第9話 回復アイテムを使わせないための方法

「ステータスウィンドウを取りに行こう!」


 将来、女性とのオツキアイで困らないために!


「待つのだピピョーン。今のお前たちでは危険すぎるピピョーン。行っても命を落とすだけだろうピピョーン」


「ならば、修行するしかない!」


「親父殿のやる気がみなぎっているですだぜ! ならば、我も付き合うしかないですだぜ!」


「なら、俺も付き合ってやるだぜだぜ!」


「私もですですよ!」


「ありがとう、みんな!」


「なら、まずはその状態で、ガギアキースセギトたちの特殊能力が使えるか試してみろピピョーン。使えるようなら、練習もしろピピョーン」


「分かったよ、マスターじいさんマスター!」


「腹減っただぜだぜ! その前に、飯を食おうだぜだぜ!」


「そうだな」


「うむ、そうしようピピョーン」



 食堂にやって来た。


 今日の朝食は、丸パンに見えるもの、オムレツっぽいもの、何かは分からない白身の肉を焼いたもの、野菜っぽいものがたっぷり入ったスープ、リンゴっぽい何かか。


 見た目は、見事なまでの洋食だな。


 では、食べようか。


 いただきます。


 うん、とても美味しい。


「親父殿が食べても、我の腹は満たされないですだぜ」


「俺もだぜだぜ」

「私もですです」


「とすると、みんなも食事を取る必要があるのか?」


「多分そうだぜだぜ」


「なら、俺のを分けようか」


「ありがとうございますます、お父様」


 ガギアキースセギトたちが、丸パンのようなものを食べた。


「空腹感がなくなってきましたした」


「やはり食べる必要があるのか」


「ならば、次からはガギアキースセギトたちの分も用意させようピピョーン」


「ありがとうですだぜ」



 食べ終わった。


「それじゃあ、能力を試しに行くか」


「ガギアキースセギトたちが食われんよう、周囲に気を配るのだぞピピョーン」


「分かったよ」



 庭に出て、特殊能力を使用してみた。


「どれも使えるみたいですだぜ」


「そのようだな。良かった。それじゃあ、少し休んだら、練習をしようか」


「分かっただぜだぜ」



「お父様、大きな鳥が飛んでいますますよ」


「ん? ああ、確かにいるなぁ」


 上空に猛禽類もうきんるいっぽい鳥が飛んでいる。


 ここにも、ああいう鳥がいるのか。


「親父、デカい虫がいるだぜだぜ」


「えっ? ああ、本当だ」


 鎌が六本あるカマキリのような虫が歩いている。


 迫力あるなぁ。


「なんかあいつら俺たちの様子をうかがってないか?」


「うむ、そんな感じですだぜ」


「これは逃げた方が良さそうなのではありませんせんか?」


「そのようだな。行こう」


 家の中に避難した。


 ガギアキースセギトたちには、天敵が多いみたいだな。


 気を付けて練習しないと。



 一年後。


「かなり使いこなせるようになったようだなピピョーン」


「うむ、そろそろ実戦で試してみたいですだぜ」


「良さそうな場所があるなら、案内してくれだぜだぜ」


「その前に、もうひとつ教えることがあるピピョーン」


「それはなんだ?」


「前にも言った飲食を妨害する特殊能力だピピョーン」


「ああ、言っていたな。それはどういうものなんだ?」


「『食欲減退一発ギャグ』という特殊能力だピピョーン」


 一発ギャグ!?

 なんじゃそりゃぁっ!?


「これは食欲が減退しそうな一発ギャグを行うことで、相手の食欲を減退できるというものだピピョーン」


 ええ……


「どんなことをすればいいんだ?」


「この本に記録されているピピョーン。見てみろピピョーン」


「分かったよ」


 マスターじいさんマスターから本を受け取った。



 さわやかな笑顔で、小便小僧みたいなポーズをした人が描かれていた。


 その下に『黄金聖水大放出』と書いてあった。


 次のページには、無表情で、空気椅子をしながら、両手で便座のような丸い形を作り、足の上に置いている人が描かれていた。


 その下に『終わりを受け止めし者』と書いてあった。


 これはトイレの真似なのだろうか?


 次のページには、すさまじく苦しそうな表情で、空気椅子をしながら、両手でファイティングポーズのようなポーズをしている人が描かれていた。


 その下に『停滞』と書いてあった。


「これが食欲減退一発ギャグなのか?」


「そうだピピョーン」


「こんなのを見ただけで、本当に食欲が減退するのか?」


「そうらしいピピョーン」


「親父、ちょっとやってみたらどうだぜだぜか?」


「まずは黄金聖水大放出というのをやってみようですだぜ」


「やめろピピョーン!? それは人間にも効果があるのだピピョーン!」


「そうなのか? どのくらい食欲が減退するんだ?」


「そこに書いてあるだろピピョーン」


「えっ? ……ああ、本当だ」


 『黄金聖水大放出をダイエットしたい方、百人に試したところ、全員が三日くらい物を食べる気力が起きなくなった』と書いてあった。


「こんなので三日も食べられなくなるのかよ……」


「本当なら、すさまじいですですね」


「まったくだぜだぜ」



「終わりを受け止めし者と停滞は、八日間食べられなくなったのか。このふたつの方が強力なんだな」


「何が違うのでしょうしょうか?」


「そこは不明だピピョーン」


「そうなのか」



「これを練習する方法はないのか?」


「ダイエットをしたい者を探すか、護衛を連れて、弱いハモノに使ってみるくらいしかないピピョーン」


「ダイエットか。誰かいないか?」


「心当たりはないピピョーン」


「なら、ハモノに使うしかないか」


「それじゃあ、ハモノのいるところに行こうだぜだぜ!」


「待てピピョーン。まだやることがあるピピョーン」


 まだあるのか?

 いったいなんだろう?

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