第9話 目覚めろ、熱き|魂《心》と焔の鳳凰。
ホムラにもたらされたドメニア帝国によるガルニカ火山噴火計画の報。それを聴かされたコモレビの町の町長は、町民たちを安全な所まで避難させていた。
ガルニカ火山が噴火したとなれば、コモレビの町は確実に壊滅してしまう。
民達は必要最低限な荷物を持って、コモレビの町の近くにある湖のある場所まで来ていたが、その中で鑑定屋の主人はホムラがいないことに気付いて町民達に探すのを手伝うように頼み込んでいた。
しかし、ホムラを厄災の子と呼んでいた民達はどこか渋っている様子だったが、それを見た店主が叫んだ。
「馬鹿共が!!!!ホムラが報せてくれなかったら、俺らは帝国に殺されてたンだぞ!!?受けた恩を返すのが普通だろ!!?この、恩知らず共が!!!」
店主はそう言うと、彼は1人でホムラを探しに出るのであった……。
◆◆◆
自分の頭を砕かんと振り下ろされた戦鎚。その脅威に目を閉じていたホムラだったが、いつまでも来ない痛みに目を恐る恐る開く。
するとそこには頭から角が延び、背中に翼が生え、尻から尻尾が出ており、若干竜に近い姿をしているブライが両手を交差させて戦鎚を防いでいたのだ。
「大、丈夫、か?ホムラ!」
「ぶ、ブライ、その姿は!?」
「てめぇ、亜人だったのか!?」
「俺は、竜人って種族でな……!体の頑丈さには定評があるんだ!!!はぁっ!!竜撃拳!!!」ドゴオオォォッ!!
「ぐはぁっ!!?」
ブライの魔力を込めた拳の一撃にゼルゲアは吹き飛ばされ、遠くに転がる。
すると、ブライはホムラに腕を伸ばして、手を差し出す。
「立てるか?」
「あ、あぁ。ありがとう……お前、母さんと同じ……亜人種。それで強かったのか。」
「最初から強い奴なんているかよ。俺は5歳の頃から鍛えてるんだ……まぁ、俺も色々合って、今は1人だがな。」
「え……?それって……まさか、亜人狩りか!?」
亜人狩り、これは言うなれば一部の人間たちが趣味でやるマンハントであり、捕まれば男であれば奴隷、女であれば生きていることが地獄のような目に合ってしまう。
この大陸の一部の人間達からすれば、亜人種に人権等無いのである。
「その亜人狩りかどうかは分かんないが、人間に故郷を襲われたが、その人間たちと故郷は、もうこの世には無いんだ。」
「そう、だったのか。」
「それよりもだ、ホムラ。お前、いつまで暗いままでいる気だよ?」
「え……?」
「俺はお前のお父さんもお母さんも知らないが、少なくとも俺だったら、負けっぱなしにはならないな。」
「あ……。」
ブライの言葉にホムラは幼い頃に、鍛練の中で言われたことを思い出した……。
『はぁっ!』コンッ!!
『痛い!?うぇ~~ん!!お父さん、僕もう嫌だ~~!痛いのも、辛いのも~!それにお父さん強すぎっ!!』
『ははっ……。まぁ俺も大人げないかもしれなかったな。だがなホムラ?俺はお前には強く生きてほしいんだ。』
『ひっく!えっぐ!強く……?』
『そうだ。世の中には良い人もいれば、悪い奴もいる。綺麗な部分もあれば、醜い部分もある。それが生きるってことなんだ。だが……お前には俺やお母さんのように真っ直ぐ生きてほしいんだ。』
『真っ直ぐ……?そうすればお父さんたちみたいになれる?』
『あぁ、なれるぞ。それに男の子は少しの事くらいの事で泣くな。いいな?』
『うん……!僕、頑張る!!』
『そうか……。よし、じゃあ明日から頑張るために食事にしよう!今日は鹿肉だぞ。』
……優しく微笑んでいた父の
しかし、すぐに涙を拭うとブライの顔を見て、頭を下げる。
「……今までごめん、あとでまた謝る。」
「気にすんな。俺も気にしてないし……でもま、あとでまた色々教えてくれ。」
「あぁ!……ん?」
ボオオオオオッ!!!
「「なっ!!?」」
その時、ホムラの体が光出し、体から炎が出始めたのを見て驚く2人の前に、火山のマグマの中から一羽の巨大な炎の鳥のような生き物が現れ、それを見たホムラはその鳥の名を叫ぶ。
「“
“
ボルケーノフェニックスは2人を包むと、2人の傷は完治したのである。
「傷が……治った!?はは、凄いっ!!」
「本当だ……。ん?」
ボルケーノフェニックスはホムラの前に降り立つと、ホムラを包むと彼と一体化したのである。
「これは……!」
「さっきのフェニックスと、同化した!?(まるで、俺とフェムト様みたいだ。)」
ボルケーノフェニックスと融合した事で母の血である“
その時、どかぁっ!と音が聞こえて、その方向を見ると、ボロボロのゼルゲアが立ち上がっていたのである。
「この、くそガキどもがぁぁっ!!ぶち殺す!!必ずぶち殺すからなぁ!!!」
ゼルゲアを見た2人はお互いに見合うと頷き、ゼルゲアに叫ぶ。
「「掛かってこい!!!ゼルゲア!!!」」
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