第4話 火の試練と……

 水の試練をクリアしたブライは3日間休んでから、火の試練に挑んでいた。


 火の試練は火山のあるフィールドであり、そこでは常に怒っている牛の角を生やした、ブレアという炎の魔人との戦闘を行っていたのだが……。


「ブオオオオオオオオオオオッ!!!待て待て待て待て〜!!このガキ〜!!ぶっ潰してやる〜!!」


「何かメチャクチャ怒ってるんだけど〜!!?」


「俺様はなぁ〜!誰も彼もがムカつくんだよ!!どいつもこいつ……!!ガアアアアアアッ!!」


 ブライが今戦っているブレアは常に怒っており、その怒りにブライが的にされており、逃げることしか出来ずにいるが、ブライは荒々しい攻撃を往なしながら懐に入ると、ブレアの鳩尾に蹴りを叩き込む。


 竜人族は日に日に力を増していく種族であり、戦闘を重ねる毎に力を増していく種族なのである。


 ブライの蹴りを受けたブレアは吹き飛んで岩山の中に突っ込んでいったが、ブレアは炎を吹き上がらせて立ち上がった。


「この、クソガキがあああああああぁぁぁっ!!痛ぇだろうがあああああああぁぁぁっ!!」


「あ、余計に怒った。」


「焼け死ね!!!炎牛の火災ブルフレア!!!!」


「っ!!火竜緋翼かりゅうひよく!!」


「はっ!!!小さいなぁ!!!!」


「っ!!?」


 ブレアの炎の猛牛とブライの竜の形をした炎がぶつかったが、押し負けたのはブライの方であった。


 如何に竜人族とはいえ、まだ子供であるブライでは大人と子供であるために押し負けてしまう。


 それが分かっていながらも、ブライは深呼吸をしてバッと飛び起きると、ブレアの方を見据えて、ファイティングポーズを構える。すると、それを見たブレアは怪訝そうにブライを見る。


「小僧、お前恐ろしくないのか?」


「あぁ怖いよ。けど、怖がって逃げてたら意味無いだろ。」


「そうか……!!!なら、ぶち殺してやるよ!!!!!食らいやがれ!!!炎魔法!!猛牛大火災スタンピードブルフレア!!!!!」


「負けないっての。それに、ここで負けたら…………旅に出る意味がない!!!!竜魔法“一式”!!天砕百竜撃てんさいひゃくりゅうげき!!!!!」


「なっ!!?うがああああああっ!!!?」


 ブレアの放った猛牛の角のような炎に、ブライが放つ100体の竜が牛の角を砕いていき、ブレアの体に命中していき、その100体の竜の牙を受けたブレアは倒れたのであった……。



◆◆◆



『なに?次は風と土の試練をまとめて受けたいだと?』


 火の試練を終えて、また3日寝た後に目が覚めたブライはムフェトにそう願い出たのである。


 これはかなり無茶な願いでもあり、1つの試練でも3日寝なければ動けなくなるのに、2つまとめてなど正気とは思えなかったムフェトはブライに尋ねたが、ブライは真剣な眼差しで答えた。


「ムフェト様、俺は旅に出るんです。だからもっともっと強くなって、外で死なないで、またこの国に帰ってくるために強くなりたいんです!!」


 あまりにまっすぐに願い出るブライに、ムフェトは呆れながらも承知した。


『……良いだろう。ならば次からは風と土の試練をまとめて受けて貰う。用意ではないことは覚えておけ。』


「はいっ!!!」


 ブライは笑顔で元気よく返事をすると、今日はそのまま眠りにつき、次の試練に向けて休むのであった……。


 その翌日、ブライはムフェトとの約束通り、風と土の試練をまとめて受ける事となり、風の魔人“フルスト”と土の魔人“マーグ”を相手に戦闘を繰り広げていた。


「イイよなぁ。亜人のガキはイケメンが多くてよぉ……!!!俺なんて、俺なんてよぉ!!!!!」


「オマエ、壊す。オデの罪はオマエの罪になる。」


「……なんか今回の相手はかなり面倒なのが多いな。」


 ブライはそう言いながらもフルストとマーグの2人との戦闘を行おうとしていた。


 しかし、この時……ブライの故郷の町に外からの侵略の魔の手が迫っていたのであった……。

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