


 マァメェキャノンが三つに分かれた。


 そして、なぜか台車が消え、エクスが入ってきたような気がした。



「おおっ、見事に斬れたな! 素晴らしい威力だ!」


「うむ、見事だピピョーン!」


「ありがとうですだぜ」



「ところで、なんで台車が消えたんだ?」


「あれも特殊能力で出したからだ」


「ああ、あれもなのか」



「お父様、何か落ちていますますよ」


「ん?」


 マァメェキャノンの近くに、人間の奥歯のようなものが多数落ちていた。


「なんだこれは?」


「それがマァメェキャノンの弾丸だピピョーン」


 あいつ、こんなものを撃っていたのか。


 はっ!?

 あいつがハモノなのは、この歯を撃つからなのか!?


 歯物ってことなのか!?


 まあ、そんなのどうでもいいけどな!!

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