第10話 決着と旅立ち!
「「行くぞ、ゼルゲア!!」」
「掛かってこいよ!!くそガキ共が!!!」
完治したブライと完治し、さらにボルケーノフェニックスと同化したホムラの2人はゼルゲアを見据えると、全力で向かっていく。
「はぁ!!」シュッ!!
「なっ!!?『ダンダンッ!!』くっ!?がはっ!!?」
「
ブライの放った突きと蹴りをまともに受けたゼルゲアは後ろに下がってしまうが、その瞬間にホムラがゼルゲアの懐に入って、拳に炎を纏わせて重い一撃を与えた。
「熱っつううううううううっ!!!!?」
腹に熱い炎を纏わせた拳を受けたゼルゲア。鎧が溶けて貫通し、骨まで焼かれるようなその痛みに地面の上で踠くが、ホムラはそんなゼルゲアの上に跨がると彼を見下ろす。
その手には炎が猛々しく燃え盛っていた。
「お前は、俺のお母さんに毒を盛り、お父さんに勝手に嫉妬して逆恨みをし、あまつさえ嘲笑って侮辱した。それは、どんな陰口よりも許せないし、どんな怪我よりも痛いものだ。」
「ま、待ってくれ!!お、俺が悪かった!!そ、そうだ!!助けてくれたら、なんだって「喋るな。」え……?!」
「一撃で楽にしてやる。せめてもの情けだ。」
「や、止めて!!やめてくれ~~!!!!!?」
両手に足を乗せて動けないようにしたホムラが、自分の抱えている全ての怒りを乗せてゼルゲアに拳を放つ。
「
ずがああああああああっ!!
「が…………!?」
振り下ろされた炎を纏った拳にゼルゲアは白目を剥いて絶命し、それを見て確認したホムラはゼルゲアから退くと、マグマの方へと近付き、帝国の者達がマグマの中に捨てていた物を拾い上げる。
「それは?」
拾い上げたのは、黒い塊であった。
「よく分からないが、こいつを使って噴火をさせるつもりだったらしいな。だが、フェニックスの力で全部壊れているから噴火はしなさそうだ。」
「そうか、良かったな!」
「あぁ、それより早く出よう。」
ブライとホムラは人化して、力を押さえると火山の洞窟を出る。
深呼吸をして新鮮な空気を取り入れる。すると、遠くの方からホムラを呼ぶ声がし、その方向を見ると、そこには鑑定屋の主人とコモレビの民達であった。
「ホムラ!!?それに君も!?2人とも、無事だったか!?」
「おじさんたちも無事でよかった……!あ、そうだ!帝国の連中なら俺と彼、ブライが倒したから!それに火山の噴火もしないと思うよ!」
「なに!?そ、それは本当か!?」
「「勿論!」」
2人の言葉に店主と町民達は、驚くしかなかったが、火山の噴火がなくなった事に安堵し、その夜は無事を祝って宴が行われたのであった……。
◆◆◆
ドルストア大陸、その北北東にある大陸災大規模の大国“ドメニア帝国”。
様々な人間が行き交う城下町の先。国の中心があり、そこには存在感のある城が建っており、その城の中にある一室には4人の男女、帝国最強の存在“四天”がおり、その前には城の玉座に座る黒髪の青年に向かって膝を着いていたのであった。
「今日は集まってくれてありがとうな、四天のみんな。“妖天”のシュラ。」
「はっ。」
白と血のような赤の着物を着て、腰に刀を差した白と黒が混じった髪の男、妖天のシュラ。
「“死銀姫”のシルヴィア。」
「はいっ。」
美しい銀の長髪に蒼い目の姫騎士のような服装の少女、死銀姫のシルヴィア。
「“腐海”のアストラ。」
「はっ!」
黒髪の少年に見えるが耳が魚のヒレのような形をしている少年、腐海のアストラ。
「“蛮王”のグルーズ。」
「がははっ!!応よ王様!!」
虎のような模様のある金髪で豪快に笑う獣のような獰猛な覇気を放つ壮年の男、蛮王のグルーズ。
4人がこの国どころか大陸でも恐れられている存在“四天”であり、そんな4人の前にいる黒髪に山吹の眼をした青年、彼が凶王である。
「さぁ、始めようか。今日の会議を。」
優しく微笑む凶王、しかし、その目には何が写っているのであろうか?
◆◆◆
翌日。宴が終わり、皆がまだ寝付いているコモレビの町
その町の入り口には旅支度を終えていたブライが立っており、静かに去ろうとしていた。
「さて、行くか。」
ブライがそう言って歩き出した時である。
「おーーーい!!!待ってくれ~~!!」
「ん?あ、ホムラ?どうしたんだ、その荷物?出掛けるのか。」
「いや、そうじゃなくて。ブライ、俺もお前の旅に連れてってくれ!」
「え!!!?」
荷物を背負ってきたホムラからまさか旅に同行させて欲しいと言われて、驚き言葉を失うブライだったが、ホムラは構わずに続けた。
「俺はお前に着いていきたい!一緒にこの大陸を見てみたいって思ったんだ。おじさんやみんなにも別れの書き置きはしてきたし、片付けもしてきた。頼む、俺を連れてってくれ!!」
「それは……俺は構わないが、特に目的は決めてないんだぞ?野宿とかもするし。」
「旅に出るんだ。野宿とかもするさ!頼む!それに、俺も鍛えてくれ!その分一緒に戦うから!」
頭を下げてくるホムラにブライはう~~んっと唸ると、少し考えて頷くのであった。
「分かったよ、じゃあ宜しく頼む!ホムラ!」
「おう!宜しくな、ブライ!」
2人は共に旅に出ることに、新たな地へと旅をするのであった……。
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