外の世界と出会い。

第6話 熱き火山“ガルニカ”と……。

 滅んだ故郷、クロムウェルを旅立ったブライ。


 彼は守護竜ムフェトの力と自分の力を更に高めるために、外の世界の魔物や山賊と呼ばれる者達を倒して力を付けることにし、旅をしながら鍛練を重ねていた。


 そして時が流れ、ブライも15歳になり顔立ちの整った少年になり、今ではかなり竜の力をコントロール出来るようになっている。


 そんな彼が今来ているのは、ドルストア大陸の南東にある“ガルニカ火山”の麓にある町“コモレビ”へとやって来ていたブライは、道中倒した魔物を換金する為に、町にある換金所へとやって来ていた。


「今いいですか?」


「ん?換金かい?いいよ、出しな。」


「では……。よいしょっと。」ドサッ!!


「ほう?こいつはぁスゲェな。この蛇は“エメラルドパイソン”じゃねぇか。この毛皮は……こいつは、“トパーズアルミラージ”か!?へぇ、しっかり血抜きとかもされてる。……待ってな。」


 店主が算盤を弾くと、今回の額を叩き出した。


「全部合わせて115.000Gだ。」


「ありがとうございます。」


「しかし坊主、見ない顔だな?」


「……北東の町の生まれです。」


「北東の?それはまた遠くから来たねぇ。まぁ、ゆっくりしていきな。旅に出るなら道中気を付けろ?あと、最近だと色々からな。」


「?ヤバいって、何がですか?」


 ブライが尋ねると、店主が辺りを見回してからブライに耳打ちする。


「……ガルニカ火山が唸るような感じがしてんだよ。しかも、噂だと地下で何か起きてるらしいんだ。だから坊主も出来るだけ早く旅に出るんだな。」


「そう、ですか。ありがとうございます。」


 ブライが一礼して換金所を出て宿に向かうと、その道中にガルニカ火山をじいっと見ている同年代くらいの少年を見つけた。


 髪は燃えるように赤く、所々が金色の短髪の少年であった。


 その少年の紅い瞳がブライを捉える。


「……何?」


「ん?あぁ、ごめん。火山をずっと見てたみたいだからさ……。あ、俺はブライ!ブライ・グローリア。」


「ホムラ。ただのホムラだ。」


 ホムラと名乗った少年はそれだけ名乗ると、辺りを見渡す。 


『あの子……。』


『まだ居たわよ。“厄災の子”……。』


『気味悪い、早く出てってくれないかしら……。』


「ちぃっ…………。」


 周りのヒソヒソ声を聞いたホムラはその場から逃げるように駆け出し、ブライは首を傾げながらも宿に向かうのであった……。



 その頃、ガルニカ火山の地下不覚のマグマ溜まりでは変化が起きていたが、誰もそれには気づいてはいないのであった。



◆◆◆ 



 その頃、宿にて食事を摂っていたブライは赤々と輝くガルニカ火山を見ながら溜め息を吐いていた。


「(ガルニカ火山、確か……何か違和感を感じるんだよなぁ。)ん?」


 ブライが外を見ると、そこには1人で木の枝を持って舞いのような物を舞っているホムラの姿があった。


「(なにやってんだろ?)……おーい、なにやってんだ?」


「っ!?……なんだ昼間のか。ここに泊まってたのか。」


「まぁな。それより、何でここで舞いなんて舞ってんだ?」


「お前には関係ない。というか、お前……余所者だろ?早くここから出てった方が良いぞ。この町には、長居したら碌な事にはならないからな。」


「あ、おい!なんなんだ?あれ?」


 そう言うとホムラはその場から去っていき、ブライも首を傾げるだけであったが、その言を言い放ったホムラの表情は、とても暗いものであった……。


◆◆◆


「……はぁ。」


 自分の家に戻ったホムラ。


 自分以外誰もいない家、そのベッドに倒れ込むように前に落ちると仰向けになり、棚に置いてある1枚の写真を見る。


 そこには幼い自分と1人の男性が写っており、その写真を見ながらホムラは消え入りそうな声で呟いた。


「お父さん…………。」

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