第108話 鬼教師エドガー
王都に向かう馬車の中‥‥‥。
「さてと、まずはどこからどうわからないのかを調べましょうか」
「‥‥‥なんですの、この問題?」
俺なりの予想問題を作った。おそらくこの辺が出るだろうという問題ばかりを集めてみた。いわば模擬試験だな。
「本番と同じように時間制限を設けて行います。ご用意は良いですか?」
「うぇぇ!? いきなりですの!?」
「はじめっ!」
「ひぃぃ!! ひどいですわ〜!」
時間がきた。
「それまで!」
「とても疲れましたわ‥‥‥」
「お疲れ様でした、では休憩しながらこちらをどうぞ」
「わぁ! この白いのはなんですの?」
麦芽糖を分解したブドウ糖の塊だ、ラムネのようなものだな。
「はぅぅ‥‥‥、美味しいですわぁ‥‥‥」
脳を使った後は糖分を補給しなきゃな。脳を動かすエネルギー源はグルコース(ブドウ糖)のみだ。ブドウ糖を直接補給するのが一番効率が良い。
低血糖時も飴玉(砂糖)よりもラムネ(ブドウ糖)を推奨されてた気がする。そこまでは変わらないのかもしれないけど。
エリーゼ様がリラックスしている間に採点した。
‥‥‥思った程は悪くない。そして本人の言う通り選択問題の正答率が確かに高い。
「エリーゼ様、採点出来ました。おっしゃった通り選択問題が得意なのですね」
「良かったですわ。選択問題が得意なのは私のスキルのせいですわ。私のスキルは【直感】ですから」
なるほど‥‥‥、勉強量の割に正解が多いのはそのせいなのか。
スキル【直感】は多方面に活かせるスキルだ。 あらゆる場面で判断を迫られた時に無自覚に自分にとって良い方向を選択出来るというある意味チートスキルだ。『ピンときた』とかの上位版だな。
「そうですか‥‥‥。そのスキルを最大限に活かす方法があるのですがご存知ですか?」
「えっ! そんな方法があるのですか?」
「ええ、知識と経験です。そのためには必ず学院に合格しないといけませんねぇ‥‥‥。そろそろ楽しいお勉強の時間を始めましょうかねぇ?」
「はっ! ま、まだ休憩中ですわ!」
「ええ、あと数分ですね。ごゆっくり休んでください」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
まるで悪魔ですわ‥‥‥。
いつもはあんなにお優しいエドガー様なのに‥‥‥。
確かに問題集の半分も終わってませんでしたけれども。ええ、口調はとても丁寧でいつも通りですわ。
で す が !
教本すらまだ理解出来てないのにそれ以上の事を言ってくるのです!!
ええ! お陰様で教えていただきましたので教本の内容は理解出来ましたわよ?
でもそれ以上の事までやる必要ございますか!?
はい、もちろんエドガー様にも訴えましたわ。そしたら「学院に入学した後にきっと有利になりますから‥‥‥」って。
まだ受かるかわからないですのに!!
とりあえず言語と算術は終わりましたわ、これでなんとかなりそう‥‥‥。
「では、魔法学ですね。一番苦手そうな科目ですが大丈夫です、興味が沸いてくればいくらでも覚えられますから!!」
って! エドガー様はそうでしょうけど私たち普通の人間はそんな事ございませんのよ!?
なんですの、普段もしないようなその笑顔は!!
普段のお喋りの時は素っ気ない表情のくせに!!
いや、その笑顔はそれはそれで素敵なんですのよ。ただこっちが少々しんどいというか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
三日間で詰め込み詰め込みでなんとか試験内容の範囲は終わったはずですわ。あとは万全の体調で試験に臨むだけ。
でもその前にせっかく二人きりなんですもの‥‥‥、少しお話もゆっくりしたいですわね。
ってエドガー様寝てますの!?
なんでですの〜!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます