第8話 人類史上初!?

 俺は左を向いてみた。


 そこには、三人の小人がいた。


 全員、同じ顔で美形。


 髪型と色も同じ。

 茶髪で短めの髪をしている。


 身長は、ひとりが一〇センチ強くらい、あとのふたりは一〇センチ弱くらい。


 肌色のTシャツ、ハーフパンツ、スニーカーを着用している。


「君らは誰だ? まさかとは思うが、ガギアキースセギトたちなのか?」


「その通りですだぜ!」


「なんで人型になっているんだよ!?」


「不明ですですよ」


「朝起きたら、こうなっていただぜだぜ」


「そうなのか。背が高いのがロッドソードだよな?」


「そうですだぜ!」


「俺がアルゥだぜだぜ!」


「私がエルゥですです」


「そうなのか」


 アルゥとエルゥは、そっくりすぎて見分けが付かないな。



「……ん? なら、元のガギアキースセギトはどうなっているんだ?」


「見てみるしかないですだぜ」


「そうだな」



 見てみた。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!! なくなってるじゃないか!?」


「やはりそうでしたしたか」


「しかも、毎朝恒例のトイレに行きたくなって来たじゃないか!? どうすればいいんだ!?」


「尿道はないのですだぜか?」


「えっ? あっ、それっぽい穴があるぞ!」


「そこから出せるんじゃないだぜだぜか?」


「そうかもしれないな! ちょっと行って来る!」


「いってらっしゃいませませ」



 部屋に戻って来た。


「無事に出せたぞ!」


「おめでとうございますます、お父様」


「ああ、ありがとう!」


 これで膀胱炎ぼうこうえんなどに、ならずに済むぞ!



「ロッドソードとエルゥの顔は、親父にそっくりだぜだぜ!」


「アルゥもお父様にそっくりですですよ」


「そうなのだぜだぜか?」


「うむ、そっくりですだぜ」


「元々ひとりの人間だったからかな?」


「おそらくそうですだぜ」



「ん? 今の俺の性別は、何になるのだろうか?」


「細かいことは気にしない方が良いと思いますます」


「そうだな」



「元に戻れないのか?」


「不明ですです」


「そうか」


「元に戻らないといけないのだぜだぜか?」


「そこは、どうなのだろうか?」


「とりあえず、マスターじいさんマスターに相談してみたら、どうですだぜか?」


「そうだな。ちょっと呼んでこようか」



 呼んできた。


「これが小人になったガギアキースセギトたちかピピョーン……」


「ああ、そうなんだよ。これはなんなんだ?」


「不明だピピョーン。こんな能力は記録にはないピピョーン」


「そうなのか」


「うむ、これは記録しておかねばならんなピピョーン」


「こんなの訳の分からないものを残すのか?」


「うむ、残さねばピピョーン」


 ええ……


「もしかして『ガギアキースセギトたちを、初めて小人にした珍者ちんしゃアルヴェリュード』みたいな感じで、歴史書に載ってしまうのか?」


「うむ、その通りだピピョーン」


 恥ずかしすぎる……


「人類史上初の快挙、めでたいですだぜ!!」

「やったなだぜだぜ!!」

「めでたいですですね!!」


 これはちょっと喜べないなぁ……



「当然、戻し方も分からないんだよな?」


「うむ、分からんピピョーン。ただ、棒状のものを操る能力と、球状のものを操る能力のように、思うだけで使える特殊能力は多数あるピピョーン」


「これも戻れと思えば戻るかもしれないということか?」


「うむ、その通りだピピョーン」


「では、やってみるですだぜ」



「何も起きないですだぜ」


「やり方が違うのでしょうしょうか? それとも、戻れないのでしょうしょうか?」


「どうなんだろうな?」


「また外を走り回ってみないだぜだぜか? 寝て起きたら、戻っているかもしれないだぜだぜ!」


「可能性はありますますね」


「それじゃあ、さっそく走りに行こうだぜだぜ!」


「いや、待て! その大きさで外に出るのは危険じゃないか!?」


「うむ、その体では肉食動物に食われる可能性があるピピョーン」


「なら、家の中で走り回るだぜだぜ!」


「そうですですね。やってみましょうしょう」


「なるべくうるさくしないようにな」



 ガギアキースセギトたちが家の中を走り回った。


 やはり俺まで疲れるんだな。



 次の日。


「戻ってないようだなピピョーン」


「そうですですね」


「どうすれば戻るのだろうか?」


「もう一生このままでも良いんじゃないだぜだぜか?」


「それでは困ることがあるかもしれんピピョーン。元に戻る方法を見つけておいた方が良いピピョーン」


 困ることか……


 あっ!

 ガギアキースセギトたちがいなかったら、女性とオツキアイできないぞ!?


 それはきっと困るな!!

 困れるようになるよな!?


「確かにそうだな! だが、どうすればいいのだろうか?」


「ここはアレしかないのかピピョーン……」


「えっ? 何か方法があるのか?」


「あるにはあるのだが、それを手に入れるには、ハモノがいる危険な場所に行かなければいけないピピョーン」


「そうなのか。なら、誰かに護衛を頼むとか、マスターじいさんマスターが行くとかできないのか?」


「できんピピョーン。それは欲する者が、ひとりで取りに行かなければならないのだピピョーン」


「そうなのですですか」


「面倒だぜだぜ」


「そうだな」



「ところで、それはなんなのですですか?」


「『ステータスウィンドウ』というものだピピョーン」


 えっ!?

 ステータスウィンドウ!?

 ゲームにあるあの!?


 いや、それと同じとは限らないか。


 詳しく聞いてみよう。


「それはどういうものなんだ?」


「自身の情報が記載されているピピョーン。特殊能力の使用方法が記載されていることもあるピピョーン」


「そうなのか」


 ゲームのステータスウィンドウっぽいなぁ。


 やはりここはゲームの世界なのか?

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