第12話 初戦闘

 買って着た服を着た。


 マスターじいさんマスターから、子供でも背負える大きさの黒いリュックサックを借りた。


 その中に回復アイテムを入れ、背負った。


 ガギアキースセギトたちを胸ポケットに入れた。


「これで準備は完了だぜだぜ! ハモノと戦ってみようだぜだぜ!」


「うむ、良かろうピピョーン」


 いよいよか……


「覚悟は良いかピピョーン?」


「ああ、良いぞ」


「我もですだぜ!」

「俺も良いだぜだぜ!」

「私もですですよ!」


「では、行こうかピピョーン」


「どこに行くんだ?」


「町の外にある草原だピピョーン。そのあたりにいるハモノは弱いからなピピョーン」


「そうなのか」


 最初の町の近くにいる敵は弱いのか。


 ゲームっぽいなぁ。



 町を歩いて行くと、城門が見えてきた。


 おおっ!

 こいつは立派だな!!


 ハモノなんてものが存在するから、こんなものが必要になるのかな?



 城門の外に出た。


 マスターじいさんマスターの言った通り、周辺は草原だな。


 土がむき出しになっている、街道みたいなものもある。


「どこにハモノがいるんだぜだぜか?」


「むっ、そこにいるぞピピョーン」


 マスターじいさんマスターが地面を指差した。


 そこには、大根に鶏のような白い羽と黄色い足が付いた化け物がいた。


 なぜか寝転がっている。


 あれがハモノ?


 どう見ても根菜なのに、葉物なのか?


 あっ、羽があるから羽物になるのかな?


 まあ、そんなのどうでもいいか。


「あれは『オオコンドリ』という、このあたりで一番弱いハモノだピピョーン」


「そうなのか」


 大根鳥?

 そのまんまなネーミングだなぁ。



「あいつは寝ているんだぜだぜか?」


「うむ、そのようだなピピョーン。ハモノも天気が良いと、そんな気分になることもあるのだピピョーン」


 まあ、分からなくはないな。


「今がチャンスだピピョーン。さあ、攻撃してみろピピョーン」


「あ、ああ、分かったよ。じゃあ、ぺしぺしを使ってみようか」


「了解ですだぜ」


「では、行くぞ」



 オオコンドリに忍び足で近付いた。


「今ですだぜ! ロッドソード・ぺしぺしですだぜ!!」


 前方に何かが振り下ろされた。


 オオコンドリが横に真っ二つになった。


 ん?

 体に何かが入ってきたような気がしたぞ。


 今のはなんだったのだろうか?


「これで倒したのですですか?」


「アルヴェリュード、体に何かが入ってきたような気がしたかピピョーン?」


「ああ、したぞ」


「なら、倒したぞピピョーン」


「そうなのか? どういうことなんだ?」


「ハモノを倒すと、体の中に『エクス』というものが入って来るピピョーン」


 エクス?

 エクスペリエンス?

 経験値のことか?


「このエクスが入って来ると強くなるピピョーン。新たな特殊能力が身に付くこともあるぞピピョーン」


「へぇ、そうなんだ」


 完全にゲームの世界だな。


「ちなみに、エクスというのは略称で、正式名称は『エクセレント臭くない酸っぱくもないお野菜スーパーパワー』というのだピピョーン」


 なんじゃそりゃぁっ!?

 エクスペリエンスを略したものじゃないのかよ!?

 意味が分からなさすぎるぞ!?



「楽勝だったですだぜ!」


「一撃で倒せただぜだぜ! 俺たちって、結構強いのだぜだぜか!?」


「あれは一番弱いと言ったであろうピピョーン。調子に乗らないようにピピョーン」


「分かりましたした」



「倒したハモノはどうするんだ?」


「まずは、ハモノを調べてみろピピョーン」


「何かあるのか?」


 もしかして、ドロップアイテムとか?


「お父様、ハモノの羽から何かが落ちましたしたよ」


「ん? なんだこの白い粒は?」


 肥料みたいだな。


「それは回復アイテムだピピョーン」


「ああ、そういえば、ハモノも持っているって言っていたな」


「こいつ、羽の中に結構な数を隠し持っているみたいだぜだぜ」


「そのようだな。これを全部使われていたら、長期戦になっていたのかな?」


「うむ、なるであろうなピピョーン」


 めんどくさすぎる……



「この回復アイテムは、私たちも使えるのですですか?」


「使えるが、不味まずいぞピピョーン。非常時以外は食べない方が良いぞピピョーン」


「なら、これはどうしよう? 売却できるのか?」


「うむ、買い取ってくれるところがあるピピョーン。そこに持って行こうピピョーン。ほれ、この袋にハモノごと入れろピピョーン」


 マスターじいさんマスターから、黒い手提げ袋を受け取った。


 そして、オオコンドリを入れた。



「あんなにハッキリ不味まずいと言われると、食べてみたくなる気もするだぜだぜ」


「まあ、確かにな。どうする? 食べてみるか?」


「ああ、少し取っておいてくれだぜだぜ。あとで食べてみるだぜだぜ」


「親父殿、我の分も頼むですだぜ」

「私も食べてみますます」


「分かったよ」


 俺の分も確保しておこう。



「まだ戦うかピピョーン?」


「当然やるだぜだぜ!」


「我もですだぜ!」


「なら、もう一戦してみるか」



 ん?

 なんだ?


 地面にキャベツみたいなものが丸々ひとつ落ちているぞ。


 誰かが落としていったのか?


「あれもハモノだピピョーン」


 マスターじいさんマスターがキャベツのようなものを指差し、そう言った。


 あれもなのかよ。


 あれは確かに葉物だな。


「どんなヤツですだぜか?」


「『スキャベツム』という、このあたりで二番目に弱いハモノだピピョーン」


 オオコンドリよりは強いのか。



「あれも動かないですだぜ」


「もしかして、寝ているのか?」


「うむ、そのようだなピピョーン」


「なら、また不意打ちしてやろうだぜだぜ!」


「そうだな」


「親父殿、どう攻めるですだぜ?」


「ちょっと距離があるから、ぷすぷすを使ってみようか」


「了解ですだぜ! ロッドソード・ぷすぷすですだぜ!!」


「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」


 突然、スキャベツムが叫んだ。


 やったか!?

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