第6話 体が動かない!?

「なんなんだ、あれは!? なんで人形が叫んで、破裂したんだ!?」


「そこは不明だピピョーン。ロッドソード・ぷすぷすとは、ああいうことが起こるものなのだピピョーン」


「そ、そうなのか……」


 訳が分からなさすぎる……


「不用意には使えないな」


「うむ、そうだなピピョーン」



「では、次は棒状のものを操る能力と、球状のものを操る能力を使ってみようピピョーン。アルヴェリュードよ、これを見るのだピピョーン」


 マスターじいさんマスターの手のひらに、長さ数センチくらいの小枝と、直径一センチくらいの丸い小石がふたつ載せられていた。


「まずは、これを動かしてみろピピョーン」


「これはちょっと小さすぎないだぜだぜか?」


「大きいものだと消耗が激しいピピョーン。まずは、このくらいの大きさのものからにした方が良いぞピピョーン」


「分かったですだぜ」

「了解だぜだぜ」

「では、やってみますます」


 突然、小枝と小石が宙に浮いた。


 そして、庭を飛び回り始めた。


「おおっ、すごいじゃないか! これは役に立ちそうだな!!」


「気楽に言ってくれるですだぜ」

「これ、結構難しいだぜだぜ」

「そうですですね。それになんだか疲れてきましたしたね」


「能力を使用すると疲れるのだピピョーン」


「そうなのか。ん? なんだか俺まで疲れてきたような気がするぞ……」


「ガギアキースセギトは、アルヴェリュードの一部、当然のことだピピョーン」


「それもそうか」



「なんか疲れるのが早くないか? この能力は消耗が激しいのか?」


「それは先程のロッドソードの能力で、消耗しているからだピピョーン」


「ああ、そういうことなのか」



「この能力って、ひとつしか動かせないのか?」


「いや、訓練を積めば複数動かせるようになるピピョーン」


「そうなのか」


 なら、もっと練習すべきだな。


「それと、この能力は棒や球体に、他のものが付いていても動かせるピピョーン。剣のつかの部分を操って、剣自体を動かすといったことも可能だピピョーン」


「へぇ、そんなこともできるのか。いろいろと使い道がありそうだな」


「うむ、自分なりの使い方を考えてみるのだピピョーン」


「分かったよ」



「そろそろやめておくですだぜ……」

「ああ、そうしようだぜだぜ……」

「あまり消耗すると、お父様が動けなくなってしまいそうですですしね……」


 小枝と小石が地面に落ちた。


「気遣いありがとう…… ああ、疲れた……」


「では、休憩にしようピピョーン。むっ、そろそろ昼だなピピョーン。飯を食いに行くかピピョーン」


「親父殿、そうしようですだぜ」


「ああ、そうだな」


 家に戻って、昼食を取った。



 午後からも特殊能力の練習をした。


 ああ、すごく疲れたなぁ。


 今日はぐっすり眠れそうだな。



 ん?

 なんかトイレに行きたいな。


 行って来るか。


 あれ?

 体が動かない!?


 それどころか、目も開かないぞ!?


 どういうことなんだ!?



 あっ、そうだ!

 声は出るのだろうか!?


 やってみよう!


「おーい、誰かいるか!?」


 おおっ、声は出るんだな!!


 ただ、口を動かしている感覚がないぞ!?


 これはいったいどういうことなんだ!?


「親父殿、どうしたですだぜ?」


「お父様、何かありましたしたか?」


「ロッドソード、エルゥ、体が動かないんだ! どうしよう!?」


「お父様、目も開けられないのですですか!?」


「ああ、そうなんだよ!」


「なら、我らにできることは、声を出して、誰かを呼ぶことくらいですだぜ!」


「では、とりあえず、それをやりましょうしょう!」


「そうだな。おーい、誰か来てくれ!! マスターじいさんマスター、来てくれ!!」


「誰か来てくださいさい!!」


「誰かいないのですだぜか!!」



「アルヴェリュード、どうかしたのかピピョーン!?」


 マスターじいさんマスターが来てくれたか!

 助かった!!


「なぜか体が動かないんだ!? 助けてくれ!」


「な、なんだとピピョーン!? ……ふむ、見たところ、体に異常はなさそうだなピピョーン」


「なら、なぜ体が動かないんだ!?」


「むっ、こ、これはピピョーン!?」


「どうしたんだ、マスターじいさんマスター!?」


「アルヴェリュードの声が股間から聞こえてくるピピョーン! それに、しゃべっている時に、口が動いていないピピョーン!」


「ええっ!? ということは、まさか誰かと入れ替わったのか!?」


「おそらくそうであろうピピョーン」


「えええええええええええええええええええええっ!!!!!」


 勘弁してくれよ!?



「そういえば、さっきからアルゥがしゃべりませんせんね」


「じゃあ、俺の体にいるのはアルゥなのか?」


「おそらくそうですだぜ」


「マスターじいさんマスター、どうすればいいんだ!?」


「記録によると、入れ替わった者の望みをかなえると、元に戻ることがあるそうだピピョーン」


「なら、とりあえず、アルゥを起こすか」


「うむ、おい、アルゥ、起きるですだぜ!」


「起きてくださいさい!」


「アルゥ、起きろ…… うっ!?」


「どうしたピピョーン!?」


「ト、トイレに行きたい……」


「な、なんだとピピョーン!?」


「うむ、そろそろ限界ですだぜ……」


「もう少し我慢していろピピョーン! 今、なんとかしてやるピピョーン!!」


 マスターじいさんマスターが部屋を出て行ったようだ。


 は、早くしてくれよ……


 あっ、ヤバい!?


 あ、あ、ああああああああああああああああああああああああっ!!!!!

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